女の子……? 5

あっ。今日オレ_、



如月きさらぎさん………悪い。 今日オレ、バイクで来てたんだわ。」


「えっ……? あっ……ああ、いいですよ。タクシー拾いますから。」


「いや……そうじゃなくて……。 オレの後ろに乗って欲しいんだけど……いいかな?」


「えっ?……いいんですか?」


「大体の行き先、最初に教えてもらえれば……、」



て……、


すっげぇ目が、キラキラしてるんですけど。


少女マンガみてぇ。



「バイク好きなの?」


「いえ………あの…乗ったこと無くて……。」



そういうことか……。


でも、バイクでこんなに喜んでもらえるなんて……。


こんな子…まだ居るんだな……。



オレは、彼女とビルの駐輪場に向かい、大体の行き先を訊いた後、

予備のメットを渡した。


先にバイクにまたがって準備をしていると、

メット(キャップ)の顎ひもに悪戦苦闘しているようで……。


なんか、可愛いな。赤い顔して……。


つか、ずっと顔赤かったよな。


駐輪場まで2人で歩いている時も、


家の場所訊いた時も、


メット渡した時も……。



「どれ。貸してみぃ。」



オレはバイクから降りて、彼女の顎ひもを調整してあげた。


ふっと彼女に視線を移すと、ますます赤くなった。


もし、ここでハグしたら、どうなる……?


キスしたら……?


っ?!……オレ、何妄想してんだ?




*****




「……しっかりつかまっててね。」


 

彼女は返事の代わりに、背後からギュッとしがみついてきた。


今、どんな顔してるのかな……?

 

やっぱ、赤い顔してるのかな……?


ダメだ……。


妄想が止まらねぇ。



そこから、30分位で彼女の住むマンションに着いた。



「ありがとうございました。」


「良かったらバイクくらい、いつでも乗せてやるよ。」


「本当ですか?」



うわっ……この表情……!

  

絶妙な上目づかい。


キラキラした瞳。


クるわぁ……!   



「それじゃ、おやすみ。」



道路に出ようとした瞬間、


彼女に腕をつかまれた。

 


「ん?……どうした?」



彼女は何か言ってるようだが、何を言ってるのか聞こえない。


オレは、バイクのエンジンを切った。



「ごめんね。もう1回言ってくれる?」


「あの……夕飯食べました?」


「えっ……?まだ…だけど?」


「良かったら、何か作るので、食べて行きませんか?」



えっ……?意外と大胆?!

 


「いや……でも遅いし……ひとり暮らしだろ? オレなんか、入れちゃまずいんじゃ……?」


「全然、大丈夫です。」



言い切ったね。


それはそれで、複雑だけど。



「じゃ……お邪魔するかな。」



ここで断れる男が、世の中にいるのか?


こんな縋るような目で見られたら、行くしかないでしょ。


て……何、自分で納得させてんだよ。


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