5年目の初夜

寝室に入って、ふとんのうえで向きあうようにして座った。


「――ッ…」


勇ちゃんが額にキスを落とした。


そのとたんに、心臓がドキッ…と鳴った。


ああ、わたしはこれから勇ちゃんに抱かれるんだ…。


「――明日美…」


勇ちゃんがわたしの名前を呼んで、

「止めるなら、今のうちだぞ?」

と、言った。


それに対して、わたしは首を横に振って返事をした。


勇ちゃんはわかったと言うようにフッと微笑むと、唇を重ねた。


「――ッ、んっ…」


ゆっくりと、勇ちゃんに押し倒される。


「――はっ、ああっ…」


角度を変えて何度もキスをされて、それに感じていたら、勇ちゃんの手がパジャマを脱がしにかかっていることに気づいた。


「――んっ…」


キスに躰を委ねていたら、パジャマのボタンが外された。


唇が離れた時、わたしが身につけているものは下着だけになっていた。


今さらだけど…下着姿を見られるのは、ちょっと恥ずかしいかも。


いや、さっきも一緒にお風呂に入ってお互いの裸を見た訳だから恥ずかしがる必要はないんだけど…。


そんなことを考えていたら、

「――明日美…」


先ほどまでキスしていた勇ちゃんの唇が首筋に触れた。


「――あっ…!」


ピリッ…と、そこに痛みが走ったのは一瞬だった。


「――明日美…」


「――んっ、はあっ…」


首筋から胸へと何度も落とされる唇に感じてしまう。


「――あっ、ああっ…」


勇ちゃんの大きな手がブラを外したかと思ったら、

「――ひゃっ…!?」


胸の先に彼の唇が触れた。


「――あっ、ああっ…」


唇からこぼれ落ちる自分の声が恥ずかしい。


わたしが出しているんだと思いたくないくらいだ。


手で口を隠そうとしたら、

「ダメ、声を聞かせて」


その手は勇ちゃんにとられてしまった。


「――だって、恥ずかしい…」


わたしが言い返したら、

「俺は明日美の声が聞きたい」


勇ちゃんは手の甲にチュッ…と、くちづけた。


「――ッ…」


それに対して、心臓がドキッ…と鳴った。


何でこんなにも、わたしの旦那様はかっこいいのだろうか?


「――明日美…」


見とれていたら勇ちゃんの顔が近づいてきて、

「――ッ…」


お互いの唇が重なった。


これで何度目のキスになるのだろうか?


「――ッ、あっ…」


勇ちゃんは何回も何回もキスを繰り返している。


彼のキスに感じていたら、求めるようにして片方の手がショーツに触れていることに気づいた。


ショーツのすき間から、指が入ってくる。


「――ッ、ああっ…!」


自分でもさわったことがない敏感な場所に触れられて、躰が震えた。


何が起こったのか、自分でもよくわからない…。


思わず唇を離したら、

「――明日美がその気でよかったよ…」


勇ちゃんはそんなことを呟いたかと思ったら、指にショーツをかけて脱がした。


「――えっ、やっ…!?」


これで、わたしが身につけているものはなくなった。


「――ゆ、勇ちゃん…」


さっきもお互いの裸を見たばかりだと言うのに、今はとても恥ずかしい。


「明日美、キレイだよ」


「あ、あんまり見ないで…」


恥ずかしくて両手で躰を隠そうとしたら、

「ダメ、もっと見たい」


その手は取られてふとんのうえに置かれてしまった。


「――あっ、やあっ…」


チュッ…と、胸に彼の唇が落ちた。


「――んっ、んんっ…」


勇ちゃんの手が下へ下へと向かっている。


その手は、

「――んっ、ああっ…!」


先ほど触れられた敏感なところをさわった。


「――あっ…」


つぷり…と、勇ちゃんの指が中に入ってきた。


「明日美、痛くない?」


そう聞いてきた勇ちゃんに、

「――わ、わからない…。


でも、何か変な感じがする…」


わたしは首を横に振って答えた。


指が入っていると言う違和感に、戸惑うことしかできない。


「じゃあ、こうしようか」


「…えっ?」


どうすると言うのだろうかと思っていたら、

「えっ、なっ…!?」


勇ちゃんの手がわたしの両足首をつかんだかと思ったら、大きく広げた。


「やっ、恥ずかしい…」


首を横に振ってやめるようにお願いするけれど、

「ダメ」


勇ちゃんに断られてしまったうえに、彼はわたしの脚の間に顔を埋めた。


「――ああっ…!」


敏感なその場所に唇が落とされた。


先ほどまでキスをされていた唇が、わたしの敏感なところをさわってる…!


「――あっ、ああっ…!」


ぬるりとした生温かい感触に、躰がビクッと震えた。


これって…もしかしなくても、舌だよね!?


「――やっ、待って…!」


「待てない」


「――あっ…!」


敏感なその場所を唇と舌、時には指を使って攻められる。


「――あっ、んんっ…」


どうしよう、すごく気持ちいい…。


躰がビクビクと震えて、お腹の下が熱くなって、もっとして欲しいと求めているのが自分でもよくわかった。


「――やあっ…な、何かきちゃう…!」


「大丈夫、怖いことじゃないから」


「――やっ…!」


勇ちゃんの舌が敏感な蕾を舐めた。


「そのまま委ねて、怖くないから身を任せて」


優しい勇ちゃんの声に、わたしは従う。


「――んっ、あっ…あああっ!」


ビクンと躰が大きく震えたその瞬間、頭の中が真っ白になった。


「――はあっ…」


何が起こったのか、自分でもよくわからない。


荒い呼吸を繰り返しているわたしに、

「気持ちよかった?」


勇ちゃんが聞いてきたので、わたしは首を縦に振ってうなずいた。


「イった時の明日美の声、めちゃくちゃエロかった」


「――そ、そんなこと言わないでよ…」


もう恥ずかしくて死にそうなんだから…。


「俺がそうさせたんだと思ったら興奮する」


ニヤリと意地悪に笑った勇ちゃんに、わたしの心臓がドキッ…と鳴った。


勇ちゃんって、こんな人だったっけ…?


こんなにも意地悪で、恥ずかしいことをするような人だったっけ…?


「明日美、いい?


もう無理かも知れない」


「――ッ…」


わたしの太ももに当てられたのは、勇ちゃんの灼熱だった。


「――う、うん…」


コクリと首を縦に振ってうなずいたら、

「入れるよ…」


灼熱が中に当てられて、わたしの躰がビクッと震えた。


「――んっ…」


「――あっ…痛い…」


話には聞いていたけれど、思っていた以上に痛い…。


「――明日美…」


勇ちゃんの顔が近づいてきたかと思ったら、

「――ッ、んっ…」


唇が重なった。


「――んっ、んんっ…!」


すっかり敏感になってしまった蕾を指で擦られる。


「――はっ、んんっ…」


灼熱がどんどんと中へ中へと入ってきている。


ああ、繋がってる…。


勇ちゃんと、ひとつになれているんだ…。


そう思ったら嬉しくて、わたしの目から涙がこぼれ落ちた。


「――ッ、入った…」


わたしの躰が彼の灼熱を受け入れたことを確認すると、勇ちゃんは荒い呼吸を繰り返した。


入ったんだ…。


やっと、ひとつになったんだ…。


「明日美…」


勇ちゃんの手がわたしの頬に伸びてきたかと思ったら、指で涙をぬぐった。


「ごめん、痛かったよな…?」


呟くように聞いてきた勇ちゃんに、わたしは首を横に振った。


「――勇ちゃんと、ひとつになれて嬉しいよ…」


そう言ったわたしに、

「俺も、嬉しい…。


やっと…やっと、明日美が本当に俺のものになったんだと思ったら、すごく嬉しい…」


勇ちゃんは笑って、額にキスをくれた。


わたしは勇ちゃんの背中に両手を回した。


「――勇ちゃん、好き…」


「――俺も、明日美が好き…」


「――大好き、愛してる…」


「――俺も、愛してる…」


わたしたちは何度も言いあった。


「――少し、動いてもいい?」


そう聞いてきた勇ちゃんに、わたしは首を縦に振ってうなずいた。


「――んっ、あっ…!」


ゆっくりと腰を動かしたとたんに中の灼熱も動いて、たまらなくなる。


「――はっ、ああっ…!」


また頭の中が真っ白になりそうだ。


「――明日美…」


「――ッ…」


もう何度目になるのか、自分でもよくわからない。


お互いの唇を重ねて、お互いの躰を抱き締めて、何もかもひとつに溶けあった。

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