6話 命樹とドライアド
6時間後、夜が明けた。
「おい、起きろリオヤ!。朝だぞ!」
「ん?」
リオヤは目を覚ます。
「あ、サイジさん。おはようござイテテテテテ!」
リオヤの足はバキバキと激痛が走った。
「す、すいません。まだ足痛むみたいで」
「どれ、足を出せ」
サイジは回復魔法をかけた。
「あ、痛みが無い。これなら歩ける!」
「まだ行けるか?」
「は、はい!。ありがとうございます」
「どういたしまして。それじゃ行くぞ」
サイジとリオヤは木の傷を頼りに歩き出した。
3時間ほど歩くと。森最深部の川に到着した。
「うわ、綺麗な川すっね!」
「うん、確かに俺もミィーエムの森の最深部に来たのは初めてだけど、ここは本当に綺麗な川だ。それにこの川の水は透明度が高い、人が飲んでも害は無いな」
「と言う事は、奴らのアジトが近いって事ですよね!」
「まぁ、そう遠くは無いな」
「ふぅ、やっとここまで来れた」
「油断するなよ。ここから先は何があるか分からないからな」
「そ、そうですね!」
「よし、気を引き締めていくぞ!」
「はい!」
サイジとリオヤは再び歩き出した。更に2時間後
「ん?」
サイジが何かを空間に違和感を感じた。
「あれ?。どうしました、サイジさん」
「いや、大丈夫だ。ただ、ちょっと空間に違和感があったように感じただけだ」
「だ、大丈夫なんすか?」
「ああ、大丈夫だ。行こう」
そう言って2人は先へ進む、すると。
「ん、あれは?」
サイジとリオヤの前に現れたのは。
「さ、サイジさん!。なんすか、このでっかい木は!」
「ここは、まさか!。ミィーエムの森最深部最後の領域。樹齢1000年の高木。ミィーエムの命樹だ!」
「ミィーエムの命樹!?。マジすか、俺初めて見ました!」
「ああ、俺も実物を見るのは初めてだ。でも、・・・なんでだろう。なんか懐かしいとは違うんだけど、なんか不思議な力を感じる」
「あ、それわかります。なんかこう、神秘的な感じって言うか」
「いや、そうなんだけど。なんか・・・。だめだ、何もわからない」
「だ、大丈夫すか?」
「え?。ああ、大丈夫だ。それより」
サイジはミィーエムの命樹の近づく。
「え、サイジさん?。何する気ですか?」
「いや、登ってこの上から奴らのアジトがあるか確認しようと思って」
「ああ、なるほど。で、でも大丈夫なんすか?」
「何が?」
「だ、だって樹齢1000年なんすよ!。そんな貴重な木に登るなんて、罰当たりですよ!。」
「まぁ確かに、罰当たりかもしれないな。でも、今は少しでも情報が欲しいんだ。俺達は連中の事を知り尽くしてる訳じゃない。下手したら人質の命すら危うくなる状況だ、だから罰当たりだろうが何だろうが、自分やれる事はやらなきゃダメなんだ」
「た、確かにそうですけど」
「それじゃあ、リオヤは下にいて休んでいてくれ」
「ええ!?」
「罰が当たるのは俺だけでいいし、そもそもリオヤは依頼人側なんだから。これ以上無理する必要は無い」
「で、でも」
「後、昨日は無理させちまったからな。でも早いうちに距離を縮めたい為に、リオヤには辛い思いをさせちまった。本当の申し訳ない」
「え、いえいえそんな!。俺の方こそ、サイジさんに迷惑をお掛けして申し訳ないっすよ」
「いや、迷惑じゃねぇよ。俺も久し振りに、人と一緒に行動する新鮮さを感じたよ。ありがとうなリオヤ」
「そ、そんな。こ、こちこそありがとうございます」
リオヤは頭を下げた。
「よし、それじゃ行ってくるぜ」
「は、はい!」
サイジはミィーエムの命樹に右手をつけ目を閉じる。
「申し訳ありません。登らせてもらいます」
サイジがそう言った時。
『お役に立てるのなら、私は構いません』
「え!?」
サイジは謎の声に驚いた。
「サイジさんどうしたんですか?」
「リオヤ、今誰かの声が聞こえなかったか?」
「え?。いや、聞こえなかったすけど」
「そ、そうか。大丈夫だ、気にしないでくれ」
そう言ってサイジはミィーエムの命樹を登って行く、木登りが得意なおかげ予想より早くで頂上に到着した。
「ふぅ。それじゃ、早速双眼鏡で見てみるか」
サイジはポーチの中から双眼鏡を取り出し、あたりを見渡す。すると。
「ん?。あれは!」
サイジは建物らしき場所を見つける。
「木で出来た門があって。入口に見張りが4人。中の様子は」
サイジは門の中を双眼鏡で覗く。
「建物が、かなりある。結構腕のある職人がいるんだな。ん?。あそこは」
サイジは何かを見つける。
「あれは、誘拐された人質か」
サイジは人質の居場所を特定して様子を確認する。
「策がついた小屋に女性が3人監禁されてる。見張り2人か?」
その後、サイジ10分盗賊団のアジトを視察し双眼鏡をしまって下に降りようとした時。
「うわぁああああ!」
下からリオヤの声が聞こえた!。
「リオヤ!」
バサバサ!。バシバシ!
サイジは急いで下に降りる、すると。
シュルルルル!。バシュ!。
「うわ、何なんだ!?」
リオヤが謎の太いツルに手足を絡まれ、逆さまに持ち上げられている。
「さ、サイジさん」
「待ってろリオヤ!。どりやぁああ!!」
バシュ!!。
サイジは剣でリオヤに絡まったツルを斬った。
「うぉわぁあああ!」
「オラ!」
バシン!
サイジはリオヤを上手くキャッチした。
「リオヤ、大丈夫か?」
「は、はい」
その時。
「貴方達は、何者ですか?」
サイジとリオヤの前に現れたのは、緑の髪を靡かせた美しい女性だった。
「まさか、ドライアド?」
「え!。ど、ドライアド!?。き、聞いたことあります。確か木の精霊で、森の万人と言わている種族。初めて見ました」
リオヤは驚いていた。
「そうです。私はドライアドの長、エヴァニイヤです。あなた方、我らのミィーエムの命樹に何の御用でしょうか?」
「自己紹介どうも。俺はサイジ・レナルロレード。こっちは付き添いのリオヤだ」
「ど、どうも」
「・・・」
ドライアドのエヴァニイヤは険しい表情を浮かべた。
「まぁ、俺らの自己紹介はこれくらいにして。随分と手荒な事をしてくれるな!。ドライアドのエヴァニイヤさん!」
サイジも険しい表情を浮かべた。
「私達ドライアドは、この森の万人であり管理者でもあります。私達は貴方達2人が怪しい人物と判断しここに来ました」
「マジか。1番厄介な事に巻き込まれたな」
「まさか、これが厄介な所」
「ああ、俺も本で調べた程度なんだけど。このミィーエムの命樹は1000年前の皇帝ルゼス様が帝国の森林が魔王達の攻撃で大火災なりドライアドの住処である命樹焼き払われた」
「え!?。そんな事があったなんて!」
「驚くよな。だが、その時。奇跡的に生き残ってた命樹の根があった。それをルゼス様がある力で蘇らせて、ここミィーエムの森の最深部に植えたそうだ。だからここは、ドライアドとっての最後の故郷であり大切な居場所なんだ。他者を警戒するのも無理はない」
「そう、ここは私達ドライアドの最後の故郷なのです。もし、あなた達がこのミィーエム命樹を汚すような真似をするならば、我々は武力を持って貴方達を制圧します」
エヴァニイヤがそう言うと、サイジ達の周りを12人のドライアドが囲みこむ。
「なぁ、命樹に勝手に登ったのは俺だ!。リオヤは関係ない、リオヤは俺が命樹登ろうとしたのを止めた用としたんだ。罰を受けるなら俺が受ける!」
「さ、サイジさん」
サイジの話しを聞いたエヴァニイヤだが。
「残念ですが私達は貴方達を信用できません、私達の使命はこの命樹を守る事。場所すら立ち入っては行けないのです」
「おい待て!。一体どう言う事だ、筋が通ってねぇぞ!。俺達は偶然ここに来ただけで、この命樹を狙いに来たわけじゃない!」
「偶然ではありません!。ここの場所には結界が張ってあり。普通の人間が入れる訳がありません!」
「結界?。はっ!」
サイジはあの時感じた違和感を思い出す。
「あの時、感じた空間の違和感。まさか」
「どうやら、心当たりがあるようですね」
「・・・それで、どうする?。ここで俺達を始末するつもりか?」
「そのつもりです」
その言葉を聞いたサイジは。
「どうせ信じてくれないよな。・・・わかった。そっちがその気なら、こっちも戦うしかなさそうだな」
サイジは拳を構える。
「こい!。やってやるぜ!」
それを見たドライアド達は。
「呆れましたわ、エヴァニイヤ様。この者達、我々に逆らうつもりですわ」
「しかも素手で戦う何んて、私達の事を甘く見てますわね」
「往生際が悪いですね。大人しく、消えなさい!」
エヴァニイヤが支持する。
「やりなさい!」
「「はい!」」
12人のドライアドが一斉に攻撃しようとした、その時。
『貴方達、おやめなさい!』
「は!?。今のは!」
「え、まさか!」
「そ、その声は!」
謎の声に、ドライアド達が騒めき始める。
「こ、この声は?」
「え!?。な、何なんすかこの声!?」
リオヤは驚きと混乱していた。
「この声、さっきの!」
サイジも驚いていた。
『貴方達、この人達に手を出す事は私が許しません!』
「マザーが喋るなんて。マザー、どう言うつもりですか!?。こんな怪しい人物を庇うなんて!」
エヴァニイヤは困惑していた。
『エヴァニイヤ、私は感じるんです。この方から、我の恩人と同じ力を』
「恩人?。・・・はっ、まさか!」
「あ、あの?。一体何の事だ?」
さすがのサイジも状況を飲み込めなかった。
『金色の髪と紫の瞳を持つ、そこの貴方』
「え、俺か?」
『はい、お名前はサイジさんでよろしかったですか?』
「お、おう」
さすがのサイジも困惑していた。
『失礼ですが、貴方のご両親の名前を伺ってよろしいですか?。貴方の魔力の奥底に、何か不思議な力を感じるのです」
そう言われたサイジは、何故か戸惑いの表情を浮かべる。
「悪いけど、俺は実の親の名前は答えられない」
「何!。貴様!」
「マザーの言葉に逆らうのか!」
再びドライアド達が怒り出す。
『よしなさい!』
「し、しかし!」
するとエヴァニイヤも止めに入る。
「今はマザーが話しをしてるのです!。手出しするなら私も許しませんよ!」
「う、うう。すみません」
「わ、私も申し訳ありません」
ドライアド達が静まり返る。
「あの、命樹さん?。失礼だけど、俺も貴方をマザーって読んでも構わないですか?」
『はい、構いません」
「ありがとう。じゃあマザー、さっきの質問に答えるよ。俺に実の両親はいない。俺はその、・・・捨て子だったんだ」
「え!?」
何故かリオヤが驚く。
「何でリオヤが驚くんだよ」
「い、いや。サイジさんって見た目とは裏腹にそのその顔付きからして、いい所の出なのかと思いまして」
「いや、そんな訳ねぇだろ。顔で人を判断するもんじゃない」
「そ、そうっすね。なんか、すみません」
「別に怒ってるわけじゃない。それよりマザー、俺は本当に親の名前どころか顔すら覚えてないんだ。答えられなくて、本当に申し訳ない」
サイジは頭を下げる。
『そうですか、こちらこそ申し訳ありません。辛い過去をお持ちだったのですね』
「いや。運が良かった事に、俺はちゃんとした人に拾って貰えたよ。こうやってちゃんと生きてるし、育ての親には、本当感謝してるよ」
その言葉聞いた、命樹のマザーは。
『そうですか、本当よかったです。ではサイジさん、リオヤさん、ドライアドの件は私が皆を代表して、謝罪します。大変申し訳ありませんでした」
その言葉を聞いたサイジは。
「いや、俺がそもそも勝手な行動したのが事の発端だ。疑われるのも無理はない。こっちらこそ、本当に申し訳ない」
サイジは再び頭を下げた。
「貴方、見た目の割に律儀なんですね」
エヴァニイヤの言葉にサイジは。
「まぁ、こんな見た目になったのは師匠の影響かな。エヴァニイヤさん達と同じ。ギルド国の、たった1人のドライアドの」
「え!?」
エヴァニイヤは何故か驚く。
「そ、その人の名前は?」
「え、リエイルって名前でだけど」
「リエイル!?。本当リエイルって名前何ですか!?」
「そ、そうだけど」
「い、今もお元気なのですか?」
「ああ、めちゃくちゃ元気だ。あの人との修行で俺が何度も死にかけたぐらいだから」
「そ、そうですか。よかった無事で」
エヴァニイヤがホッとした表情を見せた。
「あ、あの。もしかして師匠の事知ってるか?」
「はい。リエイルは、私の姉ですから」
「な、何!?。てか、師匠に妹がいたなんて!」
「私も驚きました。貴方が姉様の弟子だったなんて、ここに来れた理由がようやくわかりました」
「え?」
「サイジさん、どう言う事ですか?」
「サイジさん、今貴方は、魔水晶を持ってるわね」
「え、まさか」
サイジはポーチから水晶を取り出す。
「こ、これの事?」
「それは、やっぱり」
「これは師匠から、魔除けの水晶と言われて貰また物だ。魔力を込めれば夜に寝る時でも魔物に襲われる心配は無いと言われて」
エヴァニイヤはその水晶を見つめる。
「間違いない、これは姉様の魔水晶だわ!」
「あ、あの魔水晶って一体なんなんだ?」
すると、エヴァニイヤが説明する。
「魔水晶は本来、このミィーエムの結界を通り抜ける為の道具、言わば許可証みたいなものです。それと強力な魔物を遠ざける為に、マザーと我々が力を込めて作ったのがこの魔水晶です。その内1つを姉様持っていたのです」
「え!?」
サイジは驚いた。
「そ、そんな貴重な物を。なら、返すよ。そんなに貴重もの持ってたら、何に悪用されるか分からないし」
するとマザーは。
『いいえ、サイジさん。それは、貴方が持っていてください』
「だ、だけど!」
「私も、貴方が持ってるべきだと思います」
「エヴァニイヤさんまで」
『サイジさん。貴方は今、壮大な運命を背負っています』
「え、運命?」
『はい、貴方は帝国も。そして、この世界にも過大な影響を与える人物になります』
「それは、どう言う意味だ?」
サイジは不安な表情を浮かべる。
『ご心配なさらず、貴方がこの世界を恐怖に包む支配者なる訳ではありません。ただ貴方の奥底にある力が、この先に何らかの影響を与える事は間違いないと思います』
そう言われたサイジは。
「その、力の件は心当たりが無い訳じゃな無いんだけど、正直どう説明していいかが分からないだ。一体何の力なのか俺にも理解できないて」
するとマザーが。
『まだ、理解しなくても大丈夫です。ですが、この先何か困った事や知りたい事があれば、私達にお話してください。出来る限り力なります』
「え、いいのか?」
「マザーがそう言っているので遠慮はしなくて大丈夫です」
エヴァニイヤが笑顔でそう言った。
「わかった、何かあったらまたここに相談にしくる。本当にありがとう」
『礼には及びません。貴方達の今後に期待してます。サイジさん、そしてリオヤさん、貴方達2人にに真の幸せが訪れるますように。我々は心から願っております』
「その言葉に感謝します。それじゃ、俺たちは行きます」
「俺まで、なんかすいません」
「いいえ。私達もリオヤさんにご迷惑をお掛けしました。本当に申し訳ありません」
エヴァニイヤが頭を下げた後、他のドライアドも頭を下げた。
「いや、とんでもないです。それじゃ、俺もこの辺で」
そう言ってサイジとリオヤはらその場を後にした。
「サイジ・レナレード。彼は一体何者なんでしょうか?」
『時が来れば、いずれ分かります。その日まで私達は、彼らの運命を見届けましょう』
「見届ける。・・・そうですね」
エヴァニイヤはそう頷きながら2人を見送った。
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