イーリスの手記 No.1
「4月15日 諧調歴378年
今日はローレント・D・ハーグナウアーの屋敷に招かれ、彼とアルマス・ヴァルコイネンが出会った頃の話を聞いた。
アルマス・ヴァルコイネンはその昔、魔力暴走を起こしたハーグナウアーを助けたそうだ。魔道具を渡し、当時高校生だった彼の妻が、彼と共にいられるように計らった。
聞かされたその姿に、私はアルマス・ヴァルコイネンの優しさを感じた。森で私を助けた時と同じ。見返りを求めず手を差し伸べられる。そんな心根を垣間見たのだ。
しかし、この話を私に語って聞かせたハーグナウアーは、私に忠告をした。アルマス・ヴァルコイネンを完全な善人だと思ってはならない、と。
それに加えて、帰り道で私に接触してきたあの女性。彼女は と名乗っていた。彼女のいう『真実』とは、何を指し示す言葉なのだろう。
アルマス・ヴァルコイネンを取り巻く環境は、私が思うよりも遥かに複雑なのだろう。
今日聞いた話は、今から七百年前に起きた、線上の一点にすぎない。二人が何を思って二度目の大きな戦争――大回帰を起こしたのか。何故、次なる戦争に備えるのか。そして、それ以外の謎も。
引き続きハーグナウアーの話を聞き、アルマス・ヴァルコイネンを理解するための一つのピースとしたい。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます