拝読させていただきました。
これは体感ですが、三人称で進む小説がここには少ないような気がするので、新鮮な気持ちで楽しむことができました。描写がとにかく綺麗で、爽やかです。一話目の学園にいくまでの流れは、思わず自分の高校の入学式の日を思い出してしまうほどでした。
魔導士、マンモス校、パートナー制度という心躍るワードから作品に引き込まれ、丁寧な心理描写に裏打ちされたキャラクターの心情の揺らぎ、行動に文章力の高さを実感し、甘酸っぱく初々しいラブコメパートに身悶えする。
それだけに留まらず、小出しに提示される設定から、世界観の入念な練り具合がひしひしと感じられて驚きとワクワクが止まりません。学園ファンタジーとなると、やっぱり魔法の要素が全面に押し出されるものですが、細やかな人間関係、魔導士家系関連のいざこざなどの話の掘り下げにも余念がなく、「現代×魔法」というテーマの旨味全部乗せで最高でした!
天真爛漫でしたたかな日向ちゃんすき……
しっかり練られた世界観でも、難しすぎず入りやすい。そのうえで世界観の描写に不自然さをほとんど感じないのがGOOD。そのおかげで1話ごとが濃くても、スムーズに読み進めることができる読者にも優しい作品になっている。
物語は学園ものらしい楽しい一面がある一方で、少年少女の身の上に合った思いや葛藤、世界観が生み出す悪意の数々も余すことなく書かれていて、作中のシリアス部分へとのバランス上手くとれている。
……ここまではレビューを残す誰かが語っていることだろう。私がさらに推したいのはもっと細かいところだ。
作品より抜粋
『談話室の壁はすべてガラス張りになっている。(中略)
床には毛足の長い赤いカーペットが部屋の端まで敷き詰められていて、座り心地のいい革飾りのソファーがローテーブルを挟むように、いくつも置いてある。
フロアにはちらほらと人がおり、カードゲームに興じたり、他愛の無い話で花を咲かせたりとーー』
本筋とはあまり関係の無さそうなただの学園(作品の舞台)の一幕だが、そこで、描写を省くのではなく、主人公の目に映るものをしっかり描写することで、読み手側が受ける印象が彩られるのだ。そのような場所が上の例だけでなく、さまざまな場所で見ることができるため、見ていておもしろい。
章の構成も工夫されていた。1章ずつまとめ読みするのに、長すぎず短すぎずという感じだ。毎週1章ずつ読んでいこうと思えるくらいで、綺麗にまとめられていた。
そんな細やかな作者の作品に対する工夫も楽しみの1つとして見てみて欲しい。
日向の道がどこへと続くのか、ぜひ追っていきたいと思える作品だった。
私は、この話を読んで見て、私達が住んでいるこの世界に、魔法があったなら、この物語のようになっているのではないかと思いました。
なぜなら、この物語は、人の感情、現実の理不尽さをとてもうまく書いているからです。
魔法が強大すぎるがために、魔法を使った犯罪者には、救いがほぼ無いことや、負の感情を溜め込みすぎた人間の行き着く先などを恐ろしくリアルに描いていたりなど.......
もちろん、主人公と仲間たちとの、やり取りは、見ていて楽しいし、恋愛シーンは思わず、 叫びそうになりそうなぐらいに甘酸っぱかったです。
とりあえず、読んで見ればわかります。最高です。