9話 一騎打ち

その男は緑の髪に赤い瞳、そして鍛え上げられた肉体と180センチ以上ある身長、そして背中に重さ100キロ、長さ1メートル以上ある大剣を背負っていた。


「アンタが親玉だな」


サイジの言葉に盗賊の親玉は。


「そうだ。俺がここのリーダー、元帝国騎士団第3部隊隊長のルオガ・クラフラースだ」


「ルオガ、それがあんたの名前か。ならアンタに1つ質問する。アンタ達はいつ騎士団を抜けたんだ?」


サイジはルオガと言う男に質問するが。


「お前の質問に答える義理は無い」


回答を拒否されてしまった。


「答えてくれないのかぁ、まぁいいや。ちょっと言わせてもらうが、俺はあんた達と争いをしに来たわけじゃない。あんた達と話をしに来たんだ。俺としてはこれ以上争いたく無いと言うのが本音だ」


「周りの状況を見る限り、あんたの言葉には説得力が無いな」


「いや、俺からおっ始めた訳じゃ無いんだけど」


「言い訳など無用だ!」


「おいおい。言い訳じゃない、事実だ。それに、先に攻撃してきたのはそっち側だろ。俺は自分から手を出すほど大馬鹿じゃねぇよ」


「・・・、お前の目的は何だ?」


「まぁ、目的と言うより頼み事だな」


「頼み事?。何が望みだ?」


「降伏してもらいたい」


「降伏?」


「ああ、そうだ。一様討伐って依頼でここに来たんだけど、アンタ達、帝国から逃げてきたんだろ」


「!!」


「その表情、やっぱりか。アンタ達は居場所が無く、こうやって生きていくにもやっとなんだろ?。今降伏すればアンタ達を捕まえたり罪人に扱いにはしない」


「貴様、何故帝国から逃げた事がわかる?」


「それはまず、第3騎士団の件だ。今、帝国第3騎士団の隊長は別な人間になってる」


「何故貴様が知っている!。お前は帝国騎士団から送られた刺客か!」


「それは違う。俺はサイジ・レナルロレード。ギルドユニオンの人間でフリーで活動をしてる」


「ギルドユニオン?。まさかお前、ギルド国の人間なのか!」


「そのとうりだ」


サイジその言葉を聞いた瞬間。


「ふざけるな!。あの時はよくも俺達を!。お前らなんかに降伏する気は無い!」


ルオガは急に怒りの大声をあげた。


「おい、急にどうしたんだよ!」


「黙れ!。お前達が俺達を拒んだんだろ!。それで俺達は居場所を無くしたんだ!。俺達をこんな目にあわせたお前らなんかに、降伏などするものか!」


「おい、一体何の話をしてる?」


サイジは本当に、ルオガの言ってる意味が分からなかった。


「とぼけるのか!。俺達が命かならがら森を抜けやっとギルド国にたどり着いた時、お前達は帝国の人間は受け入れないと言って門前払いしたんだろ!。それが今更降伏しろだのと、偉そうな口叩きやがって!」


「おい、ちょっと待て!。今の話、本当なのか!」


「まだとぼける気か!。もぉいい、交渉決裂だ!」


「待て、いきなりすぎるだろ!」


「交渉の余地はと言っている!。それと、お前の事はこの場で刈り取らせてもらうぞ!」


「だから待てって!。俺はアンタと戦う気はないぞ!」


「そんな事はどうでもいい!。このままではお前らギルド国の奴らに捕まって、俺達の仲間と家族が罪人になってしまう!。正しいと思ってした事が、結果的にアイツらを苦しませる事になってしまったんだ。だから」


ルオガは背中に背負った大剣を手に取る。


「罪人になるのは、俺1人でいい!。仲間達を守る為に俺は、お前を倒す!」


ルオガ強い意志と共に大剣を構え出す。


「・・・本当に交渉の余地は無いんだな?」


「無い!」


「・・・わかった、いいだろう」


サイジは拳を構えた。


「アンタのその意志、試させてもらう!。アンタと俺の、一騎打ちだ!」


「上等だ!。元帝国騎士団隊長、大剣使いの力を見せてやる!」


「いいぜ、かかってこい!」


ルオガは大剣を片手で握った。


「行くぞ!。はぁああああ!!」


ブォアン!。シュン!。


「うわっ!」


サイジはルオガの大剣をかわした。


(片手であんなデカイ剣をここまで速く扱えるとは、やっぱり隊長クラスは侮れない)


「俺の一太刀をかわすとは、相当な実力者である事は認めてやる」


「アンタも、そんなデカイ剣を片手で扱えるとは。相当なパワーと腕の持ち主だ」


「まだ、本気じゃないぞ」


「ああ、分かってるよ。こっちも少し、本気で行くぜ!。はぁあああ!」


サイジは拳を魔力こめる。


「炎の奥義、烈火拳!」


ブシュルルルルルル!!。


荒々しい炎を纏った拳をルオガに叩き込もうとするが。


「その程度か!」


シュン!。ブシュルルル!


「何!?」


ルオガはサイジの拳をいなした。


「くっ、まだまだ!」


今度は後ろに下がり魔法を唱えるサイジ。


「風魔法、ハイパーウィンド!」


バシュルルルン!!。


強烈な風をルオガに叩き込むが。


「この程度!」


ルオガは大剣を両手で握りしめる。


「オラッアアアアア!!」


バシュン!。ブロロロォ!!。


「何!?。魔法が!」


ルオガはサイジの魔法を斬り裂く。


「今度はこっちから行くぞ!。はぁああああ!」


ルオガは大剣を両手で構える。


「大剣連速斬り!」


シュルルルル!。ビリリリ!!。シュン!


「くっ、結構なスピードだ!」


サイジはルオガ技をかわす。


「くっ、パワーも強いが剣を振るうスピードもかなり速い!。これじゃカウンターを打ち込めない!」


「おいおい、もぉへばってんじゃねぇよな!」


「まだまだ!。はっ!」


シュンシュン!


サイジはバク転をしながら後ろに下がる。


「結構威力な魔法をぶち込んでやるぜ!」


そう言って、サイジは魔法を唱える。


「炎魔法!」


ブワッ!。ボッ!ボッ!ボッ!!。


サイジの周りに複数の炎の玉が現れた。


「火炎連弾!」


ヒュン!。ボンボンボンボン!!。


ルオガに向かって炎魔法を放った。


「くっ、やってやる!」


ルオガは大剣を握り。


「ドリャリャリャリャリャリャ!!」


ドドドドドン!!。ドドドドドン!


ルオガは炎魔法を大剣で1つ1つ正確に素早く斬り裂いた。


「これも斬り裂くなんて。やぱりアンタただ者じゃないな」


「そっちこそ結構本気でやったのに、俺の技をかわすとは。油断できない奴だ」


「ふっ、中々いいね。アンタは普通の人間より優れた、技術と身体能力そして精神力を持っている。認めるよ、アンタは優秀な戦士だ!」


「調子に乗りやがって、ならこっからは本気だ!。もぉ遠慮しない!」


「へっ、アンタにならこれを使っても大丈夫だろ」


そういって、サイジは自分の剣に手をかける。そして。


カシャン。シューン。


鞘から剣を抜いた。


「俺が剣を使う相手。1つ、魔物。2つ、強者。そして3つ、俺が本物の戦士と認めた相手だ」


「何だと?」


「アンタは3つ目だ。優れた戦闘能力。そして自分を犠牲にしてでも、仲間の為に戦い、必死に守ろうとする強い意志。アンタは、本物の戦士だ!。だから俺も1人の戦士としてアンタと戦う!。この剣はその証だ!」


その言葉に、ルオガは。


「ふっ、面白い!。ならこっちも、全身全霊を掛けてお前を倒す!。こっからは真剣勝負だ!」


「いいだろ。かかって来い!」


2人は互いに剣を構えて出した。


「では、行くぞ!。うぉあああああ!!」


ルオガは高く飛び上がりサイジに向かって大剣を振りかざす。


「いくぞ!。大空立斬!!」


シュルルル、シャキン!!。ドゴン!。


ルオガはサイジに全身の力を込めた、強烈な立て斬りを叩き込む。しかし。


「な、何!」


「ふぅ。久し振りだぜ、こんな痺れるような衝撃は!」


なんと、サイジがルオガの大剣を自らの剣で受け止めた。そして


「オラよ!!」


サイジはルオガの大剣をなぎはらった。


「俺の技をそんな剣で受け止めるなんて。貴様、その剣は一体何なんだ!」


「そうだな、俺に勝ったら教えてやるよ」


「へっ、そうかよ!。だが答えを聞く前に、お前を先にやっちまうかもな!」


「どうかな。俺はまだまだ余裕だぜ」


その言葉にルオガは。


「この野郎、調子に乗ってんじゃねぇぞ!。うぉらあああああ!」


「はぁああ!」


カキン!。シャキンシャキン!。


「はぁああああ!!」


「はっ!はっ!はぁ!!」


カキン!。ヒュンヒュン!!。シャキン!!


ルオガは一心不乱に攻める。しかしルオガの攻撃受け止めているサイジはまだ余裕の表情だ。


「はぁはぁ。お前、どうしてそんな余裕な表情でいられる!」


「それは、まだ余裕だからだ」


「ふざけんじゃねぇ!。これ以上バカにされてたまるか!」


カキン!。カキンカキン!。シャキン!!。


ルオガは必死でサイジに斬りかかる。しかしサイジ一向に隙を見せない。


「クソ、何故だ!」


「さて、こっちも攻めさせてもらうぜ!」


次の瞬間。


バゴン!


「ぐぉ!。ぐっ、おぇ!」


サイジはルオガの腹部に強烈な拳を1発叩き込むだ。そしてルオガは腹部を手で押さえる。


「ぐっ。拳なんて、汚ねぇぞ!」


「いや、別に汚くはないだろ。隙があれば即攻める。これが俺の戦い方だ。アンタから言い出したんだろ。これは、真剣勝負だ!」


「ナメやがって!。ふざけんな!。うぉおおおお!!」


カキン!。シュン!。カキン!。シャキン!


「オラ!!」


ヒュン、ドゴン!!。


「ぐあっ!!」


今度はルオガの横っ腹に風を纏った強烈なミドルキックを叩き込むサイジ。


「こ、この野郎。ぐっ!」


ドサっ!。


ルオガは片膝をついた。


「ギブアップか?」


「ま、まだだ!」


ルオガは腹部を押さえたまま、再び立ち上がる。しかし呼吸が乱れていた。


「はぁはぁ。ちくしょう」


「なぁ。もぉ、やめた方がいいんじゃないか?」


「黙れ!。まだ、やれる!」


「はぁ。本当に往生際が悪いねぇ」


「はぁはぁ。勝負は、まだ終わってない!」


ルオガは渾身の思いで大剣を構えた。すると。


「ルオガ隊長!。加勢します!」


3人の男達がやって来た。


「俺達の真剣勝負に、首掴むな!」


サイジはそう言ったが。


「うるさい!。これ以上好き勝手にされてたまるか!。行くぞお前ら!」


3人は一斉に剣を抜く。すると。


「お前達、手出しするんじゃねぇ!!」


「え?。し、しかし」


ルオガの言葉に男達は動揺する。


「これは、男同士の真剣勝負だ!。それに手出しするのは、俺の誇りが許さない!。この戦いは俺自身が決着をつける!。どっちにしたってお前達が敵う相手じゃない!。お前達の気持ちはありがたいが、俺の誇りを背負った戦いに手を出さないでくれ!」


「た、隊長。・・・」


3人は黙り込んだ。


「はぁはぁ。さぁ、決着をつけようぜ!。俺の最高の技をお前に打つけてやる!!」


ルオガ剣を両手で握り詠唱をする。


「雷撃よ、我が剣に大いなる力を!」


ビリリリ!。ビリリリ!。


大量の魔力の雷がルオガから流れ出す。


「魔法剣、雷魔刃切断!!」


ビリリリ!!。バリバリバリバリ!!。


ルオガは激しい大剣に荒々しい雷と共にサイジに向かって突っ込む。


「いいだろう、こっちも行くぜ!」


サイジも剣を構える。


「はぁああああ!!」


サイジはルオガに突っ込んで行く。


「うぉおおお!!」


「行くぜ。剣術奥義、虎刃烈斬!!。はぁあああ!!」


シャキン!。ヒュン。バシュン!。


2人の技がぶつかり合った。そして。


「・・・」


「・・・。うっ」


ドン、バタン。


倒れたのは、ルオガだった。


「ゆっくりと、静かに眠ってな」


そう言ってサイジは自分の剣を鞘に収めた。


「隊長、嘘だろ。隊長!!」


「嘘だ!。こんなの嘘だ!」


「どうして。どうして隊長を!」


3人の男達は怒りの声を上げた。


「もぉ、許さねぇ!。うぉおおお!」


「テメェ、ぶった斬ってやる!」


「隊長の仇だ!」


3人は一斉にサイジ襲いかかる。その時。


バシュン!シュルルルル!


「ぐっあ!」


「うわっ!」


「ぬわっ!」


3人の男達に向かって風魔法が放たれた。


「そこまでだ!」


そこに現れたのは。


「る、ルロイダさん!。それと調査団の皆さん、ちょうどいい所に来てくれた」


サイジ達前に現れた男は、ルロイダ・ルークランズ。年齢38歳、ギルドユニオン幹部の一人でユニオン直系ギルド団のボスをやっている。そして後ろにいるはそのギルド団体の調査チームである。人数はルロイダを入れて46人である。


「一人残らず捕らえろ!。ただし女性や子供にはロープを使うな!」


「「 はい」」


そう言って調査団のがバラバラになり。するとルロイダはサイジに声をかける。



「サイジ、これお前がやったのか?」


「はい、ご覧の通り」


ルロイダは思わず圧巻した。


「サイジ、お前ほんと強くなったな。正直幹部クラスになっていてもおかしくないレベルだぞこれ。お前ギルドではS級クラスなのにらほんともったいねぇな」


そう言われたサイジは。


「まぁ、昔は幹部を目指してましたけど。今の俺には、やらなきゃいけない事があるので。あ、今回は俺だけじゃなくて他にも協力してくれた人物がいるんですけど」


そんな話をしていると。


「何をするんですか!。離してください!」


「ん?」


サイジが振り向くと。


「いいから来なさい!」


調査団に引っ張られていたのは。リオヤの姉ユリナと二人の女性だった。そしてリオヤが調査団の男に抱きかかえられていた。


「おい、ちょっと待ってくれ!」


「ん?。あ、サイジさん!」


「すまん、その人達は被害者だ。解放してくれないか」


「あ、はい。サイジさんがそう言うなら」


「ありがとう」


そう言って、調査団は女性3人離した。そしてサイジはリオヤを抱き抱える。


「リオヤ、リオヤしっかりして!。リオヤ!」


「何があったんですか?」


「リオヤが、男の人と戦って。魔法を使った後倒れて」


「魔法?。ちょっと失礼」


サイジはリオヤの頬に手お当てる。


「ふぅ。疲労と魔力不足で眠ってるだけです。命に別状はありません」


「そ、そうですか。命に問題ないならよかったです」


「念のため回復魔法をかけときましょう」


サイジはリオヤに回復魔法をかけた。


「もしかして、回復魔法を使えるんです?」


「はい、使えます。これで大丈夫です」


「あ、ありがとうございます」


ユリナは頭を下げた。


「そちらの2人もケガはありせんか?」


「は、はい大丈夫です」


「わ、私も大丈夫です」


「そうですか、分かりました。みなさんご無事でなによりです」


サイジそう言った直後。


「ふざけんな!!。よくもルオガ隊長の命を奪ったな!!」


調査団に捕らえられた盗賊団男達だった。


「そうだそうだ!。何故だ、何故ルオガ隊長の命を奪った!。隊長は何も悪くないのに!。何故だ!」


「そうだ!。そもそも誘拐を実行したのは、俺とコイツらともう1人を含めた4人だ。隊長は何も悪くない!。俺達は、自分の子供達が謎の症状かかって、治せる薬がここにはなかったんだよ!。それに食料もかなりの不足していた!。だから俺達にはこの方法しか思いつかなかったんだ!。誘拐する計画をルオガ隊長は断固反対していた!。だから裁かれるのは俺達の方なんだ!。俺達がルールをやぶったんだ!。なのに、ルオガ隊長の命まで奪う必要はなかったじゃないか!」


その言葉にサイジは。


「アンタらの隊長は。ん、謎の症状?。おい、どういうことだ!」


「お前なんかに、答えるつもりはない!」


「こんな時に意地はってる場合かよ!。ちっ、しょうがない」


するとサイジはルロイダの所へ向かう。


「ルロイダさん。調査団の皆さんに、体調を崩してる子供達がいたらすぐに俺のとこに集めてくれらように指示してください!」


「わかった、任せろ!」


ルロイダは調査団のみんなに指示する。


「おい、体調崩してる子供は急いでサイジの所に集めろ!。1人残らずにな!」


「「了解!」」


そう言って調査団の皆んなは子供達の体調を確認する。


「おい、何のつもりだ!」


「診察をする」


「診察?。やめろ!余計な情けなんていらない!」


「悪いけど、俺はお節介な人間なんだ」


そう言っていると。


「サイジさん!。謎の腹痛と高熱がある子供が6名いました!。今連れてきます!」


そして調査団は6人の子供達をサイジのもとへ連れてくる。


「大丈夫か?。今どこが痛い?」


サイジはまず男の子に声をかける。


「お、お腹が。苦しい。痛い」


「どれ、ちょっと診察するよ」


サイジは男の子のおでこに手を軽くあて、さらにお腹に軽く手をあてた。


「これは、まさか」


その時。


「やめてください!。子供達だけには子供達だけには手を出さないでください!」


一人女性が泣きながら訴える。それを調査団の2人が止めていた。


「下がっていてください」


「嫌です!。私の娘と息子を返してください!」


すると、サイジはその女性の所へ向かう。


「まず落ち着いてください。大丈夫です。自分は、息子さんと娘さん達の診察をしてるんです」


「そんな話し、信用できません!」


「今は信じてください!。俺は子供達を助けたいんです!。申し訳ありませんが質問してもいいですか?」


「あなたの質問なんかに、絶対答えません!」


そう言われたサイジは。


「こんな時に意地を張ってる場合か!。アンタはその意地を自分の子供の命を犠牲にしてまで通さなきゃならないのか!。アンタは自分の意地と子供の命、どっちが本当に大事なんだ!。」


「う、それは・・・」


サイジの言葉に女性黙り込む。


「急に怒鳴ったりして、申し訳ありません。でも、俺は本気で子供達を助けたいんです!。その為には色々な裏付けが必要なです。このままでは子供達の命に関わります。お願です協力してください!」


サイジの言葉にその女性は。


「・・・分かりました」


「ありがとうございます。それでは質問します。ここ2週間の間に何か川魚か何か口にしました?。例えば黒に輝いてる魚とか」


「黒色の川魚?。あ、確か5日前にそんな魚を譲ってもらった魚に紛れ込んでました!。綺麗な川の魚だから大丈夫だろうって言われて」


「なるほど、ありがとうございます。よし、裏が取れた」


「え?」


するとサイジがルロイダの所に駆けつける。


「ルロイダさん。お代は後で払うから魔力回復ポーションあるか?」


「え、1つならあるけど」


「よかった。じゃあ俺は今からちょっと特殊な魔法を使うから」


「は!?。ちょっと待て!。状態回復魔法を使う気か!?。サイジ、状態回復魔法は普通の回復魔法の倍の魔力を消費するんだぞ!。しかも6人、いくらお前でも体がもたないぞ!」


そう言われたサイジだが。


「大丈夫ですよ。俺をナメないでください」


そう言ってサイジは子供達の所へ向かう。


「待ってて、今助ける」


そう言ってサイジは、まず1人の男の子の前に両手を出す。


「我が魔法よ、かの者の毒を取り除け。ポイズン、ピュリファイ!」


次の瞬間、青いオーラが男の子体を包む。すると。


「うっ、ううう。あれ、お腹が痛くなくなった」


「よし、うまくいった。もう傷みは無い?」


「う、うん」


「よかった。よし、次行こう」


そう言ってサイジは1人また1人と子供達に状態回復魔法をかける。


「最後の1人、いくよ。ポイズン、ピュリファイ!」


「うっ・・・。あれ、傷みが無い」


「もぉ、大丈夫だよ。ぐっ」


ドタ。


サイジは片膝をついてしまった。


「おい、サイジ大丈夫か!。」


「だ、大丈夫です。ちょっと魔力を使いすぎちゃっただけです」


「汗が出てる、無理しすぎだ。とにかく、早くこれ飲め」


ルロイダは魔力回復ポーションをサイジに渡す。


「ありがとうございます」


サイジはルロイダから貰った魔力回復魔法ポーションを一気に飲み干した。


「もぉ大丈夫ですよ。息子さんも娘さんも無事治りました」


「はっ!。ヒロ!。ナル!」


母親は我が子の所に向かう。


「お母さん」


「治ったのね、無事でよかった」


そう言って母親は2人の我が子を抱きしめた。


「後2日遅れてたら、取り返しのつかない事なってました。お子さんが食べた、川魚には毒があったんです」


「毒!?。え、一体なぜ!?」


「この魚は、死んで一定時間過ぎると血が毒に変るんです。最悪場合、人を死に至らしめる魚なんです。通称黒い道ずれ。そう言われていて、食すには注意しなきゃいけないんです」


「え、じゃあ後2日遅れてたら」


「お子さんは、恐らく」


「あ、ありが。うっ・・・」


女性はお礼を言おうとしたが、複雑な思いで頭を下げる事ができなかった。


「別に礼なんて、言わなくてもいいですよ。俺が勝手にやった事なんで。それでは」


そう言ってサイジは盗賊団の3人男達に報告する。


「アンタら、子供達は助けた。もぉ大丈夫だ。この件は安心していいぜ」


その言葉を聞いた男達だが。


「くっ、礼なんて言わないぞ!。俺達の隊長の命を奪ったお前なんかに頭なんか下げないからな!。隊長は死んだんだ!。もぉ戻って来ないだ!。お前のせいで!」


「・・・」


そう言われたサイジだが


「あんたらの隊長は死んでないよ。ちゃんと生きてるよ」


「ど、どう言う事だ?」


男達はサイジの言葉に耳を疑った。


「だから、生きてるって言ったんだよ」


「だってお前さっき隊長を剣で」


「ああ〜。あれは、みねうちだ。刃の部分で斬ったんじゃなくて、後ろの方でアゴを叩いたのさ」



「な、何だって!?」


「当たり前だろ、何のために俺がこの剣使ってっと思ってんだよ。それに、俺が人を死なせる訳ねぇだろ。人の命を奪う事は、俺の信念に反するからな」


「でも、証拠は」


「証拠、そうだな〜。ルロイダさん、敵のリーダの今の状況はどう?」


「ん?。敵のリーダはアゴの骨は折れてるが命に別状はないぞ」


「だ、そうだ」


「・・・」


男達は黙り込んだ。


「さて、それはさて置き。ルロイダさんもういっこ頼みがあるんですけど」


「ん?。何だサイジ?」


するとサイジはルロイダの耳元でこう言った。


「俺に、この人たちの弁護させてください。後、マスターにも話があるので少し時間をとって欲しいと頼んでください」


そう言われたルロイダは。


「わかった。この件の弁護はお前に任せる。後マスターにも少しでも時間取れるように、俺が出来るかぎり頼んでみるよ」


「ありがとうございます。お願いします」


そう言ってサイジは頭を下げた。


「じゃあサイジ、俺達は先に戻るぜ。後この被害者の2人の女性は俺らが責任持って送ってく」


「はい。ありがとうございます。あ、後リオヤとユリナさんも一緒に連れて行ってもらえます?」


「この2人は?」


「依頼人のご家族です」


「ん〜。住民権が無いからなぁ。ギルドの来賓室で待機してもらうようになるけど」


「なら、来賓用のベッドをリオヤに貸してあげてください」


「ん〜。まぁ、いいだろう」


「ありがとうございます」


そう言ってサイジはユリナのもとへ向かう。


「申し訳無いのですが。彼らと一緒ギルド国に行ってください」


ユリナは不安そうな表情だった。


「・・・。あの、私達は大丈夫なんですよね?」


「大丈夫です。あなた達に言い掛かりつけるようような奴がいたら、俺が責任を持ってボッコボッコにしてやりますから」


「・・・」


「お願いです、信じてください」


「・・・わかりました」


そう言ってユリナはルロイダの所へ向かった。


「よし、俺達は先に行ってるぜサイジ!」


そう言ってルロイダは魔法をとなえる。


「転送!。ギルド国の門へ!」


その瞬間、ルロイダ達は一瞬にしてその場からから消え去った。


「さて、俺も戻りますか」


そう言ってサイジも走って帝国に戻っていった。

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