⭐︎バトル!51日目の朝、75mgの昼な眠

51日目

 今日は病棟では朝から嫌なことがあったようです。


 医者の処方ですから、私たちは黙ってそれにしたがうしかできない。せいぜいが、病院を変えるくらいです。それもトーカさんにも皆たちにもできない。


 トーカさんが普段飲んでいる5mgの薬があります。以前も書いたことがあると思います。抗精神病薬、つまり基本、統合失調症の方が飲む薬です。なぜ統合失調症でないトーカさんが飲むかというと、その薬の副作用として「強いねむ気」があるから。そのくらいきつい薬だということ。


 その錠剤……25mgもあります。そしてそれを飲ませられてる人がいます。

そのあまりの顔の白さやふらつき、苦しみようはとても見ていられないほど気の毒そのもの。その薬はまさに、気の、毒だと思うでしょう。


 その方は……それを1どに3錠も処方されています。5mgでも強烈な眠気で眠ってしまうのに、その25倍……絶句してしまいます。


 仮に!その処方が正しいもので、ドクター的にはなんの間違いも疑問もない処方なのだとしても、トーカさんたちは見ていてつらいのです。つらくてはいけませんか!?気の毒でいけませんか!?


 気の毒なので腕を支えて歩いたトーカさんにナースが言ったそうです。

「ああいうことはやめてください。あなたたち距離が近すぎるんです。困ってるんです!」こういうことはすぐに共有されるのでしょう。


 それでトーカさんは朝から不機嫌そうでした。

 


 散歩にでかけながらトーカさんは考えていたそうです。

 そのナースに言われたことについて。



 そして気がついたそうです。

 「そういえば、あのことも、あいつがしたことだった……」



 それはこの日記に何度も登場するじじいのことです。


 今となっては前のことですが、とーかさんがその老人に激しい怒りを感じた出来事があったのです。それは、老人と、他の人が会話をしていたのを聞いていたときのことだったといいます。


 一人が、老人に尋ねました。

「医療保護入院と措置入院って、どうちがうんですか?」


 老人、じじいが答えました。

「それは、実際は、違いはないんですよ」


 トーカさんは驚きました。強制入院の中でも緊急性の高い措置入院と、医療保護入院を同じだと答えるそのことに。それも、ただの世間話ではなく、何か、意味のある相談だったようで、

 行政関連のプロの横で行政関連の知識を披露する、それも完全に誤った知識を披露する彼に非常に不快さ、気持ち悪さをかんじたようでした。


 

 はなしをもどします。


 トーカさんは、自分がした行為は、たとえやむを得ない行為だったにせよ、その老人がしたことと同じだったのではないかと。看護のプロがいるのに、資格もないのに要看護者……というのでしょうか。をお連れしようとしたことは、有資格者の看護師が怒っても仕方がない、行政書士の横で「行政の仕事まかせてくださいよ」と言うに等しい行為だったのかなと。


 そう思うと、怒りの気持ちがすっと消えたようです。

 しかし、とーかさんも歴とした人ですから。聖人君子ではないただのXXXXですから。イラッ、とは残りますよね。その残りは、タバコを吸った温もりですっと消えてしまったそうです。春ですから、風が冷くても。



 続

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