第17話

 四時間目の授業が終わり、昼休みになった。それまで授業に集中し緊張していたクラスの空気が和らぐ。


「優希―、一緒に飯食おうぜー!」


 そう声をかけてきたのは亮平だ。僕は昼休みは大体いつも亮平と一緒に昼ごはんを食べている。亮平が弁当を片手に僕の机へとやってくる。


「おっ、優希の弁当今日も可愛いなぁ。お前日に日に女子力上がってね?」


 僕の弁当を見るなり亮平が感想を口にする。


「可愛いとか言うなよ、恥ずかしいだろ」


 僕は毎朝自分で弁当を作っている。自分では弁当を普通に作っているつもりだが、亮平の目には可愛い弁当に映るらしい。日に日に女子っぽさが増していっているのが辛くてしょうがない。


「それにしても物理の遠藤の授業、つまらなさすぎるんだよな」


 亮平が四時間目の授業のグチをこぼす。


「仕方ないよ、物理の授業を面白くするのって難しいだろうし」


「いや、俺ならもっと面白く教えられるな。」


 四時間目の授業の話題で盛り上がる。亮平は物理が得意教科なだけあって話に熱が入る。案外亮平は好きなことにのめり込みやすいタイプだ。


「亮平って案外オタク気質だよね」


「そうか?そんなことないと思うけど」


「ほら、亮平ってハマるとなんでもとことんやるじゃん?」


「言われてみればそうかもなぁ」


 亮平は深く考えながら答える。自分が熱中しやすい性格だということにあまり気がついていないようだ。


 人間誰しも自分の性格、考えていることは案外分からないものだ。自分のことは自分が一番分かっていると思いがちだが、他人の方が自分のことをよく観察している。僕の性格も僕自身あまり分かっていない。そして僕の恋心も……。

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