第25話 匂いってあると思うんです

 体臭とか香水とかオリーブオイルとかそういうもんじゃないんですけど。

 ぶらぶら本屋を歩いてたりとかで見る表紙や、普段見ないテレビで番宣やってたりとか、映画の予告編とかあるじゃないですか。

 

 それで面白そうと思ったものはだいたい面白いと思うんです。本とかドラマとか映画とか限った話でもないんですが、ややこしいんでそれらだけにしときます。


 ピンとくるとか感に頼ったもので、説明できない漠然としたなにか直感的なものがそれを「良い」と訴えてくるのです。それがなんか匂うということです。

 誰しも感じるものだと思うんですけど、受けてからしたら「面白そうだ」と興味をもつことで、発信者からしたらプロモート、宣伝することだと思うんです。

 

 受けての話をします。

 今までの経験から好きな映画があれば、それと似通ったものってたぶん好ましいはずです。でまあ面白いと感じるかどうかは、その好きな映画より上か下かという判断であって、そりゃ人それぞれです。

 

 ファンタジーが好きな人はファンタジーを好むしスターウォーズが好きな人はスター・ウォーズを好むんです。


 指輪物語しかファンタジーじゃないとかいう偏屈な人もいるかも知れませんけど、そういう人はほっときます。


 逆にファンタジー好きだけど指輪物語は好きじゃない人は、まあまあいると思うんです。

 ちなみに自分は嫌いです。流行ってたんで少し見たり読んだりしましたけど、最初の方で、ああもういいやこれとなりました。ちゃんと見たら面白いのかもしれませんけどね。ハリーポッターもつまらないです。


 自分の好みを言ってもしゃーないんですが、その匂いなり直感なりを感じなかったということです。


 もちろん強制的にみせられたら、それなりに楽しめると思います。流行った理由を知りたくて、そういう目でみれば有意義かとも思います。


 発信する方を考えてみます。

 ハリウッド映画なんかは見せ場のシーンを色々繋いでなんか文字とかバーンとかして予告編とかやるじゃないですか。

 スター・ウォーズの話で知らない人は訳わからんかもですけど。

 予告編でレイがレンの乗った飛行機を切るみたいなのがありました。

 見栄えは良いし、なにこれみたいな興味も単純に湧くのでそういう手法に走るのは鉄板です。

 それが簡単だし分かりやすいしみんなやってるし、だいたいそれで成功しているからテンプレみたいになってるんだと思います。


 スター・ウォーズの酷評しても仕方ないのでもうちょっと具体的な例にしてみます。


 少し想像してみてください。

 綺麗な花がいっぱいあります。生け花用の皿があります。きれいな着物を着た子供の居ないの初老の後家さんと、みすぼらしい女の子がいます。数年後にはその女の子が立派な女性になってました。

 となると、この話はたぶんハートフルストーリーなんだろうなと期待すると思います。そういう匂いです。


 そこに泥だらけの人形だったり、割れた皿とか借金の借用書とか何を追加するかはまあ自由ですよね。


 それが血みどろの皿だったり、なんか見晴らしのいい海岸の崖だったり、なんかよくわからん時刻表とかだったりがあれば、なんかサスペンスっぽいもんになると思います。


 感動的なシーンでその女の子がお皿をもって泣いている場面があったとします。

 映画の予告編でそれがあったとして、そのシーンてあるって分かるじゃないですか。

 実際にその話を見たとして、そこに脈絡もなく本編からそのシーンへ行ったら、やっぱり「は?」ってなりますよね。

 予告編で使われて無ければ、もうすこし違和感もないこともあるかもしれないので、そういう手法も無闇矢鱈と使うもんじゃないと思ったりするんですよね。


 面白いかつまらないかって結構紙一重なところがあるわりに、面白いものにするのって薄氷の上をトラックで走るような難易度だと思います。

 

 みえみえの地雷てあると思うんですけど、それをきにしなければ面白いんですよみたいな製作者もいると思うんです。

 というか、面白いものはそういうもので、それは置いといてくださいよ、とかこっちのほう向いててくださいみたいなことを言ってるんです。

 それをハイわかりましたよと応じて、良さそう、悪そうと判断してるんですよ。

 まあ、極端にいえば、製作者と消費者とはその導入とかプロモーションで会話をしてるようなものだと思います。

 人間ってものはなにかを匂いを漂わせて、その匂いを嗅ぎ分けているということです。

 

 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る