第5話
「わしのを見たことじゃし、お主も[刹]の魔法をやってみるのじゃ」
「俺の身体、耐えられるかな?」
まだ自分の筋力では無理ではないかと心配だった。
「大丈夫じゃ、わしの修行は身体を大きくする修行ではないのじゃ」
「お主にも充分な筋力はついておるから
[一刹二唱]ぐらいなら余裕のはずじゃ」
なるほど……どおりで見た目が少ししか変わらなかったんだな。
「わかった、一度やってみる」
集中する為に目を瞑り、頭の中で身体を強化するのを意識する。身体全身の力を抜いてゆっくり息を吸う。
頭の中で自身の腕の筋力をどのように強化するのかをイメージをする。妄想に近いが、大きな岩を右腕のパンチで割るイメージをした。
しばらくすると徐々に右腕が熱くなり、筋力が一気に増加していくのがわかった。
「よし、成功したみたいじゃな」
爺さんはかなり大きい木を持ってきた。
「この、木に修行でやった型通りにパンチをしてみるのじゃ」
俺のイメージしていた岩より大きな木だったので、全力でパンチをした。
「はあぁぁぁ!!」
すると、俺の全力のパンチは自分が思っていたよりも威力があり、木は真っ二つに折れた。
驚いた。
[一刹二唱]でこれだけ筋力が増加するなら限界まで増加させるともっと強くなれるじゃないか。
爺さんも少し驚いた様子だった。
「う……うむ、上出来じゃ」
「本当か!? これなら魔法使いに勝てるのか?」
爺さんは俺から少し距離を取り、ボソボソと何かを言い出した。
「なんなのじゃ!? あの威力は……[一節二唱]の威力ではないぞ!」
「わしは木にヒビが入る程度だと思っておったわい……」
「今でも充分、貴族の魔法使いに勝てるんじゃがのぉ……」
爺さんはボソボソ喋るのを辞めて、また近づき言った。
「上出来じゃがあれではまだ、魔法使いには勝てない」
「もっと、修行に励むのじゃ」
俺は爺さんに褒められて嬉しかったがまだ魔法使いに勝てないと知り、一層気合が入った。
「爺さん、わかったよ! 俺はもっと強くなる」
それから月日は経ち、爺さんとの修行を初めてから3年が経った。
爺さんとの修行は三年間という約束なので爺さんとの修行は終わった。
「テリー、お主は強くなった! わしはお主の様な[武闘家]と修行ができて嬉しかったぞ」
俺はまだ爺さんに教わりたい気持ちでいっぱいだったが、約束なので仕方ない。
「爺さん、本当にありがとう! 爺さんがいなかったら今日まで生きる意味を見出せずにいたよ」
「爺さんは俺のお父さんだよ! 本当にありがとうございました」
俺は泣きながら爺さんに頭を下げて感謝した。
「うむ、お主がこの森から出るときにわしの町まで来ておくれ。お主に渡したいものがあるからのぉ」
「わかったよ! もっと修行を積んで、また爺さんに会いに行くよ!」
爺さんは最後に名前を伝えて森から去っていった。
爺さんの名前はマーシャル・ビリーという名前だった。三年も一緒にいたのにこの時に初めて知った。
そして、爺さんと別れてからも俺は1人で修行を積んだ。
毎日、筋トレと体幹を必ずして昼からは[刹]の魔法の修行と爺さん流の型を交互にしていった。
一年が経ち、二年が経ち……三年が経ち、俺は8歳になっていた。
森での生活には完全に慣れて、俺はいつも通り朝早くに起きて、食料調達に出ていた。
今の俺はならこの森には狩れない動物はいなかった。
爺さんからはライターの様なマジックアイテムを貰ったので、肉も焼いて食べれる様になった。
肉を焼いて、食べれるのはかなり大きい。
鶏肉ならタンパク質があって筋力が付きやすいし、なんといっても美味しい。
今日も鶏を狩ろうと森の上層部辺りまで来ていた。
すると、ある銀髪の少女が魔物化した熊に襲われているのを目撃した。
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