5章 振出しに戻る(涙)

 結局会計事務所の社長とも別れ、会社の辞めてしまった。

 はぁ~また振出しの戻ってしまった・・・

 世の中そう簡単には上手くいかないのだと、実感した。

 とりあえず、三人に会って話すのにはメンタルが耐えれないと思ったので、

 メールで完結に結果を伝えた。

 三人からの返信のメールは、誰一人傷口に塩を塗る内容ではなく次の御新規(メンズ)ゲットよ!というポジティブな文章ばかりだったので、失恋して間もない私の気持ちを前向きにしてくれた。その中でも裕ちゃんは次の仕事の事を気にかけてくれている内容だった。

 そうだ、仕事を探さないと、前の夫からいくらかお金の援助をもらってるが、いつまで続くかわからないし、自立する為にも早く仕事を探さないと・・・

 私から自立と言う言葉がでてくるなんて(笑)

 時間もあるし、職安に行ってみよう。お家で社長に滅多打ちされた事ばかり考えてしまうし。三人の言うように前に進まなきゃ。

 でも、今日は無理・・・一日どっぷりと失恋の気持ちに浸って気持ちを切り替えて、明日職安に行こう!でも、一応就職サイトでも見ておこう。こんな事を考えてたと恵美ちゃんに話すと、行くのか?行かないのか?どっちやねん!と言う突っ込みが返ってくるんだろうな~っと考えたら、少し元気な気持ちになった。

 けど、職探しを明日からと自分に言い聞かし、冷蔵庫から普段飲まない酎ハイを取り出し飲んで、ベットに入った。

 次の朝飲みなれない酎ハイを飲んだせいか、顔が浮腫んでいた。顔が浮腫んでいても仕方がない、職安に行かないとダメだから。顔を洗い薄くお化粧をし・着替えて職安へと向かった。行く前に位置を調べると職安は住んでる場所からはJRでたった一駅の所にあった。案外近くのあるのね。と思った。

 実は私、職安に行くのは初めて。短大を卒業して就職は父親の友達の歯医者の受付を結婚するまで、努めていたし。少しワクワクする気持ちで電車に乗り職安のある駅へと向かった。ワクワクする気持ちも束の間、たった2分で駅に着いた。

 調べたところ、駅から歩いて徒歩7分。7分って(笑)微妙と思いながら、携帯の地図を見ながら職安へと歩いた。7分と書いてあったが迷いながら行ったので、15分程かかりたどり着いた。そう私は方向音痴なのだ。職安に行って最初に驚いたのは、職安ではなくハローワークという名前になっていた事だ。何故か時代に乗り遅れている気持ちになった.

 職安の中に入って凄く人が多い事にびっくりした。こんなにも、職を探いしている人が沢山いるとは、日本はまだまだ不景気なのね。皆前向きに職を探しているのだから、私も頑張らないと!と勇気が湧いてヤル気が出てきた。

 それと、どうすればいいのかしら?回りを見渡すと、朝早いからか、大勢の人が来ていた。そして何十台かのパソコンが設置されていた。パソコンで閲覧するのね。と思い空いているパソコンを探し、座った。画面を見ると登録画面が出てきた。ここに色んな自分の情報や雇用形態や正社員・パートなど自分のやりたい仕事を検索すりのね!私は、医療事務の資格を持っているから、え~っと医療事務で探してみよう。年齢・希望給料額・勤務地を入れて検索してみた。意外となかった・・・

 給料の設定が高いのかしら?手取りで20万円は多いのかしら?とりあえず、閲覧する所があるから、そこから探してみよう!と職種を選択し、閲覧をした。お家の近くで探していたから、ヒットしなかったのね。市内の方がお給料の良いわ。でも勤務形態が結構ハードね。と色々と検索しながら閲覧していると、あっという間にお昼を回っていた。こんなにパソコンと向かい合ったことがなかったので、席を立つ時思わす、イタタターという言葉がでてしまった。まだ34歳?・もう34歳?同じ体制がきつくなる年齢になってきたのね。と少し悲しくなった。席を立った時に、大学生二人組の声が耳に入ってきた。ハローワークって、ここに来なくてもスマホで探せるみたいっと、えっ?ですよね~と心の中で同調した。そもそもハローワークのパソコンで探せるという事は、インターネットが繋がるツールであれば、どこに居ても閲覧できるって事よね。もっと下調べをしたら良かったわ。こんな浮腫んだ顔で外に出なくても良かったのに・・・さ、帰ろ~とハローワークを出た。帰り道で携帯のメールが鳴った。裕ちゃんからだった。よっちゃん職探しをどう?上手くいってる?という内容だ。裕ちゃんは3人の中で唯一私の職探しを心配してくれている。なので職安基、ハローワークに行ったけど、自分の思う様な職場が見つけられなかった事と。今はスマホで職探しが出来ることを返信した。直ぐに裕ちゃんから、そんな事知ってるよと言うメールが来た。裕ちゃんはお姉ちゃんと会社を経営しているから、これぐらいの事は知っていてもおかしくないと、私は思った。裕ちゃんのメールには続きがあった。よっちゃん今時間があるなら、私の会社に来ない?よっちゃんの仕事の件で良い話があるのだけど。私は、どういう意味か理解が出来なかった。だって仕事の件で良い話って、裕ちゃんが医療事務でも紹介してくれるのかしら?なんて考えた。この後家に帰るだけだし、久しぶり裕ちゃんの会社に行ってみよう。と思い、今から行くねとメールを返信した。裕ちゃんの会社は設計事務所だ。ビルや店舗、家などの設計から外構、内装工事、家具などのトータルコーディネートまでしいる。彼女は専門学校を出て、直ぐにお姉ちゃんと一緒に父親の経営する会社のサポートとの一員として、会社に就職をした。何年か前に父親が他界し、お姉ちゃんと二人三脚で会社を経営している。友達も中で雄一会社を経営している。電車の乗り継ぎ30分程で裕ちゃんの会社の最寄りの駅に着いた。駅から歩いて約5分という立地に会社の入っている5階建てのビルがある。そこの2・3階が裕ちゃんの会社だ。ビルのエレベーターに立ち、裕ちゃん何階にいたかしら?と思ったので、1階から裕ちゃんに電話をかけた。ごめん裕ちゃん、何階に行けばよかったかな?3階に来てくれる?有難うね。今ビルに着いたから。上がるねと言い電話を切った。エレベーターに入り、3階のボタンを押して上がることにした。3階に到着し、エレベーターのドアが開いて、裕ちゃんの会社へと向かった。Fair Bureas

 と看板があったので、その扉をノックし開けてはいった。扉を開けると、広々とした空間でお洒落な事務所だった。よっちゃんこっちよ。と裕ちゃんのが私を見つけて手招きをしてくれた。社員さん達に軽く会釈をし、裕ちゃんのいる窓際の場所へと歩いた。よっちゃん色々と大変だったね。詳細は後日聞くとして、良い仕事ありそう?あ、先にこれと言って、来る途中で買ったGOKANのレモンケーキ手土産に渡した。気を使わせてしまったね。よっちゃん有難う。私の中では親しき中にも礼儀ありで、仲良しでも、友達の会社に遊びにいくのに、手ぶらで行くなんて考えはないのだ。ところで、仕事の良い話って何?そうそう、私の取引先で輸入家具を取り扱っている会社があってね、そこの二代目の社長とは親しくて、先日も打合せであった時に、丁度、事務員が寿退社をしたみたいで、私の知り合いに良い子いないかな~って。知り合いの方が素性もしっかりしているし、信頼が出来るって、年齢は関係なく探しておいてと、言われたのを思い出してね。早速社長によっちゃんの事を話したら、是非とも来てほしいって。輸入家具の事務って、英語とか話せないとダメじゃないの?と裕ちゃんに聞くと、大丈夫よ~そんな事は出来る人がやるみたいよ。よちゃんの仕事は、伝票の入力とか来客があれば、お茶を出すとかそんな感じみたいよ。

 英語の事は、私も気になったから確認済よ!流石、裕ちゃん気が回る~4人の中でも断トツで、気が利くし、気が回るもんね~。で、職場の場所は?と訪ねてと、ここから目と鼻の先よ。今から行ってみてどんな雰囲気か確認してから、決めれば?こういう事は、スピードが肝心だからね。だからよっちゃんにわざわざ会社に来てもらったのよ!と笑いながら言った。私は、なんて優しい人なのかしら、裕ちゃんがメンズなら、恋に落ちてるわ~と心の中で思った。今日の服装はまずまず感じだったが、背に腹はかえれないし、裕ちゃんが声をかけてくれたのも何かの縁だしね。

 うん。行ってみる。と即答した。じゅあ行こうかなと、裕ちゃんが扉の方向へ歩いたので、私は慌てて後を追った。エレベーターで1階に降りて、北の方向に5程歩くと、直ぐに1階にコンビニのあるマンションの前に着いた。ここ?と聞くと、そうここよ。2階~5階は事務所と店舗が入っていて、その上は分譲のマンションになっているみたいよ。結構いい感じの建物ね。どんな雰囲気の会社で、どんな社長さんかしら?あっそうだ!裕ちゃん社長さんてどんな感じの人?怖くて厳しくないかしら?よっちゃんなんでそんな事を聞くの?私はちゃんみたいに、バリバリ仕事とか出来ないし、少しのんびりとしてるから、自信がなくて・・・

 ハッハッハッ~よっちゃん大丈夫よ。武内さんって言うのだけど、年齢は確か3つ上で見た目はチャラっとしてるけど、仕事に関しては真面目だし、なかなかのヤリ手よ!そんな事より早く4階のエレベーターのボタン押してもらえる?あっはい。と裕ちゃんに言われたので、エレベーターの4階のボタンを押した。なんだかドキドキするわ。大丈夫だからね。多分だけれどよっちゃん、武内さん気が合うと思うのよね~。なんとなくだけど、同じ匂いがするの(笑)そうこうしている間に4階に着いた。エレベーターを降りて右に進むと、ドアにT・Meublesと表札が掛けていた。裕ちゃんがインターホンを押すと、男性の声がした。裕子です。と言うと、どうぞと返事がしたので、ドアを開け裕ちゃんに続けて中に入った。輸入家具を取り扱っている雰囲気ではなく、素晴らしく近代的な空間だったので、私は素敵・・・と心の中でつぶやいた。空間にあっけに取られていると、よっちゃん。よっちゃんと裕ちゃんが私を呼ぶ声が耳に入ってきた。あっごめんなさい。裕ちゃんの方を向くと、よっちゃんこちらが社長の武内さん。武内司さんよ。初めまして私は、門倉好美といいます。よっちゃん初めましてではないよ。僕の事を覚えていないかな?

 私は、え~と言いながら武内さんの顔を見た。ごめんなさい。う~んどこかでお会いしたかしら?と言うと、覚えてないのも無理ないか、もう15年前ぐらい経つもんね。15年程前に当時のかれよっちゃんの彼氏のけんちゃん、賢治君って覚えてないかな?けんちゃんといつも一緒だった司だよ!ディスコでいつもVIPに居たんだけどなぁ~。当時のよっちゃんはけんちゃんに夢中だったから、僕のことを忘れているのは仕方がないよね。はぁ~少し記憶が・・・と答えると、え~武内さん初めからよっちゃんの事を知っていたの~?うんそうだよ!裕ちゃんが名前を教えてくれた時から。解っていたから、事務員さんにお願いしたんだよ。じゃあ最初から知り合いだって言ってくれたら良かったのに、武内さんは知り合いならどんな子でも構わないって言ってくれてたけど、紹介する側からしたら、結構ドキドキして連れてきたのですよ!ごめんねゆうちゃん。驚かすつもりはなっかんだよね。軽いドッキリと思ってよ~。でも当の本人は僕の事を覚えてないから、ドッキリにもなっていなかったけどね。で、好美ちゃんと呼んでいいのかな?ここで働いてもらえるのかな?はい。私で良ければ、是非とも働かしてください。と頭を下げた。じゃあ給料とか、時間とか仕事の内容とかは、今度来た時に話すとしようか?え~っと今日は18日だから、今月の21日の月曜日から来てくれるかな。10時にここに来てくれる。はい解りました。21日火曜日の10時に事務所に来ます。有難うございました。と再度、頭を下げた。武内さん事務所に戻ったら、今度新しく雑貨屋さんの内装をする事になったので、資料をメールしますね。と裕ちゃんが言った。よっちゃん行こうか。うん。では失礼します。と言い二人で事務所を出た。よっちゃん本当に覚えてないの?うん全くね・・・15年前は確かにけんちゃんと付き合っていたけど、武内さんだっけ?居たかしら?けんちゃんいつも大勢でVIPに居たし、記憶にないのよね~あんなに格好良い人なら、覚えているんだけどな~と言うと。あのねよっちゃん武内さん凄くダイエットをしたみたいよ。15年前はポチャっとしていたらしくいよ。あまりにも良い人で終わって彼女が出来なかったから、10年前にダイエットをしたって聞いたことがあるのね。でも裕ちゃんが声をかけてくれてよっかた~職安ではなくて、ハローワークね(笑)私が思い描く様な職場はないし、場所かお金を妥協すれば、それなりのは就職先はあるのだけどね。それより、武内さんも良さそうな人だしね。あっ、よっちゃん武内さんね先に言っとくけどバイセクシャルなよね・・それが理由でバツイチになったらしいよ・・・えっそうなの・・・凄く格好良いのに勿体ないね。よっちゃん前の会社の社長と色々あったしさ、その方が働きやすいかな~って思ったから紹介したのよ(笑)何よその理由。今度働く職場では、絶対に恋愛はしないって決めてたから。社内恋愛をして別れると全てを失うって勉強したし。もう同じ失敗はしたくないもん。よっちゃん強くなったね。うん。一人で生きて行かないと。それよりよっちゃん、武内さんの事は聞かなかった事にしてよね。あの人の性格だと、仲良くなると話すと思うからさ。うん。解った。聞かなかった事にするわ。有難うよっちゃん。さてと、新しい就職先も決まったし、来週末辺りお祝いも兼ねて、久々に四人でクラブ活動でもしますか?良いね~。じゃあ帰りの電車の中で京ちゃんと恵美ちゃんにメールするね。よっちゃん悪いけどお願いね。と言い裕ちゃんと別れた。裕ちゃんの会社から、駅までの間歩く間に良い就職先が紹介してもらって感謝の気持ちでいっぱいになった。

 この時は、一部、武内さんきっかけで、数々のダメンズになって行くメンズ達に出逢うとは、知る由もなく、家へと帰って行った。

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