第13話 銭ゲバ同盟 vs つり上げ屋

「なかなか、おもろそうな話やなぁ!」

大阪商人・フドウさんだ。


「でしょう。計画はウチが、表に出るのはフドウさんが。それぞれ相乗りで、残りの自己資金は自己責任の上で自由、でどうでしょう」


相乗りとは、「お互い同額、一つの案件に投資をしましょうね」という意味である。

お互いにリスク・リターンを分かち合うことにより、運命共同体としての絆と利害を深める意味合いがある。


ちなみに、相乗りどころが自分自身が投資していないものを進める営業マンはクソである。


「ええがなええがな。詐欺師をイワシたって、ワイらは儲かる。情報持ってきたにぃちゃんもうまく立ち回ればネタになる。まさに3方よしやがな!」

Y君にそこまでの器用さがあるかどうかは分からないが、そこまではこちらも関知していられないのである。


「では?」


「一口乗らせてもらいましょ!よろしゅうに!」

同盟締結である。


ちなみに、ネタ元であるスズキさんは、「そこそこの利益でいいので、相乗りはちょっと・・・。。。」ということで、フェードアウトである。ミドルリスク・ミドルリターンになるが、それはそれで正しい選択かもしれない。


「じゃあまずファーストステップで。ターゲットになっている○○の銘柄を購入するのと並行して、フドウさんはその【メンター】のセミナーに、大阪の金持ち商人の振り・・・というかそのままのテンションで乗り込んで、講師と距離を詰めてもらえます?」


「よっしゃ!分かったわ!適当に持ち上げて、気持ちよくさせればいいわけや?」


「お得意でしょう?」


「かなんなぁ、ほんま」

よくいうよ。まぁでも、嫌いじゃない。いま日本に必要なのは、こういうタフなおっさんではないかと、本気で思う。


「便利な時代になったもので。リアルタイムで、この眼鏡型カメラで私も現地の映像と音声拾っとくので、よろしくお願いします。」

こういう小道具、いくつになってもワクワクするよね!実用性もあるしなおよしだ。


「よっしゃ!司令官は社長や!よろしゅうたのんます」



さて。

結局、この案件をどうしようかと考えたとき出た結論は、「返し」である。

この仕手相場に「のっかったフリ」をして相場をさらに吊り上げさせ、我々と被害者一同が仕手筋よりも早く売りぬき、仕掛け人に損をさせるという方法である。


もちろんそんなにうまくいく保証がないのでハイリスク・ハイリターンではあるが、もしうまくいけば我々が儲かるだけでなく、被害者の損失も救済できる。


ただし、心身ともに負担がかかる仕事であるため、こういったプロジェクトは「信用できるパートナー」と二人三脚で行うことが必須である。そういった意味で、途中で梯子を外すより、最初から降りてくださったスズキさんの判断はありがたい。


さて、どう料理してくれようか。

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