第29話

魔法使い「氷……大丈夫かな」


勇者「そう簡単にやられるやつじゃないだろ」


魔法使い「……うん、そうだね」


僧侶「……敵、いない」


勇者「さっきの場所に相当集まってたんだろうな。好都合だ」


魔法使い「そうだね……急いで魔王を探さなきゃ!」




氷女王「ふぅ……ふぅ……」


考古学者「どうしました、もう息切れですか?」


氷女王「ふん……このくらい余裕じゃ」


考古学者「そうですかそうですか……っ!」


「ギャアアア」


氷女王「……な」


考古学者「おっと、つい」


氷女王「……礼は言わんぞ」


考古学者「ふふふ、ツケておきますよ」



勇者「……これは」


魔法使い「なんか、いかにもって感じの扉だね」


僧侶「……強い魔力、感じる」


魔法使い「うん、ボクも……」


勇者(何も感じないのだが……)


勇者「……まぁいい、入るぞ」  



バアンッ



魔法使い「誰も、いない……?」


僧侶「……玉座?」


勇者「暗くて、よく見えんな……」


魔法使い「おい!魔王!いるならでてこいっ!」


勇者「ば、おまえっ……!」


魔法使い「あれだけ派手に騒いでれば、どうせバレてるよもう」


勇者「それはそうかもしれんが……」


僧侶「……出て、こない」


勇者「まさか、いないのか?」


魔法使い「おかしいなぁ……妙な魔力は感じるのに」


僧侶「……警戒」


勇者「少し様子を見てみるか」





魔物「グ……ググ……ゥ」


ドサッ


氷女王「ふぅ……これで全部、かの」


考古学者「の、ようですかね」


氷女王「はよう、あやつらの元へ……くっ」


考古学者「おっと」


ひょいっ


氷幼女「……何をしよるか、貴様」


考古学者「今のあなたが無理して歩くよりは早いと思うのですが?」


氷幼女「……屈辱じゃわい」


考古学者「……意外と重いのですね」


氷女王「う、うるさいっ!それは氷の重さじゃ!」


考古学者「っとと、暴れないでください」




魔法使い「いないなー……もしかして逃げちゃったのかな」


勇者「魔王がか?」


僧侶「……ん」


勇者「どうした?僧侶」


僧侶「……ここ」


魔法使い「玉座の……足?」


僧侶「……動かした、跡」


魔法使い「ほんとだー、よく気付いたね、僧侶ちゃん」


勇者「ってことは、動かす方法が……」


魔法使い「えいやっと!」


バギィ


勇者「……」


魔法使い「隠し通路……よっぽど用心深いやつみたいだね、魔王は」


僧侶「……罠、かも?」


勇者「かもしれんな」


魔法使い「でも、他にあてもないし……」


勇者「行くしかない、か」



僧侶「……気配」


勇者「なにっ!?」


魔法使い「危ない勇者っ!はぁっ!」


ドゴォ


鎧騎士「ほう……我が攻撃を受けたか。人間にしてはやりおるの」


魔法使い(凄い力……今までの魔物とは桁違いだ)


僧侶「はぁっ!」キュイーン 魔法使い「僧侶ちゃん!」


鎧騎士「ほう、二人がかりか……我は一向に構わんぞ!ぬぇいっ!」


ドォン


魔法使い「きゃぁっ!」  僧侶「……く」


勇者(今までの敵と格が違う……だが、一人が相手なら俺の魔法で……)


魔法使い「やぁっ!」 僧侶「……はっ!」 ガッキィン


鎧騎士「どうした、人間ども……この程度か!」ゴワァ


勇者「今だっ、魔法使い、僧侶っ!」


鎧騎士「ぬっ!?」


魔法使い「くらえっ!」 僧侶「……たぁっ!」


鎧騎士「……?」


魔法使い「そんなっ……」 僧侶「……うそ」


勇者(俺の魔法が効いてない、のか……!?)



「なるほど、貴様が勇者か」



勇者「誰だっ!」


???「誰だ、と来たか」


魔王「私を探しに来たんじゃなかったのか?勇者よ」


勇者「お前が、魔王……」

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