詩コン 7月号


『雲』2020.7.5


手が届いたところで

掴めるわけではない


◇ ◇ ◇

空には手をのばしているイメージの画がありますね。原風景というか、お約束のようなものかもしれません。初めてその構図の画を見たのはいつだったかのか、もうわかりません。

短くスパッとした詩が好きなのですが、これはもうちょっと拡張していけばよかったかな、と思います。その余地がありますよねぇ。今更なんですけども。

◇ ◇ ◇


『雲』2020.7.5


                  白いクレヨン

                  大盤振る舞い

                ぐるぐるぐるぐる

                  白い画用紙に

                  なすりつけて

                ぐるぐるぐるぐる


                  白一色だった

                  なつかしいね

                  今はもう灰色

                  黒もまざって

                  しかも時々青

   

             大人になって背がのびて

高い高いところの色もよく見えるようになったのかな


◇ ◇ ◇

こちら縦組み推奨です。最後にゅーんとなります。にゅやーん、にゅよーん、にゅやにゅよん。

幼い頃は白一色で雲を描いてましたね。灰色なんて余ってた気がいたします。日差しで目が焼ける分、年齢を重ねると受容できる色彩が減る、といったことを目あるいは耳にしたことがありますが、年齢を重ねたからこそわかる色合いもありますね。

◇ ◇ ◇


『近』2020.7.11


近代はいつまで「近代」でいられるの?


◇ ◇ ◇

社会科要素の入ったお話ですね。

近代が近い時代とは言えないほど時が経っても、近代よりも近い時代が生まれても、近代は近代のままでいられるのでしょうか。

え? これは詩というよりも、ただの疑問では、ですって?? そうですね。常々詩は何でもありだと思い、また豪語している私もそう思いました。ですので、もう1個書いてみましたとも。↓

◇ ◇ ◇


『近』2020.7.12


lim n→∞1/n で漸く認められるようなもので

私にとっては裸眼でも難なく見える距離で

near と close の違いはよくわからないまま


どこらへんまでここらへんかなんて

結局なにもかも人それぞれで

解釈違いも起こりうる


相対的なもんだから

0距離から彼方まで

可能性有に丸をする


◇ ◇ ◇

数学と理科と英語の要素が入ったお話ですね。

#詩コン用に書く場合は、あまり恋愛よりの詩にならないように気を付けて書いています。で、「このお題で恋愛感情をいれずに? どんなアプローチがあるのじゃろ??」と頭を捻った結果迷走いたしました。変にこだわらずに、ブンッッと恋愛にふったのも書いてみればよかった。案外良さげなものを書けたかも。

◇ ◇ ◇


『遠』2020.7.19


長い 長い 夜だから

深く 深く 眠りましょう

こくり こく 船をこぐ

貴方と 皆が 目覚めるまで

海に出た船

波に乗る船

こくり こく こくり こくん

からり から からり からん

いつまでも

安らぎ 誘う 音は鳴る

どこまでも

安らぎ 運ぶ 船は往く

貴方と 皆が 目覚めるまで


◇ ◇ ◇

「長き夜の 遠の眠りの 皆目ざめ 波乗り船の 音のよきかな」(表記は広辞苑による)を私なりに飲み下して押し広げて書きました。学術的解釈は複数ありますので、お調べいただければよいかと……。

悲しいニュースにふれたので、せめて安らかな眠りになるように、という気持ちも込めました。

◇ ◇ ◇


『窓』2020.7.2


貴方を選ぶ人もいれば

 貴方を選ばない人もいるわ

  私が貴方を選んだのは偶然なの

   必要とされるものが揃っていたから

    どうしても貴方がよかったわけじゃない

    正直使い物になるなら誰でもよかったわ

   貴方と貴方以外で何が違うというの

  私にはわからなかったわだって

 貴方たちの事ほとんど何も

知らなかったんだもの


貴方と過ごして四年程

 最初はどぎまぎしたけれど

  結構慣れてきたと私は思ってる

   だけど悪い噂を聞くこともあるから

    今でも貴方が成長する時はドキドキする

    貴方の寿命ってどれくらいなのかしら?

   もう暫くどうしても貴方が必要なの

  今更乗り換える余裕はないのよ

 次の春まで貴方一筋だから

長生きしてちょうだい


◇ ◇ ◇

縦組みだとハートっぽい形になります。

パソコンさんへの想いを綴ってみました。私のパソコン、Windowsなんです。大学入学の際に買ってもらい、愛用しております。あんな不具合がでた、こんな不具合がでた、とあれこれ報告されている場合もありますので、アップデート(特に大型のやつ)はドキドキいたします。卒業まではなんとかもってほしいです。

◇ ◇ ◇


『窓』2020.7.25


透明でいる必要なんてないのでは?

透明でありたいの?


私のため?

月のエゴ?


見えるってことは、見られるってこと

深窓をのぞくとき、深窓もまた……


心配しなくても深窓の令嬢には会ったことないし

男装の令嬢とのめくるめく何かも始まらない


映るものが全てじゃないけどカーテンは氷色にしたの

木も揺れたんだし今日は桶屋と踊り明かそう


終幕は明日の朝

おやすみ太陽 have a nice day


◇ ◇ ◇

思い浮かんだことをパラパラつないで書きました。全く手入れをしていないわけではないのですが、あまり深い意味もありません。意味合いより語感を優先させました。こういった、言葉ひとつひとつに意味があるのかないのか、フワフワクラクラした感じ嫌いじゃないです。詩だからできる楽しみ方だなぁと思います。

◇ ◇ ◇



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