食堂
眠りを妨げたのはやけにアップテンポな音楽だった。半分眠ったままのノーアの脳髄に監督官マルコの説明がリフレインする。
――
実際は夕食や就寝の音楽もあるのだがそれはノーアの到着が遅かったために聞く事がなかったのである。
「
部屋を出ると他の住人がぞろぞろと一方向目指して歩みを進めている光景に出くわした。恐らくその先に食堂があるのだろうと考え、後を追う。目の前を歩くのは自分よりも頭一つ分背が低い
カウンターで
「見ない顔だね。新入り?」女が顔を上げた。ノーアはぎょっとした。まだ子供のような顔の半開きの目の下は
「あ、ああ、まあね」努めて冷静を装いながら椅子に腰を下ろした。
「アンタは何するの?
「一応、
「なら私の後輩だぁ。ねえ、なんで昨日来なかったのさ」女は野菜がどろどろに溶けた煮込みの入った鉢に匙を突っ込んだ。
「ちょっと急な予定が入って」あまり聞かれたくない問いだ。
「
彼は話題を変えようと試みた。「そういや、まだ名前を聞いてなかったな。おれはノーア。あんたは?」
「聞かれたくないってか。まあいいや。あたしはポーリア。
「いい名前じゃないか」煮込みを口にしながらノーアはそう言った。少なくともそれは本心だった。
「いやあ、個人的にはもっと勇ましいヤツをお願いしたかったんだけどねえ。
「作風?」しかしここの飯は不味い。故郷の村のは味気ないがまだましだったと思い知った。
「詩と一口に言っても色々あるわけでさ。あたしは
「それは自分の意志で? それとも誰かの
「半々かな。もとは当たり障りのない教育用のをやってたんだけど。その日たまたまむしゃくしゃしててさあ。反逆者なんてみんなぶちのめせ、その血を
「ああ、それでその目の隈か。
「そう言う事。続きは
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