11話 仕事先

朝の8時10分頃。


「ん〜。ん?。あれ、ここは?」


目覚めたのは、リオヤだった。


「あれ、俺何日寝てたんだ。てか、ここどこだ?」


リオヤが身体を起こし周りを見渡すと。隣のベッドには母のレンナがそして姉上がユリナがリオヤのベッドで前屈みになって寝ていた。


「ね、姉ちゃん?」


「ん〜。ん?。あれ、リオヤ?」


「お、おはよう。姉ちゃん」


「リオヤ!」


「うわ!」


ユリナはリオヤに思いっきり抱きついた。


「よかった、本当によかった!」


「わ、わかった!。わかったから、苦しいって姉ちゃん」


「何ユリナ、朝からどうしたの?」


 そう言ってレンナはベッドから起き上がった。


「母さん、リオヤ意識が戻ったの!」


「本当!。リオヤ!」


そう言ってレンナもリオヤに抱きついた。


「うわ!。ちょっと、母さんまでやめてよ!」


ユリナはリオヤの意識が戻った事を泣きながら喜んだ。そして数分後。


「はぁはぁ、苦しかった。2人ともはしゃぎ過ぎだよ!」


「だって本当に心配したんだから。もしこのまま目覚めなかったらって思ったら、すごく不安になって」


「母さん、姉ちゃん、心配かけてごめんね」


「リオヤが無事ならいいのよ」


レンナとユリナはそう言って喜んだ。


するとリオヤはある事を思い出す。


 「あ!。そう言えばサイジさんから借りてたナイフ!。姉ちゃん俺が持ってナイフ知らないかい?」


「え、私は見てないけど」


「ま、まずい。どうしよう。サイジさんに何って言えば」


その瞬間リオヤ顔色が真っ青になってしまった。


そして、午前9時頃。


コンコン!。


「失礼します」


扉をノックしたのは、サイジだ。


「はい!」


ガチャ。


その扉をレンナが開けた。


「レンナさん、おはようございます」


「あ、サイジさん。リオヤの意識が戻ったんだっんです」


「良かった、無事に意識が戻って安心しました」


そう言ってサイジは部屋に入る。


「ど、どうも。サイジさん」


「おはよさん、リオヤ。2日ぶりの目覚めだな」


「ふ、2日ぶり!?。俺、そんなに寝てたんですか!?」


 リオヤはあまりの事に驚く。


「ああ。いきなり急激な魔力を使ったから、魔力切れを起こして倒れてたんだぞ」


「ま、マジすか!?」


「ああそうだ。でも無事に意識が戻って何よりだ」


するとリオヤが突然俯く。


「その、サイジさん。ごめんなさい!」


「何が?」


「実は俺、サイジさんが貸してくれたナイフ。無くしちゃたんです」


「・・・」


サイジは黙ったままリオヤを見る。


「その、許されない事をしたのは分かってます。俺自身、どんな罰でも受けます。だから、その」


「・・・」


サイジの黙ったままの視線に威圧を感じ、思わず声が詰まるリオヤ。その時。


「ふふ。ぷはぁっはははは!!」


「さ、サイジさん?」


突然笑い出すサイジに動揺するリオヤ。


「その件なら大丈夫だよ。ちゃんとギルド側で回収してもらった。ほら、ルロイダさんが回収しといてくれた」


そう言ってサイジはリオヤに貸したナイフを見せた。


「え、じゃあさっきの威圧は何だったんですか!?」


「ちょっと、からかっただけだよ」


「なっ!?」


「いや〜、ごめんごめん。でもどんな表情になるか見てみたくてさ」


「う、うるさいですよ!。まったくサイジさんは!」


「その調子なら、もぉどこも問題無いみたいだな」


「ぐぅうう!。サイジさんの意地悪!」


そう言いながら、サイジとリオヤ達は笑いあった。そして。


「レンナさん。住民権は貰えましたか?」


「はい、3人きっちり」


「よかった。それでレンナさん、職先の話なんですけど。2階の13番相談室に来てください」


「は、はい。分かりました」


そう言って、サイジその場を後にした。


「相変わらずサイジさんの考えてる事は分からないなぁ。でも、破天荒に見えて実はちゃんとしてる所が不思議なんだよなぁ」


「あらリオヤ。サイジさんの事よっぽど気になってるのね」


「なんか不思議な魅力って言うか、カリスマ性。そんなのを感じるんだ」


「リオヤのそんな目初めて見た」


「え?。どう言う事?」


「すごくイキイキしてる感じ」


「あ、確かに。なんか、サイジさんに憧れてるみたいな」


「な!?。べ、別に憧れてなんか、た、ただ強くて頭の回転も速くて。それでいて優しくて、俺に無いもんを持ってて。それにカッコよくて、すごい人だなと思う思ってるけど。でも、俺はサイジさんを人として尊敬してるだけだし!」


「ふふふ、リオヤはよっぽどサイジさんに憧れるようね。リオヤの口から、カッコいいて言葉が出るんだから」


「ええ、お母さんの言うとうりね」


「ぐっ、口が滑ってしまった」


リオヤは照れ臭そうな顔をしてそっぽ向いた


「さて、サイジも待ってる事だし。私達も行く準備をしますか」


「うん、そうだね」


そしてレンナ達はサイジのいる相談部屋に向かった。


17分後。リオヤ達はギルドユニオンの人達に場所を教えてもらいながら、2階の13番相談室に着く。


コンコン。


「失礼します」


「どうぞ」


レンナがノックをすると、そこには椅子に座るサイジとリカナとその両親がソファーに座っていた。


「どうぞ、ユリナさん達は隣のソファーを使ってください」


「あ、はい」


レンナ達はリカナ達の隣のソファーに座った。


「さて、今日は皆さんにこの国の職場案内を向かおうと思います。昨日選んでもらった条件を元にそれにあった職場を探してみました」


そう言うとサイジは各自に書類を渡す。


「え、この書類サイジが作ったんですか?」


「はい。そうですが」


「サイジさん、大丈夫だったですか!?ちゃんと昨日は睡眠をとったんですか!?」


「まぁ。条件の合う職場を探すのと、書類の作成。色々あって寝たのは深夜の3時ぐらいですかね。で、朝の6時ぐらいに起きましたね」


「ほとんど寝てないじゃですか!」


「大丈夫ですよ。そんなに珍しいことでも無いんで。今日これが終わったら、ちゃんと家に帰ってゆっくり睡眠を取るので大丈夫です」


「そ、そうですか」


「さて、気を取り直して。書類のとうり、今日は各人の条件にあう職場に行ってみます。リカナさん達は服や仕立て関係の仕事を、レンナさん達は薬屋関係の仕事を。今書いてある職場には、事前に向かうとは伝えてます。これからそこへ向かうので準備を整えてください」


「あ、サイジさん。荷物はそのまま置いてっても、大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ。ただ、必要品はしっかり所持しててください」


「分かりました」


「では、午前中はリカナ達の職場を。昼間の午後からレンナさん達の職場に向かいます。準備が出来次第出発しましょう」


そう言って一同は一旦解散し、それぞれ準備をし始めた。


そして20分後。


「サイジさん、準備出来ました」


「分かりました、それでは行きましょう」


リカナ達の整ったので、サイジはリカナ達を連れて目的地に向かって出発した。


「最初はリカナさん達の職場向かいのます。ここから歩いて20分ぐらいです」


「わ、分かりました」


リカナ達は緊張していた。


「そんな緊張しなくてくていいですよ。合わなかったら合わなかったで構いませんから」


「でもサイジさん。私達みたい隣国のよそ者がこの国にいていいんですか?。もし働けなくなったら、奴隷落ちとか」


「この国に奴隷制度はありません。安心してください」


「そ、そうなんですか」


「はい。でも働かなきゃ生活は出来ないで、そこは肝に命じてください」


「わ、分かりました」


そして、しばらく歩くと。


「着きました。仕立て屋ルークルです」


仕立て屋ルークル。クリーニングはもちろんオーダメイドや男女問わず色々な服を扱っているお店である。


「ずごい、立派なお店ですね!。な、なんか緊張します」


「まぁ、落ち着いてください。まず中に入りましょう」


そう言ってサイジ達は店の中に入る。


ガチャ。キリリリン〜。


「こんにちは」


「いらっしゃいませ」


「こんにちは、シキトさんいるかな?」


「いらっしゃい!。おや、サイジちゃん、じゃねぇか!。」


「どうもシキトさん」


「あ、確か面接を受けたいって話の奴か。わかった、悪いサイジちゃん。面接部屋に案内してソファーに座っもらっててもいいかな?」


「はいよ」


そう言ってサイジはリカナ達を面接部屋に向かった。


「あ、あのサイジさん。このお店の方とはお知り合いなんですか?」


「ええ。俺もここで10代の頃からクリーニングなどを頼んでるんです。ちなみシキトさんはここの15代目の人なんですよ」


「15代目!。そんなに続いてるんですか!?」


「はい。それだけに腕も確かです」


そんな会話をして、サイジ達はシキトに言われた面接室に入る。


「こちらのソファーに座っていてください」


「は、はい」


リカナ達はソファーに座りサイジ木の椅子に座った。


そして20分後。


「いや〜遅れて申し訳ない、今作業を終えた所だ。それじゃあ、面接を始めよう」


「「よろしくおねがいします」」


リカナ達は一家揃って挨拶をしする。


「まずは旦那さんの方ね、お名前はエンルド・エリナールカさん。年齢42才。以前の職業は仕立て屋ね」


「はい、下積みを積んで独立し、自営業でやっていました」


「なるほど。ありがとうございます」


「次にエンルドさんの奥さんの、リエナ・エリナールカさんね。以前の職業は同じく仕立て屋さんだね。その前は花屋さんか」


「はい、16歳の頃から働いてました。それで18歳の時に夫に出会い20歳で結婚して夫の所嫁ぎました。それ以来夫の仕事を手伝ってます」


「なるほど、ありがとうございます。次はリカナ・エリナールカさんだね」


「は、はい」


「リカナちゃんはエンルドさんとリエナさんの娘さんだね。リカナちゃんも16歳からお店で働いてたんだね」


「はい。実は私、まだまだ見習いなんです。ホントに父や母ほど手先も器用じゃないんですけど。それでも私には夢があるです!」


「夢?」


「はい!。いつか父と母の様に自分で服を作りたいと言う目標があるです!。そしていつか自分の作った服をお店に出し色んな人を笑顔にしたいんです。子供から大人まで老若男女問わず、自分の心を込めた服を作りたいです!。お父さんのお店の様にお客さんを心から笑顔する服を作りたい、それが私の夢なんです!」


「なるほど、情熱的だね」


「あ、申し訳ありません!。私ばかり一方的に」


「いやいや、そんなことない。それだけ真剣なのは素晴らしい事だよ。それで、いなりで悪いんだけど」


その瞬間、リカナ達は背筋凍りついた。もしかしていきなり不採用と言われて断られてしまうのかもしれないと、自分達は良くないことを何か言ってしまったのではないかと、不安な感情に煽られた。しかし、シキトから口に出た言葉は。


「明日から、働けるかな?」


「え?」


「いや、去年2人定年で退職しちゃってさ。ちょうど人出不足で困ってたんだよ」


「それって、私達を採用してくれるって事ですか?」


「もちろんだよ」


「ほっ、本当ですか?」


「二言はないよ」


「で、でもいいんです?。我々は帝国に住んでた人間なんですよ」


「貴方達がどこに住んでたかなんて関係ない。それにサイジちゃんが信用してるだ。俺も何人ものお客様をまた来たから、ある程度人の見方は分かるんだ。貴方達は悪い人じゃない。だから是非うちの店に来てくれませんか?」


そう言われたリカナ達は。


「もちろんです!。是非働かせてください!」


リカナの父エンルドがそう言うと。


「私もお力になれるなら、是非働かせてください!」


母のリエナもそう言った。


「あの、私も採用でいいんですか?」


「もちろんだ。是非うちの店で経験を積んで、君の立派な夢を叶えて欲しい」


「あ、ありがとうございます!。私、精一杯頑張ります!」


こうしてリカナ達の職先が決まった。


「明日から住み込みでよろしくね。あ、後お風呂は男女別だけど共同浴場だからそこは申し訳ないけど我慢してね」


「え、お風呂もあるですか!」


「え?。お風呂ぐらい普通あるでしょ? 」


「し、信じられない。私達の国ではお風呂は高貴な方しか入れないのに」


「な、なんだって!。それは本当なのか!」


シキトは立ち上がる。


「はい、それだけでなく税金もどんどん高くなっていって、平民の人達の生活もますます厳しくなってきてるんです」


「くっ、ついに帝国もそこまで腐り出したかのか!。あいつら!」


シキトは帝国の理不尽さに怒った。


「シキトさん。怒る気持ちも分かる。だからこそ俺も帝国を何とかしようと動いてるんだ。だからその件は俺に任せてくれ」


サイジの言葉にシキトは。


「そうだな。サイジちゃんが今の帝国の唯一の希望となのかも知れないな。がんばってくれよ、サイジちゃん!」


「頑張ります」


「よし、じゃあ気持ちを切り替えて部屋に案内しよう」


こうして色々あり、リカナ達の職先と住む場所が無事に決まった。



午後1時。


サイジはギルドユニオン本部にもどると。レンナたちの部屋に向った。


コンコン。


「は、はい」


「失礼します。サイジ・レナルロレードです」


「あ、サイジさん!。どうぞ!」


「入ります」


サイジがドアを開けて中に入った。


「どうも」


「サイジさんお疲れ様です」


「そんなかしこまらなくたっていいですよ。それで面接に行く準備は整いましたか?」


「あ、はい。ユリナも大丈夫よね?」


「私は大丈夫よ。それよりリオヤは大丈夫なの?」


「え、俺は大丈夫だよ。いつでも行けるよ」


「あ、リオヤは年齢的にまだ無理だからな」


「ええ!?。サイジさん、何でなんですか!?」


驚いたリオヤにサイジは説明を始める。


「リオヤはまだ15歳だろ。この国で正式に働ける年齢は16歳からなんだ」


「そ、そんな。じゃあ俺は見習いもバイトもできなんですか!?」


「いや、年齢を満たしてないからって完全に働けない訳じゃない。12歳からなら料理人のアルバイトも始められるし。ギルドなら13歳で見習いから始められる。ただ薬局はかなり規定が厳しくて、人の命にも関わる仕事だ。だからこそ年齢も制限しなきゃ行けないし、それなりの資格や大きな責任をもってやらなきゃ行けないだ」


「そっ、そうなんですか。・・・すいません。甘く見てました」


リオヤ頭を下げた。するとレンナが


「リオヤ、無理する必要はないわよ。あなたはまだ若いしこれから将来色んな可能性があるのよ。リオヤはリオヤのやりたい事をやりなさい」


「母さん。・・・」


するとユリナも。


「私もリオヤはリオヤのやりたい事をやった方がいいと思ってる。私の仕事もやりたくてやってる事だから。リオヤにもやりたいをやってほしいの」


「姉ちゃん。・・・わかった。俺も俺なりに、やりたい事をの考えてみるよ」


そう言ってリオヤは納得した。


「じゃあレンナさん、ユリナさん。準備はいいですね」


「「はい」」


「よし、じゃあついでにリオヤも付いて来い」


「何で俺だけ雑な言い方なんすか!」


「気にするな!」


「気にしますよ!」


「じゃあ、行きますよ!」


「誤魔化さないでください!」


そんな会話をしながらサイジ達は、次の職場にむかった。


ギルドユニオンを出て数分後、リオヤ圧巻されていた。


「すっ、すごい。こんな国があったなんて」

 

 リオヤは驚きながら周りを見渡していた。


「あ、そうか。リオヤは今日初めて街を見るんだったな」


「ふふ、私も初めて見たときそんな感じだった。まだリオヤは子どもっぽさ残ってて安心した」


「ち、ちょっと姉ちゃん!。いい加減俺をガキ扱いするのはやめてくれよ!」


「ははは、3人とも本当に仲いいんですね」


サイジは笑いながらそう言った。そして20分後。


 「さぁ、着きましたよ。ここが薬局、ルイナルゼです」


 薬局ルイナルゼ。国が正式公認してる、薬局である。様々な薬を扱っており。新薬の開発や研究も行っている所である。


 「サイジ・レナルロレードです。カンナさんにに用件があります」


 「あ、サイジ様ですね。ご用件は伺ってます。どうぞこちらへ」


 そう言われてサイジ達は受付の指示のもとカンナと言う人物の所へ向かう。


 そして午後1時。


 コンコン。


 「失礼します。カンナ局長。サイジ様がいらっしゃいました」


「ああ、入ってもらって」


 「失礼します」


「あら、サイジくん。久々ぶり」


「どうも、カンナさん。今日書類の通りこの人達を面接に連れて来たよ」


 「あ、昨日送られてきた書類の人たちね。人手が足りなくて困ってたところだったのよ。それじゃさっそく部屋に入ったもらってよろしですか?」


カンナと言う人物がそう言うと。レンナ達が部屋に入った。


 「失礼します。お初にお目にかかります。レンナドリーレムと申します」


 「娘のユリナ・ドリーレムです」


 「息子のリオヤ・ドリーレムです」


 「おや、書類では2人のはずなのに1人多いわね」


「え、あ!。いや、俺は違います!」


 リオヤが慌ててそう言うと。サイジがすかさずフォローする。


 「すいません。リオヤはまだ未成年なので、この面接には参加しません。今回は家族の付き添いで来ただけなので」


 「なるほど、リオヤくんだっけ?。なんか勘違いしてごめんなさい」


「いやいや!。気にしないでください!」


 「ふふ、君は素直で優しいわね。よし、それじゃ面接を始めようか」


 こうして面接が始まった。


 「私はカンナ・ジェナール。ここの薬局の責任者をしていおります。それでは初めにレンナ・ドリーレムさん、お願いします」


「はい、改めまして、レンナ・ドリーレムともうします」


 「自己紹介ありがとうございます、レンナさん。年齢は45才で職業は薬屋を営んでいたそうですね」


「はい、ですが今回の誘拐事件をきっかけにお店を畳まなくていけなくなってしまって」


 「なるほど、ちなみレンナさんは一様、薬剤師の特殊国資格を持っていますかます?」


「はい、19歳の時に帝国総合薬剤師の準1級を持ってます」


「帝国総合薬剤師の準1級!?。それは本当なんですか!?」


 カンナは驚いた。


「え、母さんってそんな凄かったの!」


「すごいなんてもんじゃないわ!。王族の人や上流階級の人の為の薬を作る為にはこの総合薬剤師の免許が必要不可欠なの。レンナさんはつまり国際的エリートって事よ」


 「俺の母さんが、エリート!?。しかも、国際的!?」


 「お母さん、そんな凄かったんだ。私、全然知らなかった」


 リオヤとユリナは驚きのあまり言葉を失った。


 「でもお母さん、そんなすごい実績があるのに何で、下町の薬屋になったの?」


 「それは・・・まだ話せない。その、貴方達のお父さんが関わっているから」


「え、父さんの事が?。一体なんで?」


リオヤがそう言ったとき。ユリナが。


 「リオヤ、今はその事を聞くのはやめましょう。お母さんも、色々感情が整ってないみたいだから」


「あ、ごめんなさい」


「本当にごめんなさい。その近いうちには話せると思うから。今まだ、少しまってて」


レンナそう言うとリオヤは。


 「お母さん・・・。辛い時は無理に話さなくてもいいから。もしちゃんと話せる時が来たらその時に話を聞かせて」

 

 「ありがとうリオヤ」


 そんな様子を見たカンナは。


 「本当に優しいお子さん達ですね」


「そうです。ユリナもリオヤも私にとって本当に大切な家族であり生涯の宝物です」


 そう言われたリオヤとユリナは照れくさそうな顔だった。


 「それに、リオヤくんの真っ直ぐな性格は、サイジくんに似てるな」


 「え、俺がですか?」


 「カンナさん、俺はリオヤほど真っ直ぐじゃないですよ」


 「そんな事ないわよ。最近のサイジは見栄えは少し不良ぽくなったけど。真っ直ぐで優しい性格は相変わらず隠しきれてないし。それにここの最近はちゃんと自己主張が出来るようになったみたいだし」


「や、やめてくださいよ」


サイジは少し恥ずかしそうな表情だった。


 「それにちょっと前のサイジくんは激しいく落ち込んで暗かったけど、最近大分明るくなっなってよかったわ」


「え、あぁ。・・・」


 急にサイジは黙り込み、少し辛そうな表情になる


「え?。サイジさんが落ち込んで、暗かった?。どう言う事ですか?」


リオヤがそう言うと、サイジは。


「そこは、あまり話したくないんだ」


 するとユリナがリオヤを叱った。


「こら、リオヤ!。サイジさんをあんまり困らせないの!」


 「あ!。ごめんなさい!」


 「あ、気にしなくて大丈夫です。それよりカンナさん面接を続けてください」


 「そうねぇ、それじゃ2人には明日からここで働いてもらうわ」


 「え、本当ですか!?」


 「もちろん、レンナさんは開発部にユリナさんは見習いで仕事をしながら勉強して必要な資格を取りましょう。資格に必要な費用はこちらで負担させてもらうはわ」


 「え、いいんです?」


「費用って負担するっ言っても、条件がないわけじゃないわ。私達が負担できるのは資格一つにつき3回までよ。それ以降は自己負担て形にはなるけど。やれるかしら?」


「はい、是非やらせてください!」


 ユリナはハッキリと返事をした。


 「契約成立ですね。それじゃ今後ともよろしくお願いしますね」


こうしてレンナとユリナは無事に採用となった。そしてそのまま3人の住む部屋も決まり今日のサイジの仕事無事に終わった。




 


 

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