女の子……? 4


「腹減ったぁ。つーか、ねみぃ。」



外に出ると、辺りはすっかり夜の街に変貌していた。


制服でウロウロできる雰囲気じゃねぇよな。



結局、あの後、社長や女の子と食事する気分にはなれず、断りの電話をいれてしまった。


まもるさんは、めっちゃ怒ってたけど。


だってまあ、しょうがねぇよ。尊敬してるまもるさんから、コクられたら、サラッと受け流せないつーか、オレだけチャラチャラと、女の子といい想いなんて出来ねぇじゃん。

今日ぐらいは、まもるさんの事想っててやりてぇし、

知らねぇ女子からコクられた時みてぇに、事務的に処理したくなかったんだよ。



_と、ガラにもなく、しみじみと歩き始めると、街灯の下に見覚えのある姿が……。



「えっと……確か……、」


「あっ………えっ……?」



めっちゃ驚いた顔をしてる………?



如月きさらぎさん……?だっけ?」


「はい!そうです。………あの…?」


「ん?」


「……高校生……だったんですね。」


「……は?」



確かにオレは、グレーのタータンチェックのパンツにワイシャツ、エンジのネクタイに紺のカーディガンという、すぐに制服とわかる格好をしていた。



「スタジオにいらした時は、とても大人っぽく見えたので……、てっきり、同じ位かと……。」


「ああ、それで。」



びっくりした顔したんだ。


ん?



「同じ位って?……いくつ?」


「大学2年……二十歳です。」


「へぇ。…………え……えぇぇっっ?!大人?!」


「はい……よく若く見られます……。」


「あっ………悪い…。」


「いえ………慣れてるので……。」



でも………こんな細ぇし、ちっちゃいし、肩もこんな狭ぇし……あっこれは、年齢関係無いか……

ほっぺたなんて、ぷにぷにしてそうじゃん。


「で?……こんなとこで何してたの?ひとりじゃ危ないよ。」


「あの……、」

 

「ん?」



よく聞こえないから、少し近づいて、顔を覗き込んだ。



「た…体調が悪いときいたので……。」



ああ。そういう事にしたんだっけ。


それにしても…


クスッ……慌てて後退りしてる。

近過ぎたか?

反応が可愛いな。

でも……、



「心配してくれたの?」



コクッと頷く彼女。


まさか、まもるさんにコクられたから……なんて言えねぇしな。



「ありがとう………まもるさんと友達なんだって?」


「!……いえ……友達というわけじゃ……。」



表情が硬くなったな。


触れられたくない話題だったか……?



「……まぁいいや。とりあえず家まで送るよ。ひとりじゃ危ないし……。」


「えっ?……あ……でも……、」

 

「オレじゃ、頼りない?」



顔を覗き込むようにして訊くと、


首が、ちぎれるんじゃないかと思うくらい、ブンブンと横に振った。

 

反応が、いちいち可愛い。



「じゃ、決まりね。」



今日は、まもるさんの事で頭がいっぱいになると思ってたのに……。


オレって……


こんなに、チャラかった……?


いや………今日は、細かいこと考えるのや

めよ。

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