第2話

僕は信者たちと奥に突き進んでいた。


「これからどうします?」と信者が尋ねてきた。


「入り口に戻ると獣人の精子と鉢合わせになる、とりあえずこのまま進むしかないな……」


「俺はこんな理不尽に俺たちを叩き込んだ奴らを許せねぇ……気が変わったわ……しっかり産まれて文句言ってやる!」と一人称を俺に変化させつつ俺は言った。


信者たちはいきなり俺の方に向かって土下座

しだした。そして俺を拝み始めた。


「あなたこそ私達の新しい教祖様でございます。どうか私達をお導きください!」と言い出した。


俺は

「ま、そんなことはどうでも良いんだけど、あの巨大生物はなんだ?」


と奥にある巨大生物を指差した。


「あ……あれは……あれは巨大生物です」


「あ、そうだな」


すると天界から声が聞こえた


「ニートよ……あれは白血球です……あれに捕まらないように行動しなさい。捕まると捕食されます」


俺たちは無視して白血球に突き進んだ。


「あれが白血球か……」俺たちは白血球と対面した。


白血球はドラゴンのように炎を吐いていた。


俺は

「よし見つからないように変装していくぞ」

と言った。


白血球はまどろみながら佇んでいた。


精子たちは


「8分音符でーす。通って良いですか?」


と自らの姿を音符に擬態させて通った。


「三連符でーーす」


「よし通っていいぞ」


「8分休符でーーす」


「よし通っていいぞ」


「毛糸の玉でーーす」


「よし通っていいぞ」


「風船売りでーーす」


「ん?……よしいいぞ」 


「幾何学模様でーーす」


「ちょっと待て!オイ!」


怒って追いかけてきた。


俺たちは狭い通路に逃げ込むと作戦会議を始めた。


「おいどうする?」


「このままだと全滅だぞ」


「なんとかして卵子まで辿り着かないと」


「そうだもっかい卵の主に連絡すれば……」


僕たちは卵子の主に再度スマホで連絡することにした。


「はい、もしもし?」


「もしもし精子ですけど」


「お疲れ様です」


「お疲れ様です」


僕は切り出した。


「あのー白血球が暴れてるんでなんとかしてくれないですか?薬飲むとか」


女は

「どうしたら良いですか?」と言った。


すると電話の奥で男の声で「コーラ……」「コーラで良いんじゃね?」と声が聞こえた。


僕が

「今ベッドの上ですか?誰かといます?」と聞くと


女が

「今、触手族の人と一緒で……」


「ひょっとして中に出されました?」


「あ、大丈夫です。今からコーラで洗浄するんで」


すると入り口の方から触手系の精子が大量に押し寄せてきた。


「うわぁあああ!!!もう駄目だこの女!!」


しかし白血球は出したてホヤホヤの触手精子のところに向かって行った。


「今のうちに逃げよう!」


俺たちは逃げ出した。


すると光り輝くハシゴが見えた。


「ひょっとしてここがゴールか……」


俺たちはハシゴを登るとそこには光り輝く卵子があった。


「ようこそ……勇者たち……さぁ早く合体しましょう……」


と卵子が言い出した。


「その前に教えてくれ。俺たちはなんのために合体するのか?」


「それが本能なのです。それが正しいのです……」


「俺はそんな本能拒否する!」


「な、なんですと?」


「そう……それが一番良いんだ……」

俺は言った。


「このまま産まれてももはや誰の子か分からない状況で……絶対めんどくさいことになる……絶対揉める」


「ですが、このままだとあなた入り口から入ってくるコーラのシュワシュワの餌食になりますよ?」


「それで良いんだ……コーラで避妊できる都市伝説叶えてやりたいんだ……」


「そんな……私はなんのために……」


「良いんだ……俺たちはここで朽ち果てても……イクゾーーー!!」


俺は迫り来るコーラに向けて突撃命令をかけた。


突撃する精子たち。しんがりを俺がつとめて突撃しようかと思ったら


ビターーーン!!


卵子が俺の鞭毛を踏んづけていており、それで顔面を打った。


「合体しましょう」と言いながら卵子が俺の上に乗っかかってきた。


「断る!!自分の意志は自分で決める!うわぁあああ!!!」


卵子は無理矢理俺を取り込んできた。


卵子の中に女の子がいた。


「会えましたね……さぁ手を取って……」


その子は俺の両手を取るとダンスのように回りだした。


それが少しづつ上昇を繰り返しその軌跡が螺旋を描いた。


「これが誕生……」僕はつぶやいた。


卵子の中の人は微笑んだ。


すると遠くから


「あーーーふーーーたーーーぴーーーるーーーのーーーもーーーうーーー」と声が聞こえた。



「アフターピル飲もうだと?」

「どういうことだ!!」


気がついたら俺はいつもの布団で寝ていた。


「ハッ……夢だったのか……」


俺は窓を見た。


異世界だった。


空にはドラゴン、ワイバーンが飛び、

西洋風の町並みが見えた。


「そっか……俺は産まれていたんだ……避妊薬にも負けずに……精子って強いんだな」


僕は感動のあまり涙した。


そして


「異世界のことよく分からないから家から出れないわ」


と布団にくるまった。

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異世界に転生したと思ったら精子だった? 乱輪転凛凛 @ranrintenrinrin10

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