第22話

 一旦話はそこで中断されたが、お好み焼きを半分ほど食べた金太がふたたび訊ねた。

「トウさんの仕事なのか?」

「違うよ。ジイちゃんが野菜ば作っとるんやけど、そのジイちゃんが転んで足の骨ば折ったト。しばらくしたら良くなるんやろうけど、ジイちゃんももういい年やけん、おそらくもう畑には出られん。ようわからんけど、長いこと続いた畑やからトオさんに跡ば継げということらしい。トウさんもカアさんとずいぶん話し合って、結論を出したみたいや。ボクが大学生くらいやったらこのままこっちにおることもできるんやろうけど、ようやく高校生になるんやから、無理やろ」

 ノッポは時々金太たちの顔を見ながらゆっくりと話した。

「そうか、それでさっきから元気がなかったんだ」

 金太はコップの水を飲みながらノッポを見る。

「でも、ノッポさんがいなくなると淋しくなるよね」

「ネズミ、まだそう決まったわけじゃないだろ。早とちりは止めろよ。

 ……なあ、ノッポ、オレん家に下宿するってのはどうだ? オレん家はひとりくらい増えたって変わらないからさ。部屋だってオレと一緒の部屋で寝起きすればいい」

 金太は名案が浮かんだという得意顔を隠さなかった。

「それだったら、ボクの家のほうがいい。だって誰も使ってない部屋がふたつほどあるから、ノッポひとりくらい全然平気だ」と、デーモン。

「デーモンが乗り出して来たらだめだ。オレの家と比べ物にならないも」

 金太は頭を掻きながら笑った。

「ありがと。みんながそげん気にしてくれるのは、本当にうれしか。ばってんそげんことうちの親が許すはずがなかろうもん。親には親のプライドというものがあるけん」

「そっかァ、確かに。はっきりしたわけじゃないけど、もし、もしだよ、もしノッポが福岡に戻ったとしても、LINEとかスカイプで話ができるからたまには顔を見れるよな」

 金太はみんなの元気を取り戻そうと、わざと明るい口調になっていった。

 その後、しばらくゲームやお笑い芸人の話を続け、約束どおりデーモンが駄菓子屋の代金を払って店を出た。

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