8話 リオヤの戦い。そして親玉現る。

その頃リオヤは。


「ふぅ。なんとか侵入できたのはいいんだけど」


隠れながら、少しずつ目的地に向かっていた。


「おい、門から不審者が来た!。お前ら、今すぐ応援に向かうぞ!」


タッタッタッタッタ!。


男達の足音が近づいてくる。


「うわ、マズイ!」


リオヤは薪置き場に身を潜める。


ドゴン!!。ドヒュルル!!。


サイジの放つ風魔法が激しく響き渡る。


「こっちだ急げ!。お前たちは念のため村のみんなを安全な場所へ非難させろ!」


「はい!」


そう言いながら男達は過ぎ去っていった。


「ふぅ、なんとかやり過ごせた。しかし、すげぇド派手に暴れてるなぁ。恐るべし、サイジさん」


そう言っていると。


「ねぇねぇ。お兄ちゃん、そこでナニしてるの?」


「え?。あっ!」


リオヤが後ろを振り向くと、そこには小さい女の子が立っていた。


「ねぇねぇお兄ちゃん、かくれんぼしてるの?」


「え!?。いや、違うよ!」


「じゃあ、ナニしてるの?」


「そ、それは」


リオヤは返答に迷った。子供なのだから適当な事を言えば、直ぐにどっか行ってくれるだろかと考えていた。その時。


「ちょっとアヤ、一緒にいないと危ないでしょ!」


「ぐっ!」


その瞬間、リオヤの表情は凍りつく。


「あ、ママ!」


女の子は母親をの元へ走っていく。


「もう、心配したんだから」


「ごめんなさいママ」


「もぉ、しょうがない子なんだから。あら?」


女の子の母親がリオヤに気づいた。


「ど、どうも」


リオヤは愛想笑いで何とか誤魔化そうとしたが。


「きゃあああああ!!。ここにも不審者がいるわ!!」


「ですよねー!!」


そうあまくはなかった。リオヤもこうなる事は薄々わかっていたが、他に方法が思いつかなかった。


「なに!。どこだ!」


「ここに、ここにいます!」


「ぬ!。貴様!」


「チッ、なんてこった!」


リオヤは全速力で走り出した。


「ちくしょ!。なんで、こんな事に!。ああ、もぉ!。目的地はまだ先なのに!」


リオヤは必死で走る。すると。


「あ、あれは!」


リオヤは3つ置いてあるタルを見つけた。


「あそこなら、オラ!」


リオヤは素早くタルの後ろに隠れる。


「どこだ、どこいった!。お前ら、探せ!。見つけ次第捕らえろ!」


タッタタタ!。タッタタタタ!。


男達は何とか過ぎ去ってくれた。


「ふぅ、なんとかやり過ごせたけど。侵入したのがバレちまった。まったく、幸先が悪いぜ」


そう言いながら、リオヤは再び見取り図を見る。


「目的地まで、あと400メートルぐらい?。そぉ遠くないな。よし、はぁ〜ふぅ〜」


極度の緊張の中、リオヤは深呼吸をした。


「ふぅ。サイジさんも命がけで頑張ってるんだ。俺も頑張らなきゃ。よし、目的地まで急ごう!」


そう言ってリオヤは立ち上がり、再び走り出した。

そして、時々隠れては、進み。そしてまた隠れては進むを繰り返した。すると。


「ふぅ、目的地まであと少し。はぁはぁ」


リオヤは極度の緊張と疲労で、呼吸が少し乱れていた。そんな中。


「あれ〜、お兄ちゃん。こんなところで、かくれんぼ?」


「ぬぅ!?」


リオヤの後ろに現れたのは、またもや子供。しかも今度は、男の子だ。


「だから、違うってば!」


「え〜、じゃあナニしてるの?」


「だから!」


リオヤが大声を出した瞬間。


「おい、近くで男の声がしたぞ!」


「あ、マズイ!」


「ねぇ、お兄ちゃん」


「ごめん、また今度ね!」


そう言ってリオヤは立ち去た。


「何でこういう時に子供は話しかけてくるんだよ!。いい加減にしてくれよ!」


そう言いながらリオヤは、目的地に全力で走る。


「はぁはぁ。目的地まで、あと少しだ!」


そしてリオヤは目的地の建物についた、すると。


「は、マズイ!」


リオヤはとっさに近くに積んであった、木箱の裏に隠れる。


「チッ、見張りがいるのか?。・・・あれ、しかもアイツよく見ると」


リオヤが、見張りの顔を見た瞬間。


「何で。何で姉ちゃんをさらったアイツが、ここに居るんだよ!」


見張りをしていたのは、姉のユリナに刃物を当てて誘拐した盗賊の男だった。


「あの野郎、この場でぶっ飛ばしやりてぇ!」


怒りの表情を浮かべたリオヤだが。


「ふぅ、待て。冷静になれ、強行突破しようとは考えるな。まずサイジさんならどうするか、考えるんだ」


リオヤはサイジの立場になって考えてみた。


(サイジさんは考えは、一見めちゃくちゃに見えるけど、案外理屈が通ってる。今こうやって中に入れるのもサイジさんのおかげだ。見張りは1人、俺なら近くで大きな物音を立てて見張りの目をそらすって考えだけど)


しかしリオヤはある事に気づく。


(待てよ、それじゃ時間が少な過ぎる!。長くて2分も持たない!。最低でも7分、できるだけ長く相手の目をそらすにはどうすればいいんだ?。考えろ、もっとサイジさんの様に論理的に!)


そんな事を数分考えていると。


「あ、お兄ちゃんここにいた!」


「むッ!?。また来たの!」


さっき別れたはずの男の子が、再びリオヤの前に現れた。


「ねぇねぇお兄ちゃん、かくれぼしてるならボクも混ぜてよ」


「いやだから、俺は隠れんぼをしてる訳じゃなくて。ん、隠れんぼ?。・・・そうだ、この方法なら」


リオヤはとっさにアイデアが浮かんだ。


「よし、向こうには聞こえてないみたいだな」


見張りの様子を見た後、リオヤは男の子ある話を持ちかける。


「ねぇ君。ちょっと話を聞いてくれるかな?」


「ん?。どんなこと?」


「君に頼みたい事があるんだよ」



そして10分後。


「たく、こんな時見張りなんてツイてねぇな」


見張りの男は何やら落ち着かない様子だ。


「向こうは大丈夫なのか?。心配だけど動くなって言われてるし」


見張りの男がそんな事を言っていると。


「ねぇ、おじさん」


リオヤのとこにいた男の子が、見張りの男に声をかけた。


「ん?。おいボウズ、危ないぞこんな所にいたら。子供は早いとこお袋さんの所に戻りな。この辺に怪しい奴が忍び込んでるって話だし」


「それより、おじさん。さっきアオイ髪のお兄ちゃんが、かくれんぼしてたよ」


「ん、青い髪の兄ちゃん?。隠れんぼ?。なんだそりゃ?。いや、待てよ。・・・まさか、もう1人の侵入者か!。おい、ボウズ。そいつどこに居やがったんだ!?」


「ず〜とあっちの、まるい、ハコがいっぱいある場所で」


「丸い箱?。・・・まさか、タル置き場か!。悪い、ボウズ。ちょっと行ってくるぜ!」


そう言って見張りの男は急いで走っていった。


「よし、作戦成功!」


リオヤが考えた作戦、それは10分前に遡る。


「まず、あのおじさんに伝えて欲しい事があるんだ」


「なんで?。なにを?」


「お兄ちゃんね、あのおじさんと隠れんぼしてるんだ」


「ええ、いいなぁ。ボクも混ざりたい!」


「静かに!。隠れんぼは、隠れんぼでも、普通の隠れんぼじゃ無いんだよ」


「どう言うこと?」


「この隠れんぼには、協力ってルールがあるんだ」


「きょうりょく?。チカラを合わせるってこと?」


「その通り。それで君、ちょっと力を貸してくれないかな?」


「ん〜、ナニかくれるなら」


「え?」


「ナニかくれないと、やらない!。ナニかちょうだい!」


「マジか、そうだな」


リオヤは困った表情で考えた。


(何か、くれてあげられる物なんてあったかな?。正直今、あげられるのはこれぐらいしか。けど、喜んでくれるかな?)


するとリオヤは自分の腰のベルトからある物を外す。


「これで、良いかな?」


リオヤが手に持っているのは、姉と母親が丁寧に糸で作ってくれたドラゴンの形をしたお守りだった。リオヤにとっては毎日欠かさず持っていた大切な宝物だ。


「うわー、ドラゴンだ!。カッコいい!」


「毛糸作った、ドラゴンのお守りだ。ドラゴンには、掛け替えなき大切なモノを守るって意味が込められてるんだ。俺がずっと大切にしてきた宝物さ」


「へぇー!。そうなんだ!。でもそれ、もらっていいの?」


「あ、ああ。いいよ」


「ホントに!?」


「うん、その代わり協力してくれるね?」


「うん、わかった!」


「はい、じゃあこれ」


リオヤは複雑な気持ちではあったが、そのお守りを男の子に渡した。


「よし、今から伝える事をしっかり聞いてくれよ」


「うん、わかった」


リオヤは数分間、伝える事をしっかり説明した。


「あ、後ねぇ。俺がここにいるって事は絶対に喋らないでよ」


「うん、わかった」


こうして子供心を利用した、リオヤの作戦は見事に成功した。そして現在。


「ふう、うまくいって良かった。助かった。ありがとう」


「うんうん、お兄ちゃんもありがとう!。これ大事にするよ!」


リオヤの心の中に罪悪感はあったが、今はそれをどころじゃなかった。


「それじゃ、お兄ちゃんはやる事があるからここでお別れだ」


「うん、またねー!」


男の子に別れを告げたリオヤは。


「よし、行くか!」


リオヤは柵のついた建物のところに走る。


「姉ちゃん!」


リオヤは、柵のついた建物の中を除くと。腕をロープで締め付けられた、リオヤの姉ユリナと2人の女性がいた。


「リオヤ!。あなたどうして!」


「待って、今助けるから!」


ガチン!バキン!。


リオヤは、サイジに借りたナイフで柵の鍵を壊し、扉を開けた。


「姉ちゃん、遅れてごめん!。今、ロープを切るから!」


「うん、わかったわ!」


ザクザク、シャッ!。


リオヤは姉のユリナに付いてるロープを切る。そしてリオヤはユリナを抱きしめた。


「姉ちゃん、無事でよかった」


「リオヤ、助けに来てくれたのね。ありがとう」


姉のユリナも無事を喜んで、リオヤを抱きしめ返す。すると。


「すみません、私達も助けてください!」


「お願いします!」


「おっと失礼!。お2人も今助けます!」


リオヤは急いで女性2人のロープを切る。


「時間が無い、早くここから出よう!」


「ちょっと待ってリオヤ。あなた、まさか1人で来たの?」


「いや、もう1人いるけど。その話は後で!。早く行こう!」


「え、ええ。わかったわ!」


リオヤ達は急いで移動する。


「こっちだ!。急ぐよ!」


「は、はい!」


リオヤは先陣を切って前に進んだ。そしてリオヤ達は時々隠れながらも、少しずつ進んでいく。


(出口まで、そう遠くない。このまま進めば)


順調に進んで行くリオヤ達だが。


「クソ、どこにもいねぇじゃねぇか!。あのボウズ、嘘ついたのか!。・・・ん?」


「はっ!。なんでここに!」


「あっ!。お、お前は!」


「まずい、見つかった!」


偶然にも、あの見張りの男と鉢合わせてしまった。


「マズイ。逃げろ!」


「待ちやがれ!。逃すか!」


4人は急いで逃げようとするが。


「きゃっ!」


バタン!


ユリナがつまずいてしまった。


「姉ちゃん!」


「だ、大丈夫ですか!?」


「大丈夫です、はっ!」


男がどんどん近づいてくる。


「しょうがない!。3人とも隠れてて!」


「リオヤ、何をする気!」


「戦う!」


「な、何言ってるの!?」


「お2人さん、うちの姉ちゃんを頼みます!」


「わ、わかりました!」


「ちょっとリオヤ!」


「急ぎますよ!」


「待って、リオヤ!。リオヤ!!」


女性2人はユリナを連れて小屋の影に隠れる。そして男がリオヤの前に立ち塞がる。


「テメェか!。もう1人の侵入者は!」


「ああ、そうさ!。森で姉ちゃんを誘拐した時は世話になったな!」


「やっぱり、あの時のガキか!」


「ああそうさ!。あんたに、借りを返しに来たんだよ!」


「借りを返す?。ふっ、笑わせんなよガキ!。丸腰のテメェに何が出来る!」


「俺が、いつ丸腰って言った!」


サッ、スパッ!


リオヤはナイフを抜き、構えだす。


「ナイフ?。ふっ、ナメられたもんだな。あの時泣きながら逃げてってた腰抜けが、図に乗ってんじゃねぇぞ!」


そう言われたリオヤだが。


「ああそうだ。あの時の俺は何もできず、ただ泣きながら逃げた腰抜けだ。俺自身ほんとカッコ悪い思った。だけど、今は違う!。俺はもう逃げない!。そして戦う!。そう決めたんだ!」


リオヤの思いは、本気だった。


「ほぉ、面白い。いいだろう」


すると男は腰から剣を抜いた。


「ちょっと動けない体になってもらうぜ」


「・・・、来い!」


「それじゃ遠慮なく、行かせてもらうぜ!」


男は剣を構えた、そして。


「うぉらぁあああ!」


男は剣でリオヤに襲いかかる!。


「うわ!」


ヒュン!。ドサ!。


リオヤは男の攻撃を何とかかわす。


「逃げんじゃねぇ、腰抜け!」


「この野郎、やってやるぜ!。うぉら!」


シュッ、ジャキン!。


リオヤは男の剣をナイフで受け止める。


「ほぉ、やるじゃねぇか!」


「これくらい!。オラッ!」


ジャキン!


リオヤは、男の剣を薙ぎ払う。


「俺の剣をナイフで受け止めるとは。ますます面白い!」


「この野郎、ナメんなよ!」


「ほぉ、威勢のいいガキだ。いいだろう、こっちも遠慮なく行かせてもらうぜ!」


男は剣に魔力を込めた。そして。


「行くぜ!。魔法剣、ウォーターブレイド!」


バシャン!。シュン!。


「うわ!。危ねぇ!」


リオヤは男の剣を間一髪、ギリギリでかわした。


「まだまだ行くぜ、ウォーターブレイド!」


「またか!」


リオヤは、男の魔法剣を必死にかわそうとするが。


ジャキ!


「ぐあっ!」


男の剣がリオヤの左腕をかすった。


「リオヤ!」


「ダメです!。隠れてないと!」


「そんな事言ってる場合!。このままじゃリオヤが!」


ユリナの事を2人の女性が全力で止める。


「これでどうだ!。水魔法、ウォーターショット!」


ブシャァアアアア!!。


「うわぁああああ!!」


ドン、バタン!。ズルルルル!


リオヤは男の水魔法に吹き飛ばされる。


「くっ、ダメだ。このままじゃ、やられる。ちくしょ、俺にも魔法がちゃんと使えれば。どうすればいいんだ!」


絶体絶命のリオヤ。その時、ある事を思い出す。


(確かサイジさん、こんな事言ってたな。魔力は血液が流れるように身体中に流れてる。その魔法を使う際は、魔力の流れに身を任せろって。でも、うまく行くのか?)


リオヤは迷っていた。しかし。


「くっ、迷ってる時間は無い!。やってやる!」


リオヤは手をかざした。


「クソガキ、これでケリをつけてやる!」


男が再びリオヤに襲いかかる。


(魔力の流れを感じ取り、そして魔力の流れに身を任せる。そして、サイジさんの様な強い風を出すイメージする)


リオヤは強い風をイメージする。そして。


「いけ!。風魔法、ハイパーウィンド!」


シュルルル、ブォアアアアン!!


「な、何!?」


リオヤの右手から激し風が吹き荒れる!


「うぉおおあああああ!!」


バギン!。ドンガガガガガ!


男は物凄い勢いで飛んでいった!。そしてそのまま建物に突っ込んだ。


「うっ、うぉあ」


そして、男は気絶した。


「や、・・・やった・・ぜ」


ドタ、バタン


リオヤは身体中の力が抜け、倒れ込んでしまった。


「リオヤ!」


ユリナがリオヤを抱き抱える。


「リオヤ!。リオヤ、大丈夫なの!」


「ごめん、姉ちゃん。ちょっと疲れたみたい。でも俺は・・・大丈夫。うっ」


「リオヤ!。しっかりして!。リオヤ!!」


リオヤは意識を失ってしまった。



一方サイジの方は。


「オラァ!」


ドガン!。バシュン!


「ぐあぁああああ!」


ドガ! ドカドカドカドカ!!。


複数人の男を相手に1人で戦っていた。


「おい、応援に駆けつけだぞ!」


「中隊長!。コイツが不審者です」


サイジの前に今度は中隊が現れた。


「貴様が!。この無礼者め成敗する!」


「こっちも問答無用かよ!」


サイジは拳を構える。


「我が剣技を、受けてみるがいい!」


中隊長が剣を構える。


「魔法剣、大雷斬り!!」


ビリリリリ!!。シュン!!


「おっと!」


ヒュン!。


サイジはその剣を素早くかわす。


「我が剣かわすとは。お前、ただ者ではないな!」


「いや、周りを見れば分かるだろ」


「ふっ、でかい口を言っていられるのも今のうちだ!。我が剣術の本当の恐ろしさを味わうがいい!」


中隊長は剣の構えをかえる。


「受けてみるがいい!。魔法剣、雷剣連速斬り!」


ビリリリリ!。シュンシュンシュンシュン!!。


「はっあ!」


ヒュンヒュンヒュンヒュン!!。


サイジは中隊長の素早い魔法剣を華麗にかわしていた。


「バカな!。中隊の得意技が!」


「あれに対応出きるのは、隊長ぐらいなのに!」


「あの男一体何者なんだ!」


サイジのあまりの素早いに男達は驚きを隠せなかった。そして何より1番驚いていたのは中隊の方だった。


「くそぉ!。何故当たらない!」


「さぁ、自分で考えてみろ」


サイジは余裕の表情だった。


「おい、何ボサッとしてんだ!。俺達も加勢するぞ!」


「は、はい!」


「分かりました!」


男達6人が一切に攻撃してくる。


「この野郎!。叩き斬る!」


「くたばりやがれ!」


その男達の攻撃にサイジは。


「しょうがない、肩をつける!」


サイジ魔法唱える。


「自然魔法、パワフルプラント!!」


バシシシシシ!。バシシシシ!


地面から巨大な植物のツルが伸びてくる。そして。


シュルルルル!。シュルルルル!。


「なぁあああああ!。何だこれ!?」


「うぉおおおお!。何だ!?」


「うぁああああ!。助けてくれ!」


植物のツルが男達に絡まりそのまま持ち上げられる。そして。


「そのまま寝てな!。念力魔法、ハイパースリープ!」


サイジが念力魔法を使うと。


「うっ。い、意識が・・・」


「な、何だこれ・・・わ・・・」


次々と男達は眠っていく。そんな中。


「うぉおおおお!。この程度でくたばるか!」


中隊長だけには効かなかった。


「うぉりあああ!!」


バシュ!バシュ!。


中隊長は自力でツルをちぎり取る。


「マジか!。すげぇ根性と馬鹿力だ、頭イカれやがる!」


「うぉおおおお!。もぉ許さん!」


中隊長が再び剣を構える。


「うぉらぁあああ!。雷剣連速斬り!」


「何度やっても同じだ!。ここで終わらせる!。ドリャァア!」


バン!バゴン!。


「ぐっお!。何のこれしき!」


サイジは中隊に拳を2発叩き込むと。


シュン!。


「ハッ、何!?」


サイジが中隊の視界から消える。次の瞬間。


「どりゃあ!」


ヒュン、ドゴン!。バキバキバキ!。


「うぉええ!!」


風をまとったあびせ蹴りが、中隊長の顔面にヒットしてアゴの骨を折った。


「ぉあ、あ・・・」


中隊長はそのまま倒れて気絶した。


「ふぅ、これで大体は片付いたかな。でも、ちょっとやりすぎだかな。ふぅ」


サイジが一息ついたとたん。


「随分派手に暴れてくれたな。そしてよくも仲間を!」


その声を聞いたサイジは後ろを向くと。


「やれやれ、ついに親玉さんの登場か」


ついに、サイジの前に盗賊団の親玉が現れた。

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