沈黙の采配

「沈黙の采配」


わたしが美しい世界を創るのは

現実世界の悲痛から逃避するためだろう

わたしが残酷な世界を愛でるのは

痛みの中にこそ現実を感じるからだろう


世界はアンバランスで

インフィニティ

傾いて限りがないから動くのだ


その行先は

夢幻で無限

しかし決定している


わたしの瞳が捉えるのは

その一角でしかない

知っていても

欲しくて仕方がない


神の瞳は

それを視界の片隅で視るでもなく観ていて

その口唇はほくそ笑んでいる


識ることが出来ないと知れ

届かぬことを知れ

その口唇はほくそ笑んでいる


届かぬと知っていても

手を伸ばさずにはいられない乾き

天が与えたもうた人間の才能


短い命が次々と消えていく

それでも君は明日を目指すのだ

いつか人類がそこに到達することを夢見て


人間とは

君とわたしと誰かと誰かの

期待と希望の総称である

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