50日目 ワニのように、提示されつつある謎
「私、泣き寝入りしませんので。」
とは、大門未知子ではなくトーカさんの言葉でした。前回の投稿では、大門先生の名前を間違えていたことにいたく心を痛めておられたようでした。
泣き寝入りとは仕事の件だと思うんです。ひでえ扱いを受けて。
それでも同期の何人かが契約終了の前に一席作ってくれるみたいで。ちょっと感激しているようです。なかなか、そういうの、ないじゃないですか。
本当にどうでもいい関係なら、一席なんて設けてくれない。飲み会の席なんか作らない。強い糸があるから、ただ、きりたくない。できることなら、繋がりあっていたい。
退院していく人たちも同じ気持ちだと私は思うんですね。
思えば小学校、中学校、高校。卒業するときずっと仲間だと思うくらいの関係はあったと思います。それでも残らない糸は、残らない。それでも、残る糸は、あるんです。トーカさんはそれでいいと思っていると思います。
間近に迫った退院後の関係の話です。
ちなみに、「絆」という言葉は敬愛する森博嗣先生が、「それは牛や馬を繋ぐ縄のことだ」と言っていたのであまり使わないようにしています。
ーーーーー
「……赤だ」
「いいの?本当に」
「……モンティホール・問題じゃあるまい。赤だ」
彼女は手札から1枚テーブルに叩きつけた。それは赤札。
「UNO!!!」
「なんとーっ!!」
UNOは没入感が高い……。今日、めでたいことがあった、病棟の猫さんがUNOを手に入れてきてくれたのです。トーカさんはこれを考えた奴はすごいと思ったとの事。
きわめてもったいないことではあるのだけれど、病棟の中と外では時間の進み方が違う……。
時間が進まない。暇で仕方がない。やることがない。
きわめて贅沢なことですよね。トーカさんはiPhoneやiPadで無理やりプレイステーション4を動かしてニーア・オートマタをやったりしているようです。コール・オブ・デューティとか。
DoctorX、UNO、そしてもうひとつが、
バンドリ!!!!!!
これも2、3人だけですが。
バンドリという音ゲーがあるのですね。
アイドルマスターとか、デレステ、というのでしょうか。そういうものと似ているらしく、キャラが異様に可愛い。トーカさんはゴシック系ファッションや歌詞が好きなのでそのようなキャラクタにハマっているようです。
たまったドラマを見る。映画を見る。本を読む。ゲームをする。
どれも外ではできないことばかり。それができるという贅沢を、私たちはもっと自覚すべきなのだとトーカさんはいっていました。厳しいですね!てへぺろ!
でも、退院が近づくと、皆の気持ちもそわそわしているように思えます。
皆で一緒に退院日を揃えて一緒にでよう、とか・・・。
そのくらいの糸だと思います。
退院まであと5日か。7日か。
何か、100日後に死ぬワニみたいになってきましたね。
ところで……ここまで読んでくださった皆さん、
この日記、何かおかしいと気づきませんか?
続
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