三男の居場所 4 インリーダークラブ

  4年生の秋頃、三男は当時6年生だった次男と一緒にインリーダークラブに入会した。

 インリーダークラブとは、簡単に説明するなら「子どもの遊びのリーダーになれるように小学4年生〜6年生で活動するクラブ」だ。本来は町内の子ども会を率いていけるような子どものリーダーを育成する目的だったのだと思う。地域や校区によって組織や活動内容は違うが、私と子ども達の住む校区では、入会は希望者のみで成り立ち、ひと学年に5〜8人ぐらいがインリーダークラブに所属していた。これは他の校区に比べて少ない方だった。

 具体的な活動としては毎月1回、土曜日に小学生全員が自由に参加できる遊びの会(ボール遊び、ポップスティック、ディアボロ、けん玉、囲碁、将棋などがあった)の準備や片付け、季節によってはデイキャンプ、田植えや芋掘りなどがあった。

 

 後日なぜインリーダーに入ろうと思ったのかと三男と次男に聞いたら、2人で

「片付けの後でジュースがもらえるから!」

と言うのだった。

 そんな理由なの⁉︎とは思ったが、ポップスティックやディアボロやけん玉など三男の器用な部分を披露できる場所でもあり、3学年20〜30人くらいの人数で楽しかったのだと思う。


 インリーダークラブだが、年に1回1月に市内各校区のクラブが集まって子ども達が舞台上で各活動を発表する会がある。

 各校が写真をスライドで見せながら活動や行事の様子を説明したり、ダンスや合唱、時には和太鼓の演奏をしてみせたりする。

 しかし私の地区のインリーダークラブは発表の様子が他校と少し違っている。

 私の地区のクラブが舞台上で見せるのは一言で言ってしまえば、「大道芸」だ。

 毎月の遊びの会で遊びながら習得したポップスティック、ディアボロ、けん玉のうち得意なものを音楽に合わせて順番に披露するのだ。時には難易度の高い技に挑戦して失敗してしまう事もあるが、それでも他校にはない内容に観客からは少なからず感嘆の声や拍手がおこることもある。

 三男は3年間これに出場したが、舞台上での彼は緊張の中にも得意げな顔をしてみせたりしていた。

 特に得意なものがポップスティックである。これは一般にはフラワースティックという名称で呼ばれることが多いのだが、両手にそれぞれ30センチほどのスティックを持ち、3本目のスティックをその2本のスティックを使って回転させたり跳ばしたりする大道芸のひとつだ。ほかの芸に比して基本的な動きから難易度は少し高い。しかし三男は実に上手く3本目のスティックを回したり跳ばしてみせたりするのだ。

 初めての発表が終わった後、三男は気持ち良さそうに言った。

「メッチャ緊張した〜。でも楽しかった〜」

舞台上の緊張間に快感も伴うのは遺伝かもしれない。


 将来は舞台やテレビでひっぱりだこの大道芸人か?と思わず夢と妄想が膨らむ母である。

 


 ちなみに私は息子達のインリーダー入会中、ついつい何かと意見やアイデアをだし、ちょくちょく手伝いを引き受け、いつの間にか指導部補佐という役目までいただいてしまった。

 三男が卒業した後も年に数回のイベント、七夕祭りやデイキャンプなどの手伝いを続けている。

 小学生たちから「環さん!」などと呼ばれながら、これも縁かなぁと思ったりもする。




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