Communio 3
空が徐々に藍色を帯び、夕暮れを過ぎ夜の近づきを感じながら、ハルカはようやく遠くに
ドラゴンの群が、ハルカたちを見つけてこちらに近づいてくる。
「望むところ! 全員まとめてぶっ潰す!」
エレナはふわりと速度を緩めると、さっと上方に飛び上がり、急降下と共にドラゴンのうちの一体の頭に
ハルカに向かってきた二体のドラゴンは、瞬く間に襲いかかってきたその腕を斬られ、そのまま腹を切り開かれて墜ちていった。
だが、それに気づいたドラゴンたちは、後から後からハルカたちに迫ってくる。
「ハルカ! あなたは
エレナはドラゴンを一体ずつ殴りつけながら、ハルカを
「今戦ってるのは、第四と第五の子たちも結構いるの」
「じゃあ、彼らを助けるの?」
「そう。あのままじゃ全滅するでしょう。その前に大佐にどうするか聞いて!」
「わかった」
エレナが力ずくで開けた道を、ハルカはさらに切り開いて地上へと急降下していく。ドラゴンのどす黒い体液を浴びないように注意深く、確実に殺しながら、ハルカは器用に連絡坑の扉を開けて、中に降りた。
エレベータを抜けた先の
ようやく司令層までたどり着いたハルカは、司令室の認証カードをかざそうとして異変に気づいた。
電源が入っていない。
「どういうことだ……」
一か八か、近づいて開けようと手をかけると、扉はすっと簡単に動く。
今となっては世界最大の機密を持つ
「守衛長! 戻りました! サエグサです!」
声をかけながら中に入っても、司令室にはホウリュウはおろか、誰もいない。
明らかにおかしい。
守衛として消えていなかった勘と、今までの「V」としての勘が全力で危機を知らせている。そもそも、このような事態に守衛が一人も司令室に座っていないことがおかしい。まして、死体もない、ということは、どこか別の場所にいるということである。
「守衛長! いらっしゃるのであれば返事をしてください!」
ハルカはなおも声を張り上げる。しかし、当然のことながら返事はなかった。
周りに人がいないことを確認すると、ハルカはホウリュウ大佐が座る机に駆け寄った。
「何だ、これは」
その机の上には、「サエグサ・ハルカ曹長へ」と書かれた長いメモが置かれていた。
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