長男の高校進学

 長男は3年生になってから、放課後登校にもあまり行かなくなってしまった。

 3年生の担任も前期のうちはたびたび連絡や接触を試みてくれたのだが、9月末ごろからはほとんど連絡がなくなってしまった。

"受験シーズンが本格的に始まったからな"

と私は寂しく感じた。


 しかし12月になり、先生もマズイと思ったのか、再び連絡がくるようになった。

 中学というのは良くも悪くも、授業に出席していなくても卒業出来てしまうもので、中学卒業後の進路を考えなくてはならなかった。

 ちなみに成績表の各教科の欄は評価が出来ないために全て斜線だ。


 12月半ばの三者面談にて担任から提案を受けた。

「隣の市なんですが、元不登校の子でも素行が悪くなければ受け入れてくれる私立高校があります。入学後もとても面倒見が良い学校なので、どうかと思うのですが。」

私はもちろん、長男も高校は行っておきたいと思ったらしい。すすめられた高校を推薦入学する方向で話しが進んだ。

「ただし、推薦するには登校日数が足りません。これからは放課後でもいいので登校日数を増やしてください。」

と言われ、その日から再び放課後登校をするようになった。


 そして1月、校内の先生たちの会議を経て長男は隣市のその私立高校への推薦をしてもらえる事になった。


 推薦といっても一応の入学試験はある。

作文と面接だ。

作文はたしか「高校で頑張りたいこと」だったように思う。

「何書いた?」

と聞いたら

「FC岐阜の応援について」

と答えた。

面接については…覚えていない。

まあ、問題なく終わったのだと思う。


 数日後、中学の担任から合格の知らせを聞き、私は心底安心し長男の人生はここから変わるのだと期待した。

 


 

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