第16話 手紙

 サトちゃんとの四十年ぶりの再会が残念な形で終わり、ショックからか風邪を引いてしまう。


「飛山さん、宅配です」

 仕事を休んで、横になっていると荷物が届く。


 独り暮らしのリビングで荷物を開けた。


 差出人はサトちゃんのお母さんだ。


 手紙と巾着袋が二つ入っている。封筒が二つあり、一つはサトちゃんのお母さんからだ。封を開けて手紙を読む。


『飛山光子様

先日はお忙しい中、サトに会いに来て下さりありがとうございました。サトもとても喜んだに違いありません。みっちゃんに謝らなくてはいけない事があります。サトはみっちゃんに嘘をついてい

ました。実は結婚もしてませんし、子供もいません。明子ちゃんに嘘をついて、みんなに幸せでいることを……伝えるためでした。

サトはずっとみっちゃんの事を気にしていたんです。彼氏は出来たのか、結婚したのか、子供はいるのか?幸せな家庭なのかって。

みっちゃん、サトの事を覚えていてくれて本当にありがとう。……ヨシばあの巾着袋を同封します。サトの形見だと思ってね。みっちゃんとずっと一緒にいられる事をお祈りしています』


 短い手紙の中の衝撃的な事実に驚きながらも、サトちゃんらしいなと納得した。


 サトちゃんの形見の巾着袋を取り出して、両手で握る。中味はただの石ころなのに……形が変わった気がする。


 サトちゃんとケンカした時、悲しくて、悔しくて、淋しくてずっと握っていた巾着袋だ。サトちゃんのも同じくらい色あせている。


 サトちゃんの手紙の封を開ける。便箋三枚にびっしりと書かれた達筆の文字に驚いた。


 いつ書いたんだろう。病気になる前だよね。


 コーヒーを煎れて、サトちゃんの手紙を読むことにした。深呼吸をして手紙に目を落とす。


 

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