第6章 将来に向けて

第30話 情熱的な夜

 倫太郎たちを無事くっつけた夜。

 風呂で疲れを癒した俺は、部屋でゆったりと過ごしていた。

 なにはともあれ、無事に行ってなによりだ。


 結衣からメッセージが来ているのに気が付いた。


【ちょっと部屋まで来てもらえないかしら】

【何かあったか?】

【ちょっと話がしたくて】


 そういえば、昼間はデートが中断したままだったのを思い出した。

 結衣なりにちょっと寂しいのだろうか。

 

 ともあれ、断る理由もない。


【じゃあ、すぐ行くから】

【うん。待ってるわ】


 結衣の家は同じ団地だから、この寒さでも特に支度は必要なかった。

 チャイムを押すと、既に寝間着に着替えた結衣が出てきた。


「おまたせ」

「うん。ありがとう」


 結衣の部屋に通される。

 しかし、なんだか顔が火照ってるような気がするし、

 耳も赤いような。


 部屋にたどり着くと、結衣はベッドにごろんとなる。

 そして、布団をかぶりながら、手招きをしてくる。


「ん?」

「一緒に寝たいな…って」


 ときどきこういうお誘いをしてくることはあった。

 普通に一緒に寝たいのか、えっちなことのお誘いなのかすぐにわからないが。


「じゃあ、お言葉に甘えて…って、むぐ!?」


 横に寝っ転がると、唇をふさがれた。

 しまいには、舌も入れてくる。

 

「ぷはっ」


 いきなりだったので息継ぎがうまくできなかった。


「どうしたんだ?」

「帰るときからかしら。昴が欲しいって気持ちが湧いてきて……」

「……」


 未だに女の子の性欲、ってか結衣のそれはよくわからない。

 ただ、求められて嫌なわけがない。


「むぐ!?」


 今度はこちらからキスをする。


「ぷはっ。はあ……」


 どこかぽーっとした表情の結衣。

 こちらも気持ちが盛り上がってきてくる。


 結衣が手を背中に回して、少しずつ下におろしていく。


 こちらも、結衣の背中に触れて、首筋や耳たぶにキスをする。


---


「だいぶ長いことしたな」

「そうね。凄く気持ちよかったわ」


 疲れた後の行為だったので、疲労困憊だが、悪い気はしない。


 ふと、疑問に思ったことがあったので聞いてみた。


「結衣は、どういうときにしたくなるんだ?ちょっときっかけがわからなくて」

「私もよくわかっていないんだけど……凄く一緒にいたい、つながりたいって気持ちがあふれてくることがあって」

「なるほど」


 なかなか、性欲の問題は難しい。


「なあ、そういえば。付けてしてなかったよな」


 重大なことを忘れていたことに気がつく。


「あ」


 結衣も今気が付いたのか青ざめる。


「ど、どうしよう」

「お、落ち着け」


 そういう俺も動揺している。

 こういうときは、ネットで検索だ。

 すると、アフターピルというものを服用してもらえば、100%ではないものの

 高い確率で避妊できることがわかった。


「この、アフターピルっていうのを処方してもらえればいい…らしい」

「明日、日曜だけど、大丈夫かしら」

「日曜でも処方してもらえるところもあるみたいだ」

「そうなのね」

「明日、病院に行こう」

「ええ」


「ほんとすまん!」


 頭を下げた。


「謝らないでいいわよ。私だってすっかり忘れてたし」

「でもな……こういうのは、男の方が大切にしないとだし」

「私の方が誘っちゃったんだし」

「もし、できちゃったとしても、責任はとるから」

「うん。ありがとう。高校生で……だと、色々難しそうだけど」

「そのときはそのときで」


 避妊はほんとにきちんとしよう。

 そう誓ったのだった。

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