詩コン 6月号


『優』2020.6.7


顔をすっぽり覆うほど

大きな大きな面つけて

舞った

踊った

盤の上


ずっとこうしてきたからね

技はほんもの

ご覧あれ!

顔はにせもの

かもしれない!


お道化てみせよう

望まれるまま

これこそ貴方が

望んだ姿

さてさてはてさて


満足かい?


◇ ◇ ◇

舞ったり踊ったりということで、リズムを意識しています。最近はリズムとかテンポとかを気にせずに書くことの方が多いかもしれません。そこへのこだわりは吹っ切れたんだと思います。自由でいいじゃ~ん、と。

一般的に「優」という字から想起されるイメージとはズレているかもしれませんので、ちょいと発想の補足をば。こちら、漢語林で「優」を調べたところ「憂は、大きなかしらをつけて足踏みする意味。面をつけて舞う人、わざおぎの意味を表す」との説明を発見し、そこからイメージを押し広げました。

望まれるように振る舞うことも優しさのひとつだと思います。でもまあ、そのタイプの優しさは私はほとんど持ち合わせておりませんけれど。だってさー、ずっとそんなことしてたら疲れちゃうじゃーん。

◇ ◇ ◇


『使』2020.6.14


使う方と

使われる方


どちらがつらいかね?


◇ ◇ ◇

待つ方と待たせる方のどちらがつらいか、という問いのパロディです。人を使う方と、人に使われる方との比較ですが、これは人を使う方の言葉でしょうねぇ。うーん、でも、なんか、どこかで誰かが書いていそうな文言ですね……。

ちなみに、#詩コンに投稿する際は、他の参加者さんの作品と丸かぶりしないように、できるだけ一度ばあぁっと目を通してから書いて投稿しています。それでも似通ったものになっちゃうことはあるんですけれども。詩を書くなら(あるいは詩と呼ぶなら)独特の発想をするべき、とまでは全然思っていませんが、「あ~、その手があったか~~!」とか「なるほど、そのアプローチね!」となるような詩も書けるようになりたいもんです。

◇ ◇ ◇


『使』2020.6.14


ぼくは伝えました。

ぼくは伝えるべきことを伝え続けました。

ぼくが伝えたことをどうするかはあなたたちの自由です。


ぼくは伝えました。

ぼくは偽りも誤りもなく伝えました。

ぼくがすべきことは伝えることだけです。


それでは

救済と慈悲があらんことを

さようなら


◇ ◇ ◇

使いからの(ありがたいかもしれない)お言葉、というイメージです。淡々とした御使い自身には慈悲があるのかないのか。

無垢さが欲しかったので、一人称を「僕」ではなく、平仮名で「ぼく」にしました。私のなかで、無垢さと幼さは結び付いているんでしょうね。ただ、御使いは幼いわけではないので、他の部分は漢字を使いました。

ところで、この御使いは何を伝えてくれたんでしょうね。特に想定して書いてはいませんので、読んでくれた方のご想像にお任せいたします。救済と慈悲とか言ってるから、あまり良いお知らせではなさそうな雰囲気が出てしまっていますが……。

◇ ◇ ◇


『雨』2020.6.21


ほどほどがいいんだ


どどどどではなく

ぽ……とでもなく


ほどほどがいいんだ



ほどほどがいいんだ


多すぎたら死んじゃうし

少なすぎても死んじゃうし


ほどほどがいいんだ


◇ ◇ ◇

タイミング的に不謹慎な気もいたしますが、雨を表す擬音と「ほどほど」って音が似ってるぅ~うっふふ~~ん、という気付きから出来上がりました。擬音と記号と「ほどほど」だけで書くのもありだったな……。

これも悲観的な詩に含まれるんでしょうか。

私が#詩コンに参加しているのは、お題に沿った詩を書く(そういう頭の使い方をする)練習とか、最低週1ペースを維持するためです。参加しておかないと創作から離れてしまいかねない、という気持ちもあります。ただ、主宰者さん側が抱いている詩の理想というものがあって、その理想とかけ離れたものに目を通す時間を割いてもらっているのは少々心苦しく感じないでもないです。まあ、選んでもらえればそりゃあ嬉しいんですけど、選ばれたいからという理由で参加しているわけではないので、今後もマイペースにやっていきます。

◇ ◇ ◇


『肌』2020.6.28


白でも

黒でも

黄色でも

開いてみれば

みんな赤


◇ ◇ ◇

肌の色のお話です。かっぴらいてみれば中身は同じなのに、どうしてもいさかいが起きますね。赤というのは血の色のことなので、これも不謹慎かもしれません。

今更だけど「開いて」のところを「ひらいて」にすればよかったかなぁ。その方が色の漢字が際立った気がしますね。

肌の質感とか海に行ったときの肌のベタつきとかをイメージした詩も書いてはみたんですが、しっくりこなくて消しました。でもせめて、カクヨムに下書きを残しておくべきだった……。なんとなーく覚えているうちに書こう、綺麗さっぱり忘れてしまう前に書こう、と、思っていたのですが……もう結構、消えてしもうたわ……。

◇ ◇ ◇



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