第19話
決勝戦が始まると[ブレイカーズ]はいつも通りに、魔法使いの二人が詠唱を始める。
[ブレイカーズ]の試合を観たが、殆どのパーティが二人の極大魔法によって負けている。
勝つには極大魔法を阻止しなければならない。
更には、詠唱中の二人を防御力特化の剣士が守り、どのタイミングでも攻めれる武闘家もいる。
その武闘家がいきなり攻めてきた。
相手の攻撃に備えて[四刹二唱]で両腕と両脚を強化して、武闘家と拳を交える。
武闘家は思っていたよりも速く、[四刹二唱]のスピードについてくる。
攻撃をガードせずにひたすら避けて、俺の攻撃後に素早くカウンターを入れてくる。
「いい眼をしているな……攻撃が全く当たらない」
武闘家は俺の攻撃を避けながら言う。
「ありがとよ。だけどまだ、本気じゃないんだろ?」
本当にいい眼だ。
一般人なら[四刹二唱]でも見えないのにさらにカウンターまでしてくるとは。
このまま攻撃してもカウンターを食らうだけだし、詠唱が終わってしまう。
こうなったら仕方がない……試合が始まってすぐだが、もう少しギアを上げるか。
[四刹二唱]から[四刹四唱]まで、一気に強化する。
これで攻撃が当たるようになっただろう。当たってくれないと困る。
武闘家との距離を詰めて、顔面に右ストレートを繰り出す。
武闘家は避けようとするが、ストレートが頬にかすった。
さっきまでは避け切れていたのに、攻撃がかすって驚いていた。
「いきなり攻撃が速くなったが、何かしたのか?」
「まぁな、まだまだこれからだ!」
ボクシングのパンチを参考に、ジャブを素早く繰り出していく。
武闘家は攻撃がかすった影響か、攻撃を避けてカウンターを出せなくなっていた。
流石に、眼がよくても[四刹四唱]のスピードにはついてはこれないか。
あまり、長引かせても仕方がないし早めにケリをつけるか。
最初に速い攻撃を見せて、わざと遅く攻撃をして攻撃を避けさせた。
チャンスだと思った武闘家はカウンターで左のストレートを繰り出した。
ストレートをガードして腕を掴み、柔道の背負い投げで地面に叩きつけた。
武闘家は立とうとするが、脳が揺れて立てずに気絶した。
武闘家を倒し、急いで魔法使いの方へ向かおうとしたが既に詠唱が終わり、魔法陣を展開していた。
魔法陣は闘技場全体に広がっていた。
詠唱を終えて、魔法使いの二人は極大魔法を放つ。
「全てを照らす光となれ! 極大魔法・[シャイニングサン]!」
「全てを染める闇となれ! 極大魔法・[ダークムーン]!」
闘技場の半分が光に染まり、もう半分が闇に染まった。
光輝く魔法陣と悍しい邪悪な闇の魔法陣が重なり、闘技場の全体を包んだ。
この二人の極大魔法によって[ブレイカーズ]が勝利している。
阻止しなければならなかったのに、武闘家との戦いに夢中になっていた。
この魔法をどうにかしないと俺に勝ち目はない。
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