4章社長の過去と本省




 数か月が経ち、社長とは良好な関係を保っていた。平日は3回、職場で逢い。週末は院長の家で過ごし、波があれば、社長の趣味のサーフィンに和歌山まで、同行。そして彼のサーフィンを浜辺で、ばっちり日焼け止め対策をして、待つという生活が続いた。深い関係になるに連れて、彼の過去が気になりだしてきた。これが人というものだと私は思う。ある日の週末雨だったので、和歌山にも行かずにのんびりと、彼の家で過ごしていた。夕飯の支度をし広さ約25畳のリビングダイニングに、食事をセッティングをしワインを開け、二人で何気無い会話を楽しんでいた、彼がワインを3杯飲んで、少し酔っぱらってきたので私は、あのね、直樹さん以前に結婚していたって聞いたのだけど、何故離婚をしたの?私の場合は、子供が欲しい私と要らない彼とで方向性が一致しなかったので、別れたのだけど、直樹さんの理由は何かな~と思って・・・そうだな~1回目は、えっ一回目、ま~酔っているから、言いかたがあれかな~と思って聞いていると、一回目は、大学時代の学生結婚だったから、若かったから3年で別れたよ。理由は?若気の至り?とでも言っておこうかな。ふ~ん。で、2回目は、えっ2回目?そう2回目と3回目は、ちょっと待ってよ。3回目って。言ってなかった?僕バツ3なんだよね。バツ3って・・目の前が真っ白になった。そこからの記憶はウル覚えだが、浮気がばれて離婚をしたという事だけが、記憶にあった。嘘~バツ3って、しかも2回のと3回目の原因が浮気って・・・やぱっり、そうすんなりとはいかないものね。神様は私に試練を与えているのだわ。せっかく永久就職のチャンスかもしれないし、ここで挫けてはいけない。もう社長も良い歳だし、これから浮気をする事はないと思うしね。この事は、友達の三人には今は伝える必要はないよね。と思い自分の胸に収める事にした。そうこう考えている内に、また数か月が経った。二人の関係はマンネリ化し、もう長年連れ添った夫婦のようだった。その年の年末から、年始にかけて初めて、直樹さんがグアム旅行に連れて行ってくれた。そこで、カルチェのラブブレスを買ってくれた。私は凄く嬉しかった。でも一つ付け加えるなら、指輪が欲しかったのだ。付き合って、約1年、クリスマスは直樹さんの用事で一緒に過ごして居ないし。プレゼントすらなかったから、グアムでカルチェに連れて行ってもらい、好きな物を選んで良いと言われ、少女のように飛び跳ね喜んだ。そこで良い感じの指輪があったので、これが良いと言ったら、これはよっちゃんぽくないよね。このブレスが良いんじゃないの?と言って勧められたのが、このブレスだった。別にブレスが不満ではない。私は彼女の証として、指輪が欲しかっただけなのに。でも文句を言ってはいけない。旅費も全て出してもらっているし、買ってもらえただけでも良しとしないとね。と気持ちを切り替えた。グアムから帰って来てから、直樹さんの態度に少し変化がみえた。毎週末、彼の家にお泊り、日曜日の夕方に家に送ってもらうというパターンが、金曜日の夜に家に行って、土曜日の夕方に送ってもらうというパターンに変更になったのだ、理由を聞くと最初は会議とか、会合とか言われたが、そんなに毎週末に予定が入らないでしょと、問い詰めた事もあったが、ま、良いかと思って過ごしていたある日、職場で、美ちゃんと二人になったので、この事を相談した。8才年下の彼女に相談するのは、屈辱だったが社長の性格も解っているし、相談しやすかった。事情を説明すると、美っちゃんが、あ~そうですか、やっぱり・・・と言った。私は、何がやっぱりなの?と尋ねると、いや、実は去年、会社の忘年会があったじゃないですか、好美さんは、一軒目で帰ったでしょ?二件目のお店を出る時に、社長、携帯で女の人と話してるみたいだったんですよ。最初は、好美さんと話をしているのかな~と思ったのだけど、よ~く聞いていると、名前が違っていたようななんて思ったんです。でも、私も少し酔っていたから、聞き間違いかな~と思って気にしなかったのですけどね。でも、その時後で、家に行くねって言って携帯を切ったので、好美ちゃんの家に行くんだって思ったから。ちょっと待ってよ。その日、私の家に来なかったよ。今日は、飲んで遅くなるから、タクシーで自分の家に帰ると連絡があっただけで、私の家には来なかったわ!一体どうなってるの?好美さん、率直に言っても良いですか?社長、他に女の人がいてるのではないですか?最近の態度と忘年会の事もあるし、これは、黒ですよ。え~そうなのかな~バツ3はダメか~と嘆くと、美っちゃんが、え~社長バツ3なんですか~?と大声をあげた。し~っ聞こえるでしょう。そうみたいよ。酔った席での話とはいえ、嘘はつかにでしょう。そうですよね。直美さんどうするのですか?社長を問い詰めるのですか?う~んどうしようかな~と私が言うと、そうだ。好美さん、私の行って入る占いに行ってみません?結構当りますよ!ここで、第三者の意見と星の話を聞いてみましょうよ。と言ってくれたが、何故か、言った美っちゃんが凄く楽しんでるのが、解せなかった。二人が休みの時に一緒に占いに行って見る事にした。気晴らし、気晴らしと自分にいいきかせた。 占いの日になった。その場所は、なんと働いている整骨院の近くの一軒家だった。インターホンを鳴らすと、感じの言い女の人が出た。こんにちは、予約を入れていた星野です。鍵が開いているので、どうぞ中に入って下さい。と言われたので、二人で、家の中に入った。カントリー風のお家で凄く趣味が良いように思えた。庭には、綺麗なお花が咲いていて、とても良い香がした。お邪魔します。こちらえどうぞという声のする部屋に足を運んだ。6畳程の部屋の中に入ると、アロマキャンドルの香が凄く心を落ち着かせてくれた。先生に事情を説明すると、社長と私の生年月日を言い。占いが始まった。一つ言えるのは、この彼、相当の女好きね。結婚なんて考えない方がいいわよ。そうですか・・・それで、現状というか、この先どうすれば良いですか?と尋ねると。タロットを見るわね。そうね、今、女の人がいるはね。しかも若いわよー。結論は、もう別れた方がいいわね。このままだと。あなたみじめになるわよ。この人では無いわよね。じゃあこの先・・・そうね、では、未来をタロットに聞いてみましょうか。と言って先生は、カードを切り広げた。そうね~この先ね~う~ん。何がでてますか?そうね~まだ、若いのだし、色んな人と付き合ってみては、どうかな?先生、遊ぶって事でしょうか?そんな感じかな?でもね、あなたは、何年か先に大阪には居ないかも?そのカードが、未来に位置に出てるのよね。と先生が言った。大阪には居ないとは?と尋ねると、何年先かは、解らないけどね。この地を離れるとか、まだ具体的には解らないけど、でも、今すぐではないわよ。この人とは、早く別れて、先に駒を進めたらどうかな?はい。私は、若干先生の言って入る意味が理解出来なかった。美っちゃんは、占ってもらわないの?うん。今日は、好美さんの付添だからね。と言って、笑った。

 占いから1か月後、話は思わぬ展開になった。いつも通りに金曜日に社長宅に泊まり、土曜日に送ってもらおうと思い、社長宅の玄関を開けると、そこに若い女性と、3歳位に男の子がこっちを見ていた。私は何も気にせずに、社長の車に乗り込もうとした処を、女性が小走りで、私に近づきスミマセン。と、話しかけてきた。最初は道でも聞かれるかと思っていたので、どうしました?と答えると、私、院長とちゃんとお付き合いして、2

年になるんですけど。はい?と私が聞き返すと。ここ半年様子がおかしいので、問い詰めたら、浮気をしてると白状したので、別れてもらえないでしょうか?私達、真剣にお付き合いをしていて、子供もいるんです。社長をここ子に帰して下さい。いや、ちょっと待って。話の意味が理解出来ないのだけど。あなたが、本命で私が浮気相手?そんなはずはないわよ。だって。去年の年末にグアム旅行にの行っているし、ブレスだって買って貰ったし。社長の事務所で働いているし。あなたが、社長に騙されているのよ。と言うと。去年のクリスマスに3人でハワイに行って、結婚をする教会の下見もしているし、婚約指輪も、ほら買って貰ったし。お気の毒だけど、本命は私で、浮気相手はあなたよ。私は、サ~と血の気が引き、倒れそうになった。でも、ここで倒れてはいけない。と思い踏ん張った。私は社長を呼びに、家に戻って。彼を問い詰めた。今、表で起こった出来事を全て話した。じゃあ、院長は悪びれた様子も無く、あっさりと関係をみとめた。彼女は新地の元ホステスで、子供は院長の子供。もうすぐ幼稚園に入るので、それを機に結婚するという事。何故、私と付き合った理由を聞くと、子供が3歳になるまで、遊びたいと言う条件だった事。最後に遊ぶなら、自分のタイプと思いでを作りたかった事。私は、自分自身が情けなかった。社長夫人と言う響きに目が眩みちゃんと、相手を見ていなかった事。表面だけで中身というか、社長の行動がおかしいと思った時点で、ちゃんと話をするべきだった。じゃあ、相手の女の人と逢う事なく、別れたはずなのに・・・それよりも、浮気相手が私なんて・・・離婚して、一発目から上手く行くはずがないのよね。と自己嫌悪におちいった。よっちゃん、僕と、別れても仕事は、今まで通りに来てくれても問題ないからね。僕は、その方が良いのだけど、と言いキスをしようとしてきた。私は、もうこんな関係はごめんだし、会計事務所もやめます。と言って家を飛び出した。後ろも振り向かないで、駅の方を向いてひたすら走った。こんな全速力で走ったのは、ディスコで遊んで終電がなくなるかも?という時以来だ。走って駅に着くと、息切れをしていたせいか、別れたのにもかかわらず。涙が出なかった。電車を待っている間に思ったことは、また、無職になった。帰ったら職を探さないと。それと3人になんて言おうか、笑いのネタにされること、間違いないと・・・

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