12話 ギルド結成

 午後7時30分 サイジはそれぞれの荷物の手続きをしていた。


 「明日この2つ住所に各人の荷物を届けてください」


サイジは荷物の届け先を申請していた。


 「はい、分かりました。明日の午後までに届けます」


「ありがとうございいます」


 こうしてサイジは書類を提出して、仕事を終えた。


 「ふぅ、帰るとするか」


 そう言ってサイジは、荷物をまとめた。


 「お、サイジ。今日は久しぶりの帰宅かい?」


声掛けてきたのは、ルロイダだった。


 「はい。家に帰ってゆっくり寝ます」


 「そうか、そうした方がいい。それで明日は休むんだろ」


「いや、明日の午後はマスターに時間を空けてもらい、盗賊団の件について話し合います」


「おいおい、大丈夫か?。ただでさえ大変な依頼でその後色々あったんだろ」


「それでも、この件はこのままにしておくわけには行かないです」


「はぁ。相変わらずお前は真面目でお人好しだな。まぁ、でも無理すんなよ」


「ありがとうございます。それじゃ、お先に失礼します」


そう言ってサイジは荷物を持ってその場を後にした。




 そして午後6時40分。サイジ自宅に帰宅する。


 「親爺さん、ただいま帰りました!」


 「おう、サイジ!」


 出迎えたのはマサヤ・レナルロレード。サイジが尊敬する育ての父親である。そして出迎えて早々喜びの声を上げていた。


 「サイジ、長い任務疲れだったな!。どうだ、危険な目に遭わなかったか?」


「危険なのはいつもの事だけど、今回はかなり厄介な事になった」


「厄介な事だ?。何かあったのか?」


「ああ、話すと長くなるから後で話すよ。とりあえず俺の部屋に行っていい?」


 「お、おう。あ、お前が居ない間に部屋の掃除はちゃんとしといたぞ」


「お気遣いありがとう、親爺さん」


 そう言って、サイジが家に入ると。


 「サイジ兄ちゃん、お帰りなさい!」


 「うぉ!」


サイジに1人の男の子がサイジに抱きついてくる。


 「お前は相変わらず、元気だな!」


そう言ってサイジは男の子を抱き上げた。


 サイジに抱きついてきたのは、ハヤト・レナルロレード。親爺さんの実の孫でありそして、あのユウトの実の息子だ。


 「サイジ兄ちゃん、今日は何して遊ぶ!?」


「こらこら、今日はサイジ兄ちゃんは疲れてるんだからあんまり困らせちゃダメだぞハヤト」


「ははは。ごめんな、午後からちょっと用事があるんだけど。まぁ、明日の午前中なら遊んでもいいかな」


「なんだ、明日も仕事があるのか?」


「明日はマスターに時間をとってもらって、今回の件の報告と話し合いがあるんだ」


「話し合うって、なんかあったのか?」


「まぁ、それも後で話すよ。まずは俺は荷物を部屋に置いて少し寝てから着替えてくる」


そう言ってサイジは2階の自室に荷物を置きに行った。そして自室に入り荷物置いたサイジはジャケットを脱いでベッドに倒れ込んだ。


 「何とか無事に依頼は達成したけど。ふぅ、少し疲れたなぁ。ユウト事や元騎士団の盗賊団。それにほとぼりが冷めるまでの2週間。色々大変な事になってなぁ。・・・まっ、そんな事言っても仕方ないか。はぁ、ちょっとだけ寝るか」


そう言ってサイジは30分近く眠った。そして目覚めてベッドから起き上がると、黒の半袖半ズボンを履いて着替を済ませ。自分の部屋を出る。


 一階に降りたサイジは、台所で夕飯を作ってるマサヤ所に向かった。


 「あっ、親爺さんさん。何か手伝う事はあるかい」


「おっサイジ。今日はゆっくり休んでな。色々大変だったんだから」



「だけど親父さんも、年齢的にそろそろキツイだろ」


「おいおい舐められもらっちゃ困るぜサイジ。俺はまだお前に年寄り扱いされるほど劣っちゃいねぇよ。今だって腕立て伏せ200回しないと寝れねぇんだからな」


「うわ、相変わらずの化け物体力」


「あったりめぇだ、俺は死ぬまで現役!。・・・は、出来なかったがそれでも体を鍛える事やめたくねぇんだよ。まっ、本格的にキツくなってきたら。やめるからよ。まだ続けさせてもらうぜ」


「はぁ、わかったよ。だけど親爺さんほどほどにだぞ」



 マサヤは笑いながらそういった。すると、あきれた顔をしてたサイジが突然悲しげな表情浮かべた。


 「それじゃ・・・ちょっと花を添えてくるよ」


「・・・おう。あいつもきっと、喜ぶと思うぞ」


マサヤも険しい表情にでそう言った。そして花を花瓶に添えて、ある一枚の写真が入った写真たての横に置いた。


 「カレン・・・。ただいま」


一枚の写真に映った白銀の髪の女性。それは、カレン・レナルローレードと言う女性だった。カレンはサイジと幼馴染でありハヤトの母親であり、そしてユウトの奥さんであった。


 「カレン、お前の幸せな笑顔もっと見たかったなぁ。あれから、1年以上経つのか。・・・なんでこんなことになっちまったのかな」


サイジは自分の両手の拳を強くにぎった。それと同時にどうする事もできない複雑な感情が溢れ出てくる。するとマサヤがサイジの肩を優しく叩く。


 「サイジ。お前は悪く無い。お前はよく頑張ってくれた。あれはもう、どうしようもなかったんだ」


「・・・だけど親爺さん。俺はあの時、カレンを守れなかった。それにユウトも止められなかった。俺は、ハヤトの両親を守れなかったんだ!」


「サイジ、お前」


「親爺さんが言ってる事もわかってんだよ。どうしようもなかったんだって。だけど、理不尽なんだよ。何で俺が本当に心から、幸せなってほいと望んだカレンがこんな目にあうんだ。何でユウトは父親としてハヤトを守らないなきゃいけないのに、何であんな事したんだ!。何であの時、帝国騎士団が。ぐっ」


サイジは溢れ出る怒り、苦しみ、悲しみの感情に抑え切れずなく、両手の拳に力を入れ辛そうに目をつぶった。するとマサヤはサイジの頭をそっと撫でる。


 「サイジ、辛かったんだな」


 「・・・ごめん親爺さん。本当に辛いのは親爺とハヤトなのに」


 「サイジ、そうやって1人で全ての責任を背負いこもうとしなくていい。俺はそんな事望んで無いそれにカレンも。だから前を向け、サイジお前の人生はまだ長いんだから」


「親爺さん・・・そうだね。俺、前を見るよ」


 サイジ少し微笑みながらそう言った。


「その調子だ。よし、そろそろ飯にしよう!明日も色々あるんだろ?」


「うん。まだやる事があるから」


「よし、じゃあ今日はとびきりうまいビーフシチューだ!。遠慮せずいっぱい食えよ!」


「へへ、ありがとう。親爺さん」


サイジは少し微笑みながら立ち上がった。


 そして3人は楽しい食事をしながら穏やかな時間を過ごした。そして午後21時。サイジ風呂に入浴して。疲れを癒した後。


「お、サイジ一杯どうだ」


「じぁ、一杯だけ飲もうかな」


 そう言ってマサヤはロック割りにしたウィスキーをサイジに渡した。


 「それじゃ、お疲れさんサイジ」


「ありがとうさん。親爺さん」


 カチン。


 2人はグラスを合わせて酒をちびちび飲み出した。


 「それで、サイジ。今回の仕事はどうだったんだ」


 マサヤがそう言うとサイジは。


「正直、すごく大変だった。仕事の事もそうなんだけど。その他の事も」


「他の事?」


「まぁ、最初に仕事の件から話すよ。まずは今回の仕事はギルド国側での盗賊団の確保と人質の救出だ」


 「げっ、お前それを1人で引き受けたのか?」


「1人ってわけじゃないんだけど。まぁ、そんな感じだ」


「お前、よくそんな無茶苦茶な任務引き受けるよな。さすがに今回は無茶な難題だったんじゃないか」


「別にそんなの慣れてるよ。それに真っ直ぐで勇気ある奴に一緒に行きたい言われたら。後にも引けないしな」


「ん?。真っ直ぐで勇気なある奴?。誰だそいつは?」

 

 マサヤはそう言いながら首を少し傾げた。


「俺の他に突然俺も行くって言った奴がいたんだよ。名前はリオヤって言うんだけど、年齢まだ15歳なんだぜ」


「15歳、確かになぁ。ギルドに所属してある程度実戦経験してる人間なら分かるだけど。おれが思うに、恐らく彼は」


 「ああ、リオヤは実戦経験が無いんだ。正直じき危険だと思った。だけど、リオヤのあの真剣で覚悟のある目に俺は負けたのさ」


 そう言いながらサイジまた酒をちびちび飲む。


「サイジにしては珍しいじゃないか。お前を認めさせるだけの意思があったんだな」


「ああ。それに、捕まってたのは、リオヤの姉さんだからな」


 それを聞いて、マサヤは深く共感する。


「あ〜、それは真剣になるな。俺も家族の事になったら居ても立っても居られないからな。サイジお前だってそうだろ」


 「否定はしない」


 「それで、そのリオヤって若造と一緒に行ったって訳か」


「ああ、まぁその後オムニバスホークやその後のドライアドの森に誤って入ったことは割愛するけど」


 「サイジお前、ドライアドの森に入ったのか!?」


「いや、大丈夫。マザーって大樹のおかげでドライアド達との余計なトラブルは避けられたから」


「そうか、ならよかった」


 親父さんは何故かホッとしていた。


「それで、その盗賊団の任務はリオヤとルロイダさん達のおかげ何とか任務は成功したんだけど。問題はその盗賊団の正体なんだ」


 「盗賊団の正体?。いったい何なんだ?」


 その時、サイジはゆっくりグラスをおいた。


 「盗賊団の正体。それは、元帝国騎士団とその家族合わせた難民だ」


 「な、何だと!?」


 マサヤに驚きと衝撃が走った。


 「どうして、その難民達が盗賊団なんかに」


「元々、ギルド国側に向かうはずだったんだけど。どうやらのその時に帝国の人間の受け入れてもらえなかったんだ。おそらくあの事件がきっかけだと思う」


「あれか、帝国騎士団ギルド国襲撃事件か。あれでカレンや色んな人達が犠牲になってしまったからな」


「ああ、その事件は俺も思い出すだけでも辛いよ」


「なるほど、確かにあの時ギルド国側は国の門を一時期全面封鎖をしたからな。マスターもそこは慎重にならざるおえなかったんだろ」


「まぁ、おそらくその時数ヶ月後ににその元帝国騎士団の人間達は避難してきたんだろうけど。タイミングが悪かったんだな。それに俺からすれば盗賊団って言ってもみんな本当の盗賊団じゃないんだよな」


 「どう言う事だ?」


「そもそも。その人達は独立した村を自分で作って生きようとしていたし。何よりもそのリーダーだったルオガって人物が責任感が強くて、本当に仲間思いなんだよ。今回の件だってそのルオガって人は強く反対した。だけど仲間の不始末を自分で背負い俺に命懸けで戦いを挑んできたんだ」


「でもお前、そいつに命を狙われた訳だろ」


「確かに彼は本気だったかもしれないけど。彼の剣には本物の殺意がなかったんだ」


「殺意がなかった?。何でそんなの事がわかるんだよ」


「まぁ、知識と経験ってやつかな。まぁ確かに本気で彼も俺を倒すつもりだったんだろうけど。万が一俺が負けても、彼は俺にトドメをささない、いや正確にはトドメをさせないだろうな。何故なら彼の剣からは動揺を感じたからだ」


「ん〜。動揺したとして何故彼は動揺したんだ?」


「俺の推測だけど。俺と戦ってた時、微かに彼の腕が震えていた。彼はその震えを必死で抑えたみたいだけど。多分彼の帝国騎士団としてでなく自分の戦士としての本心が自分の行動に矛盾を感じていたんだろう。少なくとも彼は人の命奪うことが本気で嫌いなんだと思う。だから彼は動揺してんだ。それに俺に剣を使わせるぐらい彼はすごいんだ。。本当は正義感が強いはずなのに、正直勿体無い人材だなって思ったよ」


 「お前がそこまで入れ込むとは。・・・だが、彼がやった事と彼の仲間がやった事は立派な犯罪だ。いくらお前が認めようとも、マスターのユキトがこの件を見逃さないだろう。最低でも10年は牢屋行きになるだろうな」


「でも、更生の余地はあるはずだ。彼らだって根っからの悪人じゃないはずだ。俺もできる限りマスターとは話し合ってみる」


「・・・そうか。よし、やれるだけやってみろ!。俺もできる事があれば協力する!」


 「親爺さん。・・・本当にありがとう」


サイジは微笑みながらそう言った。


 「あ、そうだ。親爺さん。もう一個重大な話がある」


「重大な話?。いったいなんだ?」


マサヤが首を傾げるとサイジは急に真剣な顔をし始めた。


 「親爺さん、これから話す事は信じられない事かもしれないけど。できる限り冷静に聞いてくれ」


 「お、おう。わかった」


 マサヤは姿勢を正しサイジの話を聞く事にした。


 「俺がこの依頼を受ける前だ。偉そうな貴族の男から女性を助けた時だった。その時、騎士団小隊に目をつけられたんだんだけど、そこは軽く懲らしめた程度で済んだ。でもその後だった・・・ユウトが俺の前に現れた」


 「なっ、何!!。本当なのか!?」


 「ああ、間違いない。それどころかアイツは第3騎士団の隊長なっていた」


「う、嘘だろ!?。騎士団長を殺害して囚われてるアイツが何故帝国騎士団の隊長なんかになるだ!。それにあいつ、あれだけ帝国騎士団を憎んで居たのに。さすがに不自然すぎだ!」


「もちろん、俺だって不自然なのは分かってるよ。そもそも帝国騎士団を憎んで人間が団長殺しの罪を犯しているのに、帝国騎士団に入隊、しかも隊長なんて話おかしすぎるだろ。それあの時アイツの動きは俺の予想を上回っていた。それで油断した、俺はアイツにボコボコにされた」


「お前、ユウトとまた戦ったのか!?」


「ああ、あの時よりも。更に強くなっていた。それにアイツはずっと拒んでた体術まで使ってきたんだ」


「体術!?。あの剣にこだわるユウトがか!」


「ああ、それにあの時会ったユウトは心が歪んでいた。まるで自分の本当の正義が消えたみたいに。それで色々あって俺も感情的になっちまった。その結果痛い目を見る羽目になっちまったよ。結果レイオ様にご迷惑をかけてしまったよ」


「そうか、・・・」


マサヤは複雑な気持ちを隠せずにいた。


 「親爺さん、今日はここまでにしよう。俺も正直頭の整理が出来てないんだ」


「おう、すまなかったな。もう今日はゆっくり休め、ごめんなサイジ疲れてるのに」


「大丈夫だよ。それじゃ俺もそろそろ寝るぜ」


そう言ってサイジはグラスに入ってるお酒を飲み干した。


 「それじゃ親爺さん。俺は寝るよ、おやすみ」


「ああ、それじゃまた明日な」


サイジとマサヤは自分達の部屋に戻た。


 自分の部屋に戻ったサイジは、ベッドに横にななるとサイジ少し考え事をした。


 「はぁ、正直。俺1人じゃ限界が来てるな。せめてまた1人いれば俺も小ギルドを作れるだけど。でもなぁ」


サイジに取ってギルド作る事、それは自分が子供の頃から夢であった。だがしかし。


 「でもなぁ、これは俺だけの夢じゃないだよな。ユウト、あの時一緒に作ろうって言ったはずなのに」


 そう、この夢はサイジだけでなく、兄弟分のユウトと一緒に目指した夢なのだ。


 「ちくしょう!。ユウトのやつ、何でだよ!。・・・はぁ、だけど頑固になっても無意味だな。・・・俺も考え直そう。よし、もぉユウトは関係ない。俺は、俺の道を進もう!」


 そう言ってサイジは誓った。いつか自分でギルド作ろうと決めた。


 「よし、そろそろ寝るか」


 そしてサイジはそのままゆっくり体の力抜いて深い眠りについた。


  

 

 そして翌日、午前8時11分


 「ファ〜。朝か」


サイジは目を覚まし。あくびと共にベッドから起き上がる。


 「ふぅ。天気がいいな、今日は洗濯日和かな。さて、今日も一日頑張りますか」


そう言って、サイジは1階に降りる。するとマサヤがコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。


 「お、サイジおはよう。よく眠れたか?」


 「うん、よく眠れたよ」


「それはよかった。あ、コーヒー飲むか?」


「うん。じゃあブラックでお願い」


そう言ってサイジはイスに座る。すると。


 コンコン


 玄関のドアたたく音がした。


 「誰だ?。こんな時間に新聞も来てるし牛乳の配達も今日じゃないはずなんだけどな」


「親爺さん俺が出るよ」


そう言ってサイジが玄関の前に行くと


 「おはようございます!。サイジさん!」


「え、えええ!?。り、リオヤ!?」


突如サイジ達の家に来たのは、まさかのリオヤだった。


 「あのリオヤ、どうして俺の家がわかったんだ?。お前、俺の住所まではわからないはずだろ」


「あ、それなら。カンナさんに大事な話があるって言ってお願いしたら。教えてくれました」


「う、あの人には個人情報の危機感認識はないのか?。まぁ、とりあえず中に入りなよ」


「ありがとうございます!」


 そう言ってサイジはリオヤを家に招き入れた。


 「お、サイジ。あれ、お客さん?」


「あ、彼は。俺の任務に協力してくれたリオヤだ」


「あ、始めまして。リオヤ・ドリーレムです。よろしくお願いします」


 リオヤは挨拶をして頭を下げた。


 「へぇ、君がリオヤくんか。今回の件サイジとても世話になったみだいだね。本当が協力ありがとう」


「いえいえ!。僕はサイジに無理に連れて行ってくれって頼んだけですし。事実、1番の功労者はサイジさんですよ。僕なんてただサイジの足を引っ張ってだけで」


リオヤのこの言葉にサイジは。


 「いや、俺がドンバチやってる間に人質を1人で救出しに向かってくれたのはリオヤだ。だから十分なんて言葉じゃ足りないぐらい最高の協力をしてくれた。だから本気でに感謝してる。リオヤ本当にありがとう」


「そ、そんな。こちらこそ本当にありがとございます



リオヤは照れくさそうに頭を下げた。



 「あ、そうだリオヤくん。ココア入れるよ。あとサイジはコーヒーまだ入れてなかったな。待っててな、すぐ入れる」


 マサヤは2人を気遣いそう言った。


「あ、うん。ありがとう」


「あ、ありがとございます」


「よし、じゃあイスに座って待っててくれ」


そう言われたサイジとリオヤはイスに座った。


 「それでさっき話した通り。リオヤ今日に用があるんだろ。どうした、なんかあったのか?」


「い、いえ。何にもないです。むしろ今ところは平和です」


「そ、そうか」


 リオヤこの言葉で、サイジはなんとも言えなくなってしまった。


 「あ、そうなんだ。それはよかった。それで今回は何の件で俺のとこに来たの?」


「そ、それは・・・」


 そう言われたリオヤは急に黙り込んでしまった。


「あ、ゆっくり話していいんだぞ。時間はあるんだから」


サイジはそう言ったがリオヤは。


 「そ、そうですね。あ、あの・・・」


リオヤは何故かガチガチに緊張しながら黙り込んでいた。すると。


 「はい、ココアとコーヒーお待ちどうさん」


マサヤはサイジとリオヤにそれぞれ飲み物をテーブルに置くとリオヤにこう言った。


 「リオヤくん。そんな緊張する事ないよ。サイジならしっかり話を聞いてくれるし、プライバシーもちゃんと守るから相談でも何でもいいから正直に話して大丈夫だ」


 「あ、ありがとございます」


そう言われたリオヤのガチガチした緊張が少しずつ落ち着いていく。


 「それじゃ、俺は2階に行ってるからな」


そう言ってマサヤは2階に上がっていった。


 「そう言う事だリオヤ。相談でも何でもいいから遠慮せず俺に話してみな」


そう言われたリオヤは意を決してサイジに口を開く。


 「分かりました。ではサイジさん。お願いがあります。僕を、サイジの弟子にしてください!!」


「なるほど、弟子ねぇ。・・・弟子!?」


 リオヤの予想もしてなかった言葉にサイジの頭は驚きと混乱状態になった。


 「で、弟子ってリオヤ。いきなりそんなこと言われても」


「わかってます。でも俺、サイジに人柄と強さに憧れてるんです!」


「あ、憧れてるって言われても」


「わかってます。でも俺、サイジに今後もついて行きたいし、色々教えてもらいたいんです」


「ん〜。でもなぁ、俺弟子とかとらない言うか、とった事もないんだよ。それに今後も弟子をとる予定もないって言うか」


「そこを何とかお願いします!!」


「ん〜。そうだなぁ」


サイジは少し困っていた。そもそもサイジ自身弟子とると言う概念がなく。人に自分の技術と学びを本格的に人に教え経験がなかった。するとサイジは心の中の声を出しながら少し考え始める。


 (リオヤの気持ちも分かるけど。そうだなぁ・・・あ、そうだ!)


その時あるアイデアがサイジの頭に浮かんだ。


「リオヤ申し訳ないが、お前を弟子にする事はできない」


「そ、そんな。さ、サイジさん」


リオヤは涙目になりながら下を向く。すると。


 「リオヤ、俺はお前を弟子する事は出来ないけど、俺にある提案があるんだ」


「て、提案?」


 そう言ってリオヤは顔を上げる。


「ああ、リオヤさえ良ければの話なんだけど。・・・俺と組んで一緒にギルドをつからないか?」


「・・・え、ええええ!?。俺がサイジと組む!?それに一緒にギルドを作る!?。いやいや、本気で言ってるんですか!?」


リオヤあまりの事に今度はリオヤが驚きと混乱状態になる。


 「ああ。俺とリオヤが組めば俺のノウハウも教えられるし、何よりも依頼を受ける範囲も広がるし。それに今の俺には仲間が欲しいんだ」


「な、仲間って。ほ、本当に俺と組んでいいですか?」


「もちろんだ!。リオヤはどうだ、俺と組むのは嫌か?」


「い、嫌じゃないです!。むしろ喜んでサイジと組ませてください!」


「よし、決定だな!」


「は、はい!。よろしくお願いしますサイジはん!」


 「あぁ、そのサイジさんって言われるのは、ちょっと距離を感じるなぁ。なんか他にリオヤが言いやすい呼び方とか無いかい?」


 「俺がサイジさんに、言いやすい呼び方。あ、だったら兄貴って呼んでもいいですか?」


「あ、兄貴?。何で兄貴なんだ?」


「俺からしてサイジさん憧れのカッコいい兄貴分って感じなんすよ。そして今回俺と組むって事は俺がその弟分になるって事じゃないですか!。だからこそ尊敬の意を込めて兄貴って呼びたいんです!」


「まぁ、リオヤが呼びやすいならそれでいいよ」


 「よし、じゃあ兄貴!。これからよろしくお願います!」


 「ああ、よろしくリオヤ!」


 こうしてサイジとリオヤは一緒組みギルドを立ち上げる事が決まったのだった。

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ビリーフ・ブレイブ ホシフウ たつと @svsmrd35

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