026 告白、俺はついにやったぞ

 やっと温泉を一人で満喫出来る。俺は、ため息をいて湯船の中に浸かった。さくものせいで、既に若干のぼせている。キンキンに冷えたストゼロで、体内からアイシングを行いたい。


「ふぅ……。こうやって、一人になれば案外良い温泉だな……」


 露天風呂だから、天井は星空だった。空には、こんなにも星が散らばっているのか……。俺らが住む町とは比べ物にならない。きっと、あの星のどれかがナメック星なのだろう。


「り、りんごくん……?」


 ほ?


 俺は、驚いて視線を地上に戻した。夜空に心惹かれていたが、現実に引き戻される。


「え……み、充子!?」


「ごめん、驚いたかな……。来ちゃった……」


 タオルでしっかり体を隠した充子が、恥ずかしそうな表情で立っていた。充子は、シャワーを浴びて汗を流し、そしてゆっくりと湯船の中に入って来た。肩まで静かに浸かる。


「お前、恥ずかしくないのか? 無理してねぇか?」


「ありがとう。もう大丈夫だよ……」


 充子は、俺と目を合わさずに答えた。俺と充子の間には、大人一人分ぐらいの空間がある。


 何て会話をしたらいいのか分からない。


「ねぇ、充子」

「ねぇ、りんごくん」


 ちょっと勇気を振り絞って会話を切り出そうとしたら、同時だった。


「あ、ごめん、りんごくん……。先に話して……」


「いや、充子が先に話してくれ。俺は大した話じゃねぇよ……」


 充子に譲る。


「そう? あのさ……今、りんごくんは何考えてる?」


「え? 何って……そうだな……」


 曖昧な質問だった。


「なんか、こうやって充子といるのが不思議だなって……。俺ら幼馴染だけど、ここまで距離が縮まったのは初めてだよな」


「ふふっ、そうだね」


 充子が笑った。


「りんごくんの口からその言葉を聞けて、嬉しかったな……。ずっと、これからも一緒にいたいかも……」


「これからも……一緒に……いたい……か……」


「何で……!? 何でそんなに乗り気じゃないの!? 今、良い雰囲気になりかけてたじゃない……! 何で言葉詰まらせたの!? 私とずっと一緒にいるのは嫌なの!? 私、貧乳だよ! ほら……!」


 充子は立ち上がり、巻いていたタオルを投げ捨てた。俺の目の前には、全裸の充子がいる。両手を広げ、惜しげなく身体を見せつけてくる。


「視て……! 私の身体を……! 全てを……! 他の女じゃなくて、私だけを……!」


「ちょい待て……! 落ち着けって!」


 俺は、充子が投げ捨てたバスタオルをすぐさま掴み上げ、身体に巻いた。


「俺さ、最近ずっと迷ってたんだ……。でも、やっと分かったんだ。俺は充子のことが好きだ……! 俺も、お前と一緒にいたい……! お前が側にいれば、一番落ち着くんだ!」


 言ってしまった ——


 本当に迷っていた。さくもと言う女性が現れ、正直言って心は揺れていた。だけど、これからもずっと一緒にいたいのは、間違いなく充子だったのだ。


「りんごくん、よろしくね」

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