第18.5話:紫陽花結愛

 朝のホームルームが終わり、私は隣のクラスへと向かいます。お話をしたい人がいるからです。


 その相手というのは平良たいら尋斗ひろとさんという男の子で、私のおもびと


 1週間ほど前、私は尋斗さんに気持ちを伝えました。結果的に振られてしまいましたが、彼は『ありがとう』と言ってくれました。


 きっと振られたら悲しいはずなのに、その言葉で私はさらに彼のことを好きになってしまったのです。


 諦めが悪いと言われてしまうかもしれないけれど、それでも私は想い続けることを選びます。


 

 振られてから、尋斗さんが話しかけてくれる回数が減っていたので、気兼きがねしなくても大丈夫と伝えに行こうとしたのですが……。


「尋斗早く行くわよ!」


「平良くんは私と話すんですけど?!」


「二人ともやめてくれって!」


 た、大変です……! 尋斗さんが、女の子二人にどこかに連れて行かれてしまいます!


 どうしましょう……。気は引けますが、少し後をつけてみましょう。


 三人は屋上に出る扉の前で立ち止まりました。一体何をするのでしょうか?


 何か話しをしているようですが……。しばらく様子を見ていると、突然変化が。


 片方の女の子が、尋斗さんに迫って何かを問い詰めているようです。


 よく見ると、その女の子というのは、私と家族ぐるみのお付き合いがある咲良さくら望美のぞみさん。


 男の子に物怖ものおじじしない態度……流石さすがです!


 私が関心していたのもつかの間。もう一人の女の子が、尋斗さんのえりを掴んで、首を揺らし始めました。


 あれは、物怖じしないというか、いささか乱暴なのでは……? でも、それだけ重要なお話ということなのでしょうか。


 

 さらに少し時間がってから、咲良さんと、もう一人の女の子が泣き出しそうな顔になってしまいました。


 な、何がどうなっているのですか?! 一体どういう…………まさか、あの二人も尋斗さんのことが好きで、今まさに振られてしまったということなのでしょうか?!


 どうしましょう、どうしましょう!


 私があたふたしていると、尋斗さんが周りを見渡し始めました。そして……見つかってしまった……。


 驚いた私は、走って教室へ逃げてしまいました。これは、どうしたものでしょう……。


 当面とうめんあいだは、私の心の内にとどめていた方が……。


 何が何だかよくわからなくなってしまった私は、授業中にも色々考えてみました。


 ですが、頭がゴチャゴチャになって、いつしか考えるのをやめてしまいました!

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