第7話

 銀髪の少女を助けて三日が経った。


 俺は相変わらず、修行と銀髪の少女を助けた後に発見した、新たな戦い方の模索をしていた。


 爺さんと別れてから組み手の相手がいなくなったので、自分がどれだけ強くなったかわからない。


 魔物化した熊も思っていたよりも弱かったし、とにかく組み手の相手が欲しかった。


 そんな事を考えながら筋トレと体幹トレーニングをする。


 昔は両腕で腕立てをしていたが、今なら片腕の指一本でできるようになった。


 修行は爺さんに教わった型をひたすらして、合間に属性を強くイメージする練習もした。


 そして修行が終わり、普段通りに食料調達に出かける。


 森の最下部に川があるので、今日は魚を食べることにした。


 転生前の世界で好きだった、鮭に似た魚を狙う。鮭にそっくりでタンパク質も豊富で味もほぼ同じだ。


 川に着くと早速、服を全て脱いで川に飛び込む。


 修行がてらに、[二刹三唱]を使用して両足を強化する。漕ぐのがかなり速くなるので便利だ。


 早速、狙いの魚を見つけた。狙いの魚の後ろまで回り込み、一気に捕まえる。  


「ぷはぁー、やったぜ! サイズ的に今までで、最高クラスだ!」


 捕まえた魚を担いで地上に上がる。


 服を着ようとすると、以前に魔物化した熊から助けた銀髪の少女と出会った。


「テリーさん? 何故、裸なのですか?」


 俺は素早く服を着て答える。


「え……えっと、漁かな? それより何故ここに?」


「わ……わたしは、以前助けて頂いたお礼をと思って、テリーさんを探していたところです」


「俺を? でも助けた時にお礼をしてもらったんだけど……」


 少女は照れながら言った。


「別にいつ来たっていいじゃないですか! それともテリーさんはわたしに来られるのは嫌ですか?」


「い……嫌ではないけど……とにかく立ち話もなんですから、家まで来ますか?」


 家って言うほど立派な家じゃないけど。


 少女は笑顔で返事をする。


「はい! 行きます!」


 俺と少女は生活拠点へと戻る。


 生活拠点に戻っている途中に少女の名前を知った。


 少女の名前は、クローゼン・エレンという名前で、この森の近くの国の貴族の娘だった。


「貴族の娘さんがこんなところで、一人でいてもいいの?」


「問題ないです。わたしは貴族の娘といっても元は捨て子で拾われた身なので」


 エレンは大人びた様子で言う。


 声には出さなかったが彼女も幼いながら、色々とあるのだろう。これ以上、この話はやめよう。


 話している内にあっという間に拠点に着いた。


「ここが俺の家だよ、生きる為に必要な物しかないけど」


 エレンはゆっくりと見渡し、真顔で言った。


「そ……そうですね、本当に必要最低限の物しか……」


「まぁ、とにかく適当に座ってよ。さっき捕まえた魚を焼くから」


「俺、まだ飯食ってないから腹ペコなんだよ」


 爺さんから貰った包丁で、魚を三枚におろして半身を焼いて、片方は生で食べる。


 爺さんから貰った、ライターの様なマジックアイテムと包丁はかなり便利で重宝している。


 魚を焼くのには少々、時間がかかる。 

 

 その間に生で食べる方を食べやすいサイズに切り、前日に取っておいた木の実も皮を剥いておく。


 エレンは静かに様子を見ていた。


「テリーさん、かなり手慣れてますね」


「まぁ、五年ぐらいはしてるからね」


「テリーさんは何歳からこの森に住んでいるのですか?」


「俺は魔法が使えなくて親に捨てられたから、3歳になる少し前かな」


 エレンは気を使ってそれ以上は聞いてこなかった。


「よし! 魚も焼けたし食べようか!」


 早速、俺は焼き魚から食べた。木の実を砕いて粉末状にしたもので、味付けをしている。


 美味い!

 流石、鮭に似ているだけある!


 エレンも美味しいと言ってくれて満足した。


 すると食べている最中にエレンは言いづらそうに言う。


「わたしがここに来たのはお礼なのですが、実は一つお願いがあって来ました」

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