アリスおばあちゃん、異世界の扉を開く(3)

 アリスおばあちゃんは、既にアリスおばあちゃんではなくなり、体はアリスに戻っている。ソファーに座り、自分の身にいったい何が起こっているのか、なんで異世界に迷い込んだのか。もしかしたら迷い込んだのではなく異世界に引き込まれたのか、どうしてこんなことに巻き込まれないとならないのか。この世界からどうやって、元いた世界に戻れるのか。

 アリスは、考えることがあまりにも多すぎる中、ふとこの部屋を見渡していると。ベッドに可愛い柄のカーテン、テレビも机もある。

 アリスは机の上に置いてある物に気づき、机のところに行くと、そこにはノートパソコン。電源は切っていない、不用心すぎると思いつつ、ごめんなさいと言い。机に向かい、ノートパソコンを勝手に操作し、ネット情報が知りたい。

 アリスは、食い入るようにパソコンの画面を見ている。あらゆる情報を検索し、30分経ち、この異世界のことが段々とわかってきた。


 この異世界は、極端な言い方になるが、人間だけが入れ替わった状態になっている。アリスが住んでいる地球とまったく同じ環境。まるで太陽系をコピーしたような感じ。アリスたちのような格好をした人間はいない、宇宙人と言われてもしょうがない。文明もアリスたちの現代とそっくりたが、大きな違いがいくつかある。

 いろんな動物が人間型に進化し、各国に王が存在する。アメリカのニューヨーク州には、自由の城があり、そこにはアメリカの王がいて、大統領も存在する。

 地球上の王族を横一列に並べると、ウサギ型の人間になっている。ウサギ型の人間は、限られた家系のみに特殊能力者が存在する。そして、この世界の言語もほぼ同で、アリスの住んでいる地球上にある国は、全て同じように存在する。まさに疑問だらけのこの世界。

 仮に、アリスの住んでいる世界をラビーが見たら、疑問だらけの世界と言うだろうか。


 この城は、自由の城。そして、ラビーはアメリカの王女。19歳になったラビー王女は、突然王からお見合いをせきたてられ。結婚のことは何一つ考えていないラビー王女に、まるで結婚を押しつけかのように王は結婚を急いでいた。なぜ急ぐのかその真意がわからない、ニュースやネットで騒ぎ立てられていた。


 いろんなことを考えながらアリスはネット検索し、この世界の世界情勢を知り、ラビー王女が部屋に戻ってきた。

 すると、ラビー王女は、いきなりアリスに抱き着き、涙を流し泣いている。アリスは、突然のことに戸惑うが。

「ラビー、何があったの!?」

「お父さんが、お父さんが、ガンだって……」

「ガン!? ラビー、その病院に私を連れて行って」

「えっ!? どういうこと?」

「いいから連れて行きなさい、私が治してあげる」

 ラビー王女は、アリスの真剣な表情に言われるがまま、この城の地下にある病院に2人は瞬間移動した。

 目を開けるアリス。突然現れたアリスに院内にいた王に仕える者たちは驚き。騒ぎ立てる前に、ラビー王女はアリスの前に立ち、事情を説明し。なんとかわかってもらえ、MRI、CT、アリスは全ての診断結果に目を通し、何も言わず、王のいる病室に行き、ラビーは驚いている。


 アリスから輝くオーラが放たれ、その右手が光り輝き王の体に触れた。

 すると、その光は透明な球体になり、王を包み込み、浮き上がり、秒間浮き。またベッドの上に戻り、透明な球体は消え。

 その光景を見ていたラビーは、呆然と立ち尽くし。アリスも呆然と立ち尽くしている。この時、王の頭に巻いていた包帯がなくなり、足のギブスもなくなり。目が覚めた王は、ベッドから起き、体を動かし、怪我治ったと喜んでいる。


 その光景にラビー王女は、王のそばに行き。

「お父さん、大丈夫なの!? ガンって聞いて私」

「ラビー、それがどこも痛くないんだよ。どうして私は治ったんだ!? 先生はもうだめだと言っていた。余命3ヶ月だと……でもどうして」

「実は、ここにいるアリスさんが治してくれたの」


 王はアリスを見て、驚かない。しかもアリスに両手を掴み。

「あれがとう、あなたは命の恩人だ。まさか宇宙人に助けられるとは、一度お会いしたかった」

 その発言に、呆然と立ち尽くしていたアリスは我に返り。

「王様、失礼ですが私はアメリカ人です。それより王様、今すぐ放射線による被ばくがないか検査を受け、血液検査を受けてください、私も検査を受けますので」

 王は、突然のアリスの申し出に素直に従い。病室の外にいた王妃は、涙を流し喜び。王に仕える者たちも喜び。院長は、突然病気が治ったことに呆然としていた。

 そんな中、検査が始まり。1時間後、検査結果が出た。王は、全ての検査異常なし、ガンなどどこにもない。アリスの診断結果も全ての検査異常なし。アリスは、この結果に胸をなで下ろし、あの透明の球体がもたらす体への異常は何もなかった。しかし、あれはいったいなんだったのか、またわからないことが1つ増えた。

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