第16話 ほんとにスパイ大作戦

 中に入り美和ちゃんが、

「細いゴム紐無い?」

 とミキちゃんに聞くと。

「少々お待ちください」


 そういってエプロンのポケットからタブレットを取り出すと、

「鳳凰の間にございます」


 そんなものまでタブレットに控えているんだ。

「じゃあ探してくる」

 美和ちゃんが言うと、

「地雷にお気をつけてください」


 止めないんだ、いや家の中に地雷って。。。


 美和ちゃん気にした様子もなくスタスタ進む。

「地雷って」

「踏めばどっかーん」

「ほんとに?」

「ミキちゃんがそう言うならほんとでしょ」

「危なすぎ」

「死ぬことはないと思うけど足を失くすかもね、入り口で待ってて」

「美和ちゃんは大丈夫なの」

「地雷が怖くてミキちゃんの子供でいられますか」

「そんな親居ないと思うけど」

「誓は入ってきちゃだめよ、私への挑戦状、失敗したら誓を取られる」

「取られる?勘弁して」

「私が生きている限り渡さない!」


 美和ちゃんはそっとドアを押し開ける、開けただけでドッカンも有る様だ、なんて家だ。

 美和ちゃんは10秒ほど中の様子を伺って、

「okサーチ開始」

 

 中へ入ると此処からは見えない何かを蹴飛ばした。

「ダン!」


 中を覗いてみる。

 飾り棚から何かを取り出している。

 お手玉みたいな物、それを片手に積み上げてひとつづつあちこちにオーバーハンドでビシッと投げ出した。

 10ほど投げて又片手に山積みにしてまた投げる。


「ドーン!」爆発音。

「発見」


 マジか。。。

「これで安心したら命取りよ」

 まだ有る様だ。


 僕の後ろに気配がした。

「じっとして、動いたら美和が死ぬわよ」

 この人ならやりかねそう、黙ってうなずく。


「あの子がドジったら私のものよ君は」

「あ、あのまだ仕掛けが?」

「もちろん、手伝ってもいいのよ」

「多分足手まとい」

「分かってるわね、白いタンスを開けたら終わりよ、どうする?」


 少し間を取って、

「美和ちゃん白いタンスはダメ」

 叫んでみた。

「ずるいわね」

「教えちゃいけないって聞いてないから」

「なるほど、でもその隣かもしれなくてよ」


「ドカン!」

 そう大きくない爆発音がした。


 何かを沢山片手に掴んで美和ちゃんが出てきた。

「誓ナイス、さすが私の旦那様」

「あーあ、ミスったそこまで連携が出来ていたとわね、美和今日はお泊りしなさい」

「はいママ、誓は帰すよ」

「どうぞ興味ないわ」


 美和ちゃんは僕に手に持っていたゴム紐の束を押し付けた。

 ミキちゃんはポケットからレジ袋を取り出しそれを詰めて僕に渡した。

「そう簡単に認めないからあと三回命を懸けてミッションクリアしてみなさい」

「誓大丈夫、私を救い出せるのはあなただけよ」


 あれなんか変な展開になってきた。

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転機-マスクを作ってみた。 一葉(いちよう) @Ichi-you

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