カチッとつながる楽しさ

 私はもともとドラマが好きなのですが、昨年から韓国ドラマにはまっております。それも王朝時代物が特に好み。


 私は生まれも育ちも沖縄です。

 沖縄は琉球王国だった時代がありまして、王様がいたんですよ。そのせいか殿様より王様の方がなんとなく馴染む気がします。(笑)


 韓国も琉球も中国の影響を受けているからか、王様の着ている服も似ています。なんだか少し遠い親戚の歴史に触れているような気分。


 両班やんばん(支配的階級)の平服もエキゾチックでいい。

 透けた帽子からハンサムなお顔が透かして見えるのは色っぽく感じられる。特に恋心を匂わせるシーンで、少しうつむいた時に目元が隠れるのがたまらない。迷いや憂いを感じられてぐっとくる。


 ・・・・・・あ、ちょっと待って!

 延々と韓国ドラマ愛を語るわけではないんですよ。タイトルにつながりますから、もう少し読み進めてください。



 日曜の夜になると、韓国ドラマを見たくてテレビの前でジリジリとスタンバイするようになった私。

 そして、他の方の感想が知りたくてツイッターでタグ飛びを始めた。そんなある日、ツイートで知ったのです。


「最終回は1時間を越える」

「20分はカットされる」


 なんと!


 放送枠という名のにっくき敵が立ちはだかった。

 どうしたものかと焦り絶望に心をゆさぶられて、私はふと思いました。


「待てよ・・・。ユーチューブに映像が流れてたりしない?」

「誰かがコマ切れにアップした映像の中に、カットされた部分が含まれてたりするんじゃないの!?」


 あれこれと見まくりましたが出会えませんでした。

 見ることは叶いませんでしたが、その代わりに私のスマホのユーチューブには韓国ドラマが溢れることに・・・・・・。


 韓国語はわからずハングルは読めないけれど、様々な王様や王子様の出てくる映像を見ることになった。

 恋愛ものが多いのか恋愛の部分だけピックアップされているのかはわからない。わからないけどキスシーンが溢れて恥ずかしかった。

 スクロールしても連続するキスシーン。(笑)



 時は流れ、現在。

 某N◯Kの日曜夜に韓国ドラマが帰ってきた。「ヘチ 王座への道」というドラマ。

 そして、私はまたツイッターから知ることとなる。


「ヨニングンってトンイの息子よね」

「イ・サンのお祖父さん?」

「『秘密の扉』へつながる話だ」


 などなどとちょっとしたネタバレのような違うような情報が入ってきた。

 ちなみに、ヨニングンというのは「ヘチ」の主人公のことです。


 韓ドラ駆け出しの私でも「トンイ」や「イ・サン」というタイトルだけは耳にしてました。


 しかし!

 出遅れた私は見てない!

 DVDに手を出すか?

 でも、それをすると小説の手が止まる・・・・・・。

 私は情報収集を開始しました。


 いま放送されているドラマの主人公が実在する人物をもとに描かれていることを知る。幼少の頃の名が「クム」。


「おや? 待てよ。どこかでクムって名前聞いたことがある・・・」


 頭の隅でぴかっと何かがスパークした。

 ユーチューブで見たどれかで耳にした覚えがある。だが、ハングルが読めないし日本語でタイトル検索してもあの映像は出てこないだろう。


 聞き間違いか記憶ミスか?

 どの映像で聞いたのか?


 頭のなかぐるぐる。


「どうしよう・・・。手詰まりか? いや待て、顔だ。役者の顔がわかれば糸口に!」


 そして、相関図に行き着いた。

 相関図って誰と誰が敵対してて、この人とこの人が恋愛関係にあるってわかる図ですね。


 「トンイ」の相関図を見てはっとしましたよ。


「トンイの王様の顔見知っている!」


 何人かの妃がいる中、トンイと王様の間にクムという名の王子がいるじゃないか。

 パズルのピースがカチッカチッと音をたててはまった瞬間だった。


 何気なく見ていた映像の中に幼いクムちゃんが・・・・・・。


 父が王だとは知らないクムちゃん。

 お忍びで父だと明かさず偶然を装って(映像からすると、たぶんね)会いに来た王様。

 気さくなおじさんに何か相談をしている。そんな映像を思い出す。

 貧しそうな家のクムちゃんは勉学を共にする両班やんばんの子供達にいじめを受けてる様子。


 時系列がバラバラの映像を組み合わせて大雑把なクムちゃんを知り、「ヘチ」に出てくるヨニングンを見る。


「クムちゃん、こんなに大きくなって。しかもハンサムになってるじゃないか」


 いや、別の俳優だぞ天猫。


 つぎはぎの映像を見ていただけの私ですら感慨深く「ヘチ」を見たのです。「トンイ」を先に見ていた人達はいかほどの思いだろう・・・・・・。




 私たちの日常はドラマほどの大きな起伏はそうそうないけれど、脱出ゲームに参加しなくても意外な所にときめきが隠れていることがある。


 学ぶというと勉強みたいで嫌だな・・・と思う人も、好きなものや人の事を知りたいと夢中になることがありますね。


 好きなことだけでなく色々と手を伸ばして見聞きしてください。

 学ぶように深くなくてもいいんです。広く浅く、気になった時だけ深堀してみる。

 貯えられた記憶がある時カチッと音をたててつながる。

 関係なさそうな事が繋がったときの楽しさ。それを日常でも感じれたなら、きっと知ることが面白くなります。


 青い鳥の話ではないけれど、幸せも楽しさも自分が気づけてこその喜び。


 知ることで世界が広がり次の行動につながったなら、また新しいピースを集めてカチッとつながる楽しさを受け取ろう。



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