第21話 ネタ元は突然に

やぁみんな、こんにちは!

俺はY。


自称・情報屋、実際はフリーライターをしながら、いろんなとこにネタを売ったり買ったり、記事を書いたりして生計を立てている。


映画みたいな華やかな生活とは程遠い、安定しないやくざな商売だし来年にはのたれ死んでるかもしれないが、これはこれで気に入った生活をしているんだが・・・生活が安定しないのはいかんともしがたい。


ただこんな生活をしていると顔だけは広くなるもんで、いろんなところからネタが入ってくる。今回は、そんなエピソードのお話だ!

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それは今も忘れない、夕方にかかってきた電話から始まった。


「え?なに?・・・学生ガキ?」


「ガキて。まぁ違いないけど。」


電話の主は魔都・京都で運用・財務アドバイザーを営んでいる男だ。

京都といわず全国にネットワークを張り巡らせている、知る人ぞ知る怪人だ。いったいいつ寝てるのかこいつは、と思うようなレベルで動き回っており、得られる技術と知識は一押しだ。

ただしご利用は計画的に。ある種、悪魔と契約するような感じだ。


「情報の提供といいつつ、つついたらメリットあるようにしてるんでしょ?」


「まぁー、そりゃー。何事にもコストはつきものだよ。金なのか、労働なのかの違いはあるけどね」

ハッキリ言ってくれる。


「OKOK、で、学生が最先端の投資詐欺に加担してるって??」


「そー。まぁなんだ、最新の仮想通貨とマルチを組み合わせた、センショーナルな詐欺でね?」


「聞くからにろくでもないな」


「学生っても、そー捨てたもんじゃなくてね。Twitter《バカ発券機》しかり、Tikなんとかっていう踊り狂うの然り、火付け役はいつでも若者だ」


「つまり、なんだ?学生でそういう最新なものを組み合わせた投資詐欺の芽が出てて、かつそれがアンタか、アンタのクライアントにとって不都合だ、とそういうわけだ?」


「ぶっちゃけそうね。情報を提供する代わりに、センショーナルに取り上げて、可能ならつぶしてほしいな、って」


「ハッキリ言うよね、ほんと」


「私は邪魔者を排除できて、そっちはネタが手に入る。社会貢献にもなって、3方よし!だよ」

何が社会貢献だ。そんなタマか!


「しかし、学生ねぇ・・・学校って、おっさんにはかなーりハードル高いとこなんだけど?」

気分はもう、年寄りだ。校門前で社会不適合者が出待ちして学生に声をかけるとか、通報まったなしである。


「おっさんってならもーちょい落ち着いたらどうだよ。・・・べつに出待ちせんでも、SNSでつながるとか、セミナーに潜入するとか、いろいろあるっしょ?」

簡単に言ってくれる。みんながみんな、時代に適応できてると思うなよ!


「おっけー・・・とりあえず、情報どうも。とりあえず、調べてみるよ」


「よろしくー」



引き受けたはいいが、どこから手を付けたものかなぁ


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