第11話 雨

 気がつくと、どこかで雨が降っていた。


 雨は地面にあたると跳ね返り音をたてつづけた。


 雨?


 ここは地下だ。雨なんて降るはずもない。もうろうとした頭の中であたしは思った。あたしはまぼろしを聞いているんだ。こんなにも水をほしがっているから、あたしの頭はきっとおかしくなってしまったんだ。


 そう思うと、あたしは、あたしがかわいそうになった。もうがんばらなくていいよって言ってあげたくなった。よしよししてあげたくなった。


 あたしは岩の壁に体を押しつけながら、固く目を閉じ、ふるえる手でランタンを胸に抱いた。


 まぼろしはあたしをあやすようにいつまでも聞こえつづけた。

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