第9話 シェイク
~浜崎秋司~
僕は友達が少ない。クラスでも目立たないポジションの男子生徒だ。休み時間も席で本を読んでいる。
積極的にいかなければ友達はできない。わかってる。そんなのは自分が一番よくわかってる。でも、話しかけて拒否されたらとか、話も合わずにハブられたらどうしようと考えているうちにこうなった。
転機をむかえたのは校外学習だった。班員は5~6人で、みんなは早々にグループを作っている。僕は何も言い出せないまま立っていた。なるようにしかならないと諦めたときに声がかかった。この僕に?冗談じゃなく本当に?
声をかけてくれたのはクラスでも異色のチームで、僕と同じように一人でいた女子も誘われてた。
メンバーは上原君・岡田君・新田さん・安西さん、そしてもう一人の女の子で小泉さん。僕も含め合計6人と班となる。
このメンバーはドリームチームなのかもしれない。いや、間違いなくドリームチームだ。
僕でも知ってるくらい有名なモデルの安西さん、雑誌・CM・TVにも出演している女性。少し冷たい感じもするけど、びっくりする位に綺麗な人で、学校中いや全国でも大人気の女性だ。
新田さんも学校では名の知れた女の子。可愛いからね。誰とでも分け隔てなく接してくれる甘い感じの女の子。あと、2人ともおっぱいが大きいです。
小泉さんは前の2人と少し違う。僕と同じで内気で人と話すのが苦手なタイプ。新田さんに手を引かれてこのグループに来た。2人が美人すぎて目立たないけど、小泉さんも十分に可愛らしい女性だと思う。
上原君は新田さんの幼馴染。人がいい男の子で新田さんはベタ惚れだと思う。安西さんが現在唯一心を許してる男性でもある。さわやかなイケメンで女性からの人気もあると思う。クラスの女子が噂をしてたから知ってる。
岡田君は明るくて運動ができる系?なのかな。新田さんとは普通に接しているけど、安西さんとはたまに話をする位かな。それでも凄いけど。最近分かったのは2枚目じゃなくて3枚目キャラかな。僕が言うのもなんだけどね。
とにかくそんなドリームチームに加わる事になったのだ。クラスメイトは、僕や小泉さんを羨望の眼差しで見る。僕たちは自分からこの班に参加したんじゃなくて、誘ってもらっただけなんだけど。みんながあまり話しかけられない人たちだから緊張したよ。
でもみんな優しく公平に僕たちと接してくれる。すごくありがたい。自分から話せなくても、向こうから話を振ってくれるので、会話に困る事もないし。
校外学習が終わっても変わらずに接してくれるから、最近は学校にくるのが楽しく感じる。本当に感謝しているんだ。
僕には関係ないんだけど、上原君は新田さんと安西さんとものすごくいい感じなんだけどお付き合いするのかな?どっちと付き合っても大騒ぎになりそう。僕の見た感じだと、2人ともに上原君にかなり好意を持っているしね。上原君と話をする2人の表情は、他の人の時と違うからね。
僕もいずれはそんな女性ができたらいいな。きっとみんな僕なんか眼中にないんだろうけど、そんな学生生活に憧れるのは仕方ないことだろう。
最近、話すようになった小泉さんと仲良くなれたら嬉しい。
ある日の放課後。
俺・敏彦・秋司・恵・桂子さんは放課後に駅そばのハンバーガーショップにいた。
休み時間に、新作のシェイクが飲みたいと恵が言い出したので、学校帰りにみんなで寄った。ちなみに彩奈は仕事でいない。雑誌のインタビューを受けるって言ってたな。
「このシェイク美味しいよ~」
恵は美味しいそうにシェイクを啜っている。敏彦はシェイクの他にバーガーも食べていた。
「今、なんか食べたら夕飯食べれなくない?」
「問題ないね。ハンバーガー位じゃ満腹にならないし」
すげー食うな。
「千秋さぁ、それ頂戴」
恵にシェイクを持っていかれた。あげると言ってないのに。
「彩奈ちゃんもこれればよかったのに。あたしがシェイク飲むって言ったら、仕事に行くまでずっとシェイク飲みたいって言ってたよ。
彩奈はそんなに飲みたかったのか。
「飲みすぎたら太るぞ」
「運動すればいいんです~」
恵はいつ運動してるんだ?そんな事考えていたら、敏彦が彩奈のプライベートの話題をだしてきた。
「安西は仕事が恋人なのか?週刊誌にパパラッチされたの見たことないけど。彼氏くらいはいそうだけどな。若手俳優とか?」
無ぐはシェイクをずるずると飲みながら答えた。
「あ~、彩奈ちゃんはね~仕事が恋人だから。今のところは浮いた話は聞かないね。前に全く興味ないって言ってた。男なんてすぐに作れそうなのに」
恋愛とかしていいのかな?
「あたしが前に彩奈ちゃんから聞いた話では、事務所的には恋愛自由だって。節度を守ればいいんだってさ。先輩のモデルさんはみんな普通に彼氏いるって言ってたよ」
たしかに恋愛禁止なんて時代錯誤なのかな。彼女たちだって普通に恋愛して結婚するんだもんな。不倫とかはダメだろうけど。
「じゃあ俺が彼氏候補に立候補してやろうか」
敏彦はさらっと爆弾発言をぶちこむな。
「無理無理~。彩奈ちゃんに、はぁ?って言われて終わるよ~」
「ですよねー」
「彩奈ちゃんはどうだろうな。気になる人はいそうだけど、そういった気持ちに気がつかないタイプだと思うよ」
へぇ、気になる男はいるのか。俺の知ってるやつかな。それとも芸能界の人とかな。少し気になるぜ。
「なに、千秋は気になるの?彩奈ちゃんにアタックするの?」
「しねーよ。普通の友達だよ」
少しは頑張ればって言われたけど、頑張ればどうにかなるものでもないし。
相手のいる事だからな。
深く考えるのはやめとこう。とりあえずシェイクの写真だけ彩奈に送っておこう。
その後、自分たちばかりずるいと返信がきた。激おこのスタンプが連投されてる。そんなにシェイク飲みたいのかよ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます