07:半額弁当だよ、こじきちゃん!

 期末テストが終わって早々にレポート課題を与えられたため私たちは大学でそれに取り組んでいた。

「よっし! これでおっけー!!」

 モナちゃんの達成感に満ちた声とともに私とノンノも脱力する。

「やっと終わったね。もうすっかり夜だよ」

 外はすでに真っ暗だった。窓から見える駐輪場からはもうほとんど自転車の姿は消えていた。

「みーちゃん、ノンノのおかげだよー。さっ、帰ろ!」

「あ、牛乳買わなきゃだったな。スーパー寄ってくから先帰ってていいぞ」

 ノンノの言葉で思い出したが、私もちょうど牛乳を買おうと思っていた。

「私も買い物したいから付き合うよ。モナちゃんは?」

「じゃあモナも行く!」

「じゃ、歩いて行くか」

 ノンノはおそらくモナちゃんが車を出してくれるわけがないと思って徒歩を提案したのだろう。そんなに遠いわけでもないので歩いて行くことに抵抗はないが、こんなことに気遣いしなくてはいけないことが残念でならない。


「疲れたし夕飯買ってくか。さすがに自炊する気にはなんないし」

「そうだね。まだ半額シールはないみたいだね」

「2割引とかはチラホラって感じだな」

 モナちゃんはこういうときどういうチョイスをするのか興味がある。

 彼女の動向を目で追っていると唐揚げ弁当を手に取った。私もそれがほしかったので同じものを手に取る。2割引のシールが貼られていた。

「みー、モナ。決まったか?」

「うん。決まったよ」

「じゃ、レジ行くか」

 私たちが会計レジへ向かおうとしたときだった。

「待って! もうちょっと見て回ろうよ!!」

「お、おう」

 ここから何を買うでもない店内マラソンが始まった。


「はははー。よかったな、みー。お前らの唐揚げ弁当半額になったじゃん」

「……」


 おわかりいただけただろうか?

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困ったもんだよ、こじきちゃん! 無名 @kei304

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