introduction2

 やあ、またお前か。どうだった。まともな記事は書けたのか?

 ・・ふうん。それは良かったな。まあ、いいんじゃないか。褒められはせずとも、反響があるってのは、ないよりもマシだろうよ。

 それで、今日も性懲りもなく患者に取材しに来たってわけだ。まったく、狂ってるぜ。あんな奴らの言うことに耳を貸す奴がいるなんてよ。平和ボケした連中もいるもんだ。

 それで、今日はどいつにするんだ。・・・こいつか。

 こいつは最初の奴とはまったく違う取材の仕方になる。いいか、こいつは姿を他人に見られたくないんだ。だから、やりとりしていいのは音声だけだ。

 どういうことだって顔してるな。電話取材みたいなもんだよ。音声だけで取材してもらう。姿は一切見せられない。だからアクリル製の面会設備もない。一方通行のマイクだけだ。奴の機嫌が良かったら、向こうのマイクで質問に答えてくれるだろうよ。

 ちょっとは下調べして来てるんだろう?だったら、理由は察しがつくはずだ。こいつはそういう奴なのさ。

 分かったらさっさとゲートをくぐって、また書類にサインしろ。

 お前も一端の記者だろうが。声のやり取りだけで、なんてブーブー文句垂れてないで、立派な記事を書いてみせろよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る