第17話 サトちゃん
『みっちゃんへ
みっちゃん、久しぶりに会えて嬉しかったよ。
みっちゃん、泣いてくれてありがとう。
来てくれてありがとう。
みっちゃんの事だから、再会してないって怒ってるかな?ムッとしてる顔が目に浮かびます。
みっちゃん、私ね、幼稚園の時、新しい友達が来るの楽しみにしてたんだ。なのに、いきなりブスって言われて傷ついたよ。
それからみっちゃんが憎らしくて、いじめた。
みっちゃんは色が白くて可愛くて、よけいに腹がたってね。命令ばかりしてごめんね。
おばさんの玉子焼き美味しかったな。先に食べてごめんね。みっちゃん一つも食べられなくて残念だったね。
友子ちゃんの四つ葉のクローバーもごめん。おばさんに嘘をついて、みっちゃんを泣かせたね。
みっちゃんはクラスの人気者で憎らしかった。正直、上靴泥棒ってあだ名付けられてざまあみろって思ってたよ。けど、信じてたよ。みっちゃんは泥棒するような子じゃないって信じてたよ。
みっちゃん、有刺鉄線でケガした時、びっくりしたでしょう。痛かったけど、みっちゃんも辛かったね。体操服破ったでしょ。そんな事しておばさんに怒られなかった?みっちゃんらしいね。
リュウゼツランが咲いたよ。私のお葬式の次の日に咲いたんだよ。だから、みっちゃんは私との約束守ってくれたって事だね。ありがとう。
みっちゃん、私の巾着袋を持っていてくれるんだね。なんか嬉しい。ありがとう。
あと、花柄のワンピース似合ってたね。今年幾つになるんだっけ?五十歳過ぎてもあのワンピースを着るって、みっちゃんらしいね。
みっちゃんも結婚してないんだね。見栄はって損しちゃったよ。
みっちゃん、病気になって、先に死んじゃってごめんね。もう会えないけど、寂しいけど。
みっちゃんともっと遊びたかったな。みっちゃんともっと話したかったよ。
「また来るね」って言ってくれて、本当に嬉しかったよ。ありがとう。
みっちゃん、みっちゃん、みっちゃん、
いつまでも友達でいて下さい。さようなら。
サト』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます