第11話 影ひとつ

短歌一首



夕焼けが君を赤く染めた時

キスを交して影を重ねた



二人で歩く帰り道、夕焼けが街全体を染めていく。

さっきまであんなにはしゃいでいたのに、駅に近づくにつれて二人の口数が減ってくる。

一緒にいる時間もあと僅か、西へ沈む太陽が今日の終わりを告げている。

夕日は二人の影を長く長く伸ばしていく。

夕日は空も、街も、僕らも赤く染めた。

それを合図にキスを交した。

長く伸びきった影もひとつになった時、太陽は大地に沈んだ。




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