第31話 修学旅行①

<美香視点>

今日から2泊3日で川野辺高校2年生は修学旅行に旅立つ。

場所は京都+関西&北陸の旅。

京都を起点にして1日目は京都観光。2日目はグループごとに関西&北陸を観光し最終日3日目は再び京都にて合流し帰京する。

最近の高校の修学旅行としては地味な内容かもしれないけど、京都好きな私としては何の不満もない。引率とは言え色々と観光もできるしね。


ということで私は今新幹線に乗って京都に向かっている。

そして隣には養護の三宅百合子先生が座っている。

まぁ百合子とは大学時代の同級生で揃って川野辺高校に赴任した同期でもあったりする。相良さんと同じ会社に入社した梨花含め学生時代は良く3人で美味しいもの食べに行ったり旅行行ったりしたなぁ~


「ねぇ美香は春先にも梨花と京都旅行に行ったんだよね?」

「うん。桜が綺麗だったよ。寺社と桜それに甘味。何度行っても飽きないな~」

「うぅ~私も行けばよかったなぁ~」

「何よ。あの時は誘ったのに彼氏と予定が・・・とか言って断ったんじゃない」

「た 確かにあの時は彼氏とも上手くいってたし・・・」

「・・・ごめん。別れちゃったんだっけ」


触れてはいけない話だった・・・

喧嘩別れらしいけど確か結構付き合い長かったんだよね。


「そ その話はまぁいいわよ。で、その京都旅行で行ったんでしょ?」

「え?どこに?」

「縁結びの神社よ。前に言ってたじゃない」

「え、あぁ行ったよ地主神社かな。清水行く途中で梨花とお参りに」

「そう それよ!私も行くから付き合ってよね。

 2人とも恋人が出来て結婚決まったのって旅行の後じゃない」

「あ、確かに・・・」


言われてみればそうね。

梨花はあの頃は、及川さんと同僚として付き合いがあっただけのだったはずだし、私は洋さんと出会ってさえいなかったけど・・・確かにご利益あるのかも。


「でしょ!絶対あるんだから私を案内しなさい!」

「う うん」(目が怖いよ百合子)


等と教師であることを忘れたかのようなトークをしていると聞き耳を立てていたのか生徒が会話に紛れ込んできた。A組の川原さんと早瀬さんだ。


「先生!聞きましたよ!私達もその神社連れてってください!

 私も彼氏欲しいです!」

「って川原さん可愛いし、焦らなくても大丈夫でしょ」

「焦りますよぉ~ 楓も美玖も綾子も彼氏持ちなんですよ。

 仲間だと思ってた美沙まで最近彼氏だ出来たとか言うし・・・

 バスケ部リア充多すぎです!って先生もバスケ部の顧問じゃないですか!どうなってるんですかバスケ部は!」

「え~と・・・そう言われてもねぇ

 は 早瀬さんは彼氏とかあんまり興味なさそうだったけどなんで急に?」


この子は確か文芸部で、あんまり彼氏とかには興味なかったと思うんだけど。


「確かにあんまり興味なかったんですけど、文化祭で田辺君と小早川君をみてて、こういうのも良いなぁ~って。それに最近仲が良いB組の大崎さんもカッコイイ彼氏が出来て」

「なるほどねぇ。確かにあのバカップルは見てて恥ずかしくなるくらいの時もあるけど仲が良いし羨ましくはあるわな。

 よし!ここはこの三宅先生に任せときなさい!」

「「はい」」


って百合子。地主神社は見学コースに無いんだけど・・・


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京都駅に到着し、今日の予定の説明を行った後、バスに分乗してまずは清水寺へ。ここでは清水寺の見学とお昼ご飯を頂く予定だ。


「う~ん。天気も良いし眺めも最高ね!」

「そうね。私は京都に来るの久しぶりだけど、こういうのもいいものね」


清水の舞台に立ち眼下の街を見下ろす。

紅葉の季節は少々過ぎてはしまったけど、まだ赤や黄に紅葉した木々は残っており周囲の風景に彩を与えている。


京都や奈良ってよく修学旅行のコースとかに選ばれるけど、その感じ方は年齢に応じて結構違ってくるのよね。私も小学校の頃に来た時は退屈で友達と騒いだことしか覚えてないけど大学生の時に梨花たちと来た時は歴史を感じられて凄く楽しかった気がする。

今日、修学旅行に来たみんなも何年かしてまた京都を訪れると違った印象受けるんだろうなぁ~。

と物思いに耽っていると


「で、例の神社だけど、このすぐ裏よね。

 見学の間は自由時間のはずだし行くわよ!」

「え?今からなの?」

「そ。川原と早瀬にはラインしておいたから」

(こういうところの行動力は凄いわね)

「まぁ近いし時間も結構あるから良いけど」

「よし!行くわよ」


ということで清水の舞台を出て川原さん達と合流した私達は神社へ向かった。


「わぁ凄い 恋占いの石だって。さっきスマホで調べたときに見たよ」


と早瀬さん。みんなすぐスマホで調べるんだね。


「美香!もちろん前に来た時やったんだろ?」

「え ううん。私も梨花も向こうの石までたどり着けたけど」


確かにこれって恋の願いが叶う願掛けの占いなんだよね。

目を閉じて離れたところにある石までたどり着ければ恋の願いが叶うってやつ。

あの時は・・・どんな願掛けしたんだっけ?

などと考え事をしている間に百合子と川原さん、早瀬さんは目をつむり早速願掛けを開始していた。


川原さんと早瀬さんは比較的まっすぐに進み見事手助けなしで石にたどり着いた。2人して凄く嬉しそうに喜んでるけど意中の人は既にいるのかな?

などと微笑ましく見ていると百合子は石を離れというか通り過ぎて・・・

アドバイスはしない方が良かったはずだけど仕方ないので


「百合子通り過ぎちゃってるよ。逆方向ちょい左へ」

「えぇ通り過ぎちゃったの!そんな私の婚期が!!」


百合子・・・必死過ぎるよ。

そんな百合子も悲壮感を漂わせつつ石にはたどり着いた。


その後、皆でお守りを購入。

私は相手と2人で持つ対のお守りを買った。

帰ったら洋さんに渡すんだw


なんてことをしていたら、いつの間にか集合時間まで後5分。

教師が遅れるわけにはいかないので、あわてて集合場所まで走り何とかセーフ。

田中先生には苦笑いされちゃったけど一応行先は伝えてあったので深くは追及しないでくれた。いい先輩だ。


その後のお昼ご飯は京都らしい会席料理で美味しくいただけたんだけど、川原さんや早瀬さんに捕まり色々と洋さんとの馴れ初めやら質問攻めにあった。

ちょっと高校生には話せないようなところは適当にごまかしながらだけどね。

だって・・・酔っ払って見ず知らずの男性のベッドに裸で寝てたとか言えないよね教師として。


その日は、京都市内の寺社をいくつか見学してホテルのある嵐山に向かった。

生徒たちは疲れたのか部屋でおとなしくしてたみたいだけど、私は百合子や富田先生達数人と嵐山にある居酒屋で美味しいお酒を飲みながら女子会をしてきちゃいました。













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