第7話 情報交換会
「召集の意図として。各々の持ちネタをもとに、【コロナがどうなるのか】【経済への影響は】【一般の方々がどう思ってるのか】を、共有して、今後のアクションにつなげたいと思います」
「それはえーねんけど・・・情報ソースの一人が萎れてるけど、大丈夫なん?」
不安はわかる。口には出さないが私も同じ気持ちだ。
「何を言いますやら!俺はまだまだ元気ですよぉ!」
さっきまで鄙びたレタスみたいになってたじゃねぇか!
「まぁ、ほら。ユキナさんのほうでもどうせ、ほかに裏付けとるんでしょ?あくまで参考場所の一つとしてなら役に立つでしょ」
「せやね」
「あれ?俺の扱い悪くね?」
いつも通りである。
「まずー、コロナがどうなるのか。いつもの情報共有メンバーである教授(あだ名)が来てないからこの辺不透明だけど、忙しそうにしてるって時点でまぁ、お察しだよね」
「まぁ」
「せやね」
「雑誌の取材とかで忙殺されてるらしい。あと、別の件でつながりがある教授(こっちはホンモノ)も忙しいみたいでね。影響は、思ったよりでかそう?」
「そうなんやねぇ。ウチのネタ元・・・というか、お客さんの若い女性層やけど。いまだに、そこまで深刻な状態にはなってへんかなぁ。ま、株とか投資信託やってるお客さんはちょっとへこんではるけど、逆にいうとその程度やね、目下。」
「まぁなんやかんやいって、ネイルしている余裕あるってことっすもんね」
それな。
「逆に言うと、客足落ち始めたり、マスク装備が流行ったりし始めると、いよいよやばいってことやねぇ」
「日本人、マスク好きだしね」
「まーマスクはやると、外出るときわざわざ化粧せんでよくなるから楽ってのはあるんやけどね」
あーあー!何も聞こえない!
「OKOK。まぁプロ投資家というか金融屋の目線からいうと、だ。もしこれが社会にパニック波及してしまうと、相場、ひいては社会への影響は、一般の方が思っている以上に長引くことになる」
例えば、2008年に発生したサブプライムローン問題およびリーマンショック。この時の恐慌相場暴落は、約3か月続いた。
「これを入り口として今が2月・・・もちろん過去をそのまま踏襲するわけじゃないが、2月か3月に恐慌に火が付くと、最低でも5月までマーケットが引っ張られて、その後実際の経済にも影響が出ると思っていい。」
「まじっすか。俺みたいなフリーランスには冬の時代がきますね」
「君はその前に、含み損抱えてる株をどうにかしなさい」
懲りない男である。
「そーなるとー。ウチは、来客数とか、マスク装備の人数が増えてきたら、市民も不安抱き始めてるでーという共有。社長は、相場で恐慌に火が付いたら共有。Y君は?」
「ネタ収集は売れる旬なものを集めるんで、コロナ関係でなんか動きがあったら共有、っすかね?」
「追加で、融資制度やら助成金やら、事業者・フリーランスが使えそうなもんあったら、こっちで共有するよ」
「OKっす」
「助かるわー」
―――――――――――――――――
このように。
大きな動きがありそうなときは、こういった情報共有体制を、既存の情報網から継ぎ足して、構築することが大切である。
こういう準備をしていないと、不安で真っ青な空色の顔色になってしまいます。まぁ空ほど心は澄んでいないだろうけど。
話題休閑。《それはともかく》
何かにつけて「働いてない」「汗をかいていない」といわれる運用・財務業ではあるが、裏ではこういった情報体制の構築などを日々行っているのである。
プロの投資家を目指す方がもし読者にいらっしゃれば、参考にしていただきたい。
次回より、相談を持ち込まれた投資家の皆さんに視点を戻そうかと思う。
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