第11話 おっぱい、行為のあと



  【葉月ver】



「ただいま〜」


 荷物抱えて玄関入ると、水希が奥から顔を出した。

 うん、ちゃんと女の子だ。ちよっと安心した。


「おかえりねぇちゃん。うわ荷物いっぱいだねえ。コレ抱えて帰ってきたの?」


「あぁ、丁度キタローに会ってさ、家の前まで運んでもらったのよ」

 

「キタロー君が?あの人、体力ないのに。無茶させたねえ」

 水希がそう言って笑う。


 うーん、いろいろ言いたい事あるけどさ、この笑顔見たらもう、どうでも良くなっちゃうんだよねぇ。


「何?あんたえらく汚れてるじゃん?」

 良く見たらジャージがアチコチ汚れてるし。


「うん、まあいろいろとね」


「じゃ、これ片付けたら風呂入ろ。お湯入れてきな?」


「え?また姉ちゃんも入るの?いいよ、1人で入るから」


「だめ。ちゃんと洗ったげるから。ん?そーいや、チ○コは?」

 なんてバカな質問してんだか。

 って思ってたら、チ○コが水希のおっぱいの谷間からぬっと顔を出した。


「はいはい、ここですよ」


「アンタ、どっから顔出してんのよっ。そこがどれほどの聖域かわかってんの?」

 思わずチ○コをつまみ上げた。


「いやー、ここが一番居心地良くて。性器と聖域、似てるからですかね?」


「このドチ○コが」そのままリビングのソファーに向かって放り投げた。


「相変わらずポコさん(仮)に厳しいね、ねえちゃん」


 呆れてるけど、アンタも平気な顔してチ○コをおっぱいで挟んでんじゃないよ。




 ◇



「水希、お風呂沸いたから、先にチ○コ洗っときな?」


 なんか他人が聞いたら誤解しそうな事言ってるなぁ、あたし。


「はぁーい」

 水希とチ○コは風呂に行ったみたい。

 あたしも軽く夕食の用意と着替えを出して浴室へ向かう。さて、チ○コは洗い終わってるかな?アイツは早々に出さないと、気が散って仕方ないもんね。

 さっと全裸になって、風呂場の戸を開けた。

「入るよ」


 と、そこには湯船に洗面器を浮かべて、その洗面器を風呂替わりにして浸かっているチ○コの姿があった。


「目玉の親父?」


「これが楽なんですよねぇ」

 言いながらあたしの身体を下から上まで舐め回すように見るなよ、このスケベチ○コ。


「じゃあ、その洗面器ごと脱衣場に出てよーね?」


「えーっ」

 すっごい不満そーな顔してるな、このチ○コ。


「ちゃんとお約束守って、報告したのにィ~」と叫ぶチ○コ。


「え、何?お約束って?」


「このチ○コさ、アンタが学校で抜いたの、あたしに報告してきたんだよね」

 

 訳わかんないって顔してる水希に教えてやった。


「えーっ、何それ。ポコさん(仮)裏切ったの?ひどいなぁ」


「裏切ったなんてとんでもない。あくまでお約束ですってば」

 しれっと言ってるけど、コイツ絶対面白がってやってるな?


「アンタさあ、わざとでしょ?」


 あ、なんか目が全力で泳いでるよ。バレバレだな、このチ○コ。


「まあ、報告はありがたいからさ、さっきあたしの裸、上から下まで見たでしょ?それがご褒美ね」


「いや、別に見てませんよ?ビュ〜ルビュ〜」


「血管浮いてんだけど?」


 チ○コが口笛吹いて誤魔化そうとすんなよ。不気味な音しか出てないしさ。


 めんどくさいんでガッと掴んで、脱衣場に放り投げた。


「先に上がっときな。ちゃんと拭いて行きなさいよ?」


「○▷☆♂◁◇△☆◁♀!?」

 なんか喚いてるけど、いいや。これでゆっくり楽しめるし。


「じゃあ水希、身体洗いながら詳しく聞こうか?」


 あたしは金色に光るイスを用意しながら、水希に言う。


「……ねえちゃん、すっごいこわい顔してるんだけど?」


 ん、どう怖いんだよ。こっちはいろんな感情が溢れてんだよ。

 まあある意味自分が怖いなwww





  ◇




「それでさぁ、その二人組の正体は結局わかんなかったんだよね」

 

 水希があたしに身体を洗われながら、ざっと経緯を教えてくれた。


「アンタよく半日かそこらで、そんだけいろいろ巻き込まれたよね?」

 あたしは呆れながら言う。いや、コイツの方が巻き込んだ張本人と言うべきかな?


 同級生の二人から、キタローから、図書室の美少女から、黒服の二人組まで、なんか他人に影響与えるもん出してんのかね?


「うん、面白かったけどね」

 まあ、こういうヤツなんだよなぁ。どこまでお気楽なんだろ?


「でも、『優月ゆづき』ってのはいいんじゃない?あのチ○コにしては上出来だわ」


「うん、僕もそう思った」


「アンタ暫く男と女行ったり来たりするんだからさ、男の時は水希みずきで女の時は優月ゆづきって事でいく?」


 正直混乱しそうだけど、きっぱり別れてるって感じも必要かと思うんだよね。


「そうだね。あのオジサン達にも、言っちゃったしね」


「じゃあ、今は優月ね」

 

「うん、えっ、ちょっと、ソコそんなにコスんないでよ」


「だめよ?ずっとアレ挟んでたんでしょ?綺麗にしとかないとね?」


 あたしは水希、じゃなくて、優月の背中側から手を回し、胸の谷間を優しく丁寧に洗っていく。必要以上に。タオルは使わず、手に直接ボディソープを付けて。柔らかい感触がたまらなく気持ち良かったり。


「……もう、……なんか背中に当たってるし」


 ばか、わざと当ててるんだよ。


 でもさ、イマイチ反応薄くない?前から思ってたけどさ、コイツってガキっぽいってゆーか、淡白ってゆーか、もっとこう、ギラギラしたもんがないよね?

 普通、この年代ってさ、もっとドロドロしてるもんでしよ?

 箸が転んだだけで勃つ御年頃なんじゃないの?キタローがそうだもんね。アイツ、水希と1歳しか違わないのに、性欲ギンギンだし。


 コイツが元から淡白なのか、それともあのチ○コが性欲全て持っていってるのか。あぁ、なんかそれありそうだな。だってあのチ○コ、中年のオッサンばりに性欲剥き出しだもんね。


「ねえ、ちょっと後ろ向いて?」


「ん、」

 イスに座ったまま、こっちを向く優月。


 あたしはその前にすくっと立つ。勿論、一糸まとわぬ姿で。


「ねぇちゃんの裸体見てさ、アンタどう思う?」


「ええ、なに、急に?」


「いいから、正直に言ってみな?」


「う〜ん、……カッコいい?」


「なんで疑問形なのよ?で、他は?」


「他?んん、……エロい?」


「だからなんでいちいち疑問形なんだよ?ムラムラするとかさ、ドキドキするとか、触りたいとか、○☓△●したいとかない?」


「ないよ、ある訳ないじゃん、姉弟なのに。それに今は姉妹だしさ?」


 うーん、どうもそれが本心らしい。でも未熟さも、すごく感じる。


 優月の顔を両手に挟んで、自分の顔をぐっと近付けた。近くで見るとマジ天使だわ。


「ねえアンタさ、今まで女の子見てドキドキした事ある?」


「ええ〜、うんそりゃぁ、あるよ」


「へえ?いつ?」


「今日とか」


 ああ、さっき言ってた図書室の美少女?ふ〜ん、なんか興味あるな。

 ん?でもさっきの話だと、彼女に会ったのって、優月の(女の)時だよね?

女の子の時に女の子相手にドキドキしたって事?

 あれ?なんだか光明が指した気がする。


 その美少女が今後の、鍵になるかもしれないな。


 そう、優月を百合の道へ誘う鍵に。

 





 ……って何?このミステリーみたいな引き?









  【水希ver】



 ふう、明日の準備もしたし、そろそろ寝よーかな。

 なんか今日もいろいろあって疲れたよ。楽しかったけどね。でも、流石に学校で抜くのは止めよ。ホント懲りたもん。お陰で小野さんと仲良くなれたのだけはラッキーだったよね。


 そーいや、ねぇちゃんがやけに小野さんと仲良くしろって言ってたけど、どういう意味だろ?ねぇちゃんもミステリアス美少女に興味持ったのかな?

 でもたぶん、もう優月じゃ会えないよね?学校内じゃ抜けないもん。

 小野さん、水希の時でも仲良くしてくれるかなあ?あのお弁当は捨て難いよね。明日、声掛けてみよう。




 電気消してベッドでうとうとしてたら、なんかが布団に入ってくる気配がした。柔らかいものが背中に当たって、足の間になんか絡みついてくる。


「ちょっ、ねぇちゃん、今日はダメだよ」


 寝返りうったら、案の定、ねぇちゃんの顔が超至近距離にあった。さっきの裸体がチラっと頭に浮かんで、顔がちょっとだけ赤くなっちゃった。暗いからねぇちゃんにはバレてないと思うけど。


「いいじゃん、一緒に寝よ?」

 なんか抱きまくらみたいに抱えられてしまう。ソープのすごくいいニオイがした。


「だから、今日はダメだって」


「えー、なんでよ?」


 僕はねぇちゃんの手をすり抜けて、枕元の照明を付けた。


「ちょっと、眩しいじゃん、……って、ん?え?」



 灯りで照らされて分かったかな?


「えーっ、アンタ水希じゃん⁉優月は⁉」


「何パニくってキョロキョロしてんのさ?僕今、水希なんだから、優月はいるわけないじゃん?」


 そうなんだよね。僕はついさっき男に戻ってた。


「え?じゃあチ○コは?」


「当然、ココ」

 僕は自分の股間を指さした。あ、心なしか膨らんでるかも。


「なんでよ⁉」


「今日ボコさん(仮)結構頑張ったからさ、さっき充電切れでヘナヘナになっちゃったんだよね。だからいま充電中だよ」


 あ、ねぇちゃん口ポカーンと開けたまま固まっちゃったよ。


「って事でさ、女同士じゃないからまずいでしょ?」


「そんな〜、やる気マンマンだったのに、どーしてくれんのよ?」


 何がマンマンなんだよ?知らないよ。いったい何するつもりだったんだろ?


「僕寝るからね?じゃ、おやす…ぐへっ」



 あーあ、枕で僕の顔面ぶんなぐって出て行ったよ、まったく。












  【カスミver】





 う……ん……なんだろ?すごく何かに包み込まれてる感じがします。

 優しくて柔らかな弾力感、全身の肌で感じるなんとも言えない心地良さ。手を、足を、身体を、ほんの少し動かすだけで触れている何かにこすれて、それが痺れるほどに気持ち良いです。だから、つい動かしてしまいます。その甘美な感触を目一杯堪能するように。太腿辺りにまとわりつく、しっとりとした感じの何か。これは何なのでしようか?


 私はぼんやりと薄目を開けていきます。まだ薄暗い部屋の中、ふと頭に掛かる甘い吐息と、時折顔を撫でるように動いていくこそばゆさを感じます。

 ああ、これは髪の毛だとわかりました。でも私の髪ではありません。誰の髪の毛なんでしょう?

 更に目を開いたものの、何も確認できません。メガネを外しているから?それもありますが、何かが目の前にあって視界を遮っているのです。私は顔を起こそうとしましたが、何かにしっかりと絡みとられ、身動きができない状態でした。それでも、それが全然不快ではないのです。むしろ、このまま再び眠りにつきたいと思えるほど、心地良さを感じていました。


 暫く睡眠欲と覚醒欲が戦い、少しづつ意識が晴れていきます。



………………⁉



「なっなっなっなっ⁉」 

 

 突如、一気に覚醒し、私は今の状態を把握してしまいました。


 私の身体を抱き締めていたモモ姉さんの手をどけ、ガバッとベッドから上半身を起こします。


「#%&$~∇≮♀♂⁉」


 思わず、卒倒しそうになりました。


 起き上がった私の上半身は何も身につけていない、いわゆるスッポンポンでした。気が動転しながら布団をめくります。

 これまた何も身につけていない私の下半身と、真っ裸のモモ姉さんがあらわになりました。


「う…ん、なに?まだ暗いじゃん?」

 モモ姉さんが眠そーに呟きます。


「な、な、何やってんですか、アンタ⁉」


 私は布団を引っ掴み、裸の身体に巻き付け、モモ姉さんに向かって叫びます。布団を剥ぎ取られたモモ姉さんは、モゾモゾと上半身を起こしました。

生おっぱいやら何やらがポロンと、丸出しです。


 そんなはしたない格好のモモ姉さんは半目で私の耳元に唇を寄せ、


「良かったよw?」


 そう囁きながら、私に覆いかぶさってきたのでした。

















 


 って、はあ⁉














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