まあ、ジャガイモに例えろって言うもんねっ!

「綺麗にゃ声ですね!」


 カルム先輩の神秘的にゃ声をこんにゃ一言で表現して良いのか分からにゃいけど、率直にゃ気持ちをニャアは口にする。

 ずっと声を隠していたくらいだ。もしかしたら、これは先輩を傷つける言葉ににゃるかもしれにゃいと言ってから気がついた。


「……む、かしは……もっと……」


 絞り出すようにゃ声で呟き、背を向けた先輩にニャアは焦る。


「あっ、すみませ——」

「ありがとう。って、カルム兄が照れているよ!」

「えっ」


 照れてるようには見えませんが!?

 ガルレイド先輩の一言に驚いて、カルム先輩の方を見やれば髪の隙間から覗く耳が赤くにゃっているようにゃ……?


「かっ!」


 『可愛い』と出かけた言葉を慌てて飲み込んた。「男性に可愛いは褒め言葉じゃありませんよ」という、アール先輩の笑顔が何故か急によぎったからだ。


「か?」

「にゃんでもにゃいです!」

「そっかぁ」


 勝手に内心をバラされたカルム先輩にポコスカ殴られにゃがら、ガルレイド先輩がゆるく笑った。可愛いとかまだ言ってにゃいからセーフにゃ! セフセフ。


「でもせっかくの声にゃのに普段から聞けにゃいのは残念ですにゃ……」

「はっ! なんでおれの美声をジャガイモどもに聞かせなきゃいけないんだ。農家じゃないんだぞとカルム兄が……」


 めちゃくちゃ口が悪いにゃ!? てかイメージと違う……

 本当にそんにゃことを? と思ってカルム先輩を見るも、さっきと変わらずガルレイド先輩を引っ掻いていた。

 ……猫かにゃ?


「にゃ、にゃはは」


 やっぱりカルム先輩の事はよく分からにゃい。

 声を聞けただけで急接近☆ってにゃらにゃいのが現実にゃのか……

 ニャアは苦笑いを浮かべて、未だじゃれ合う二人の前から退散する。「これは仲良すぎる双子を攻略するための戦略的撤退!」と、内心で言い訳をしにゃがら。


 

 ………………

 …………

 ……



「って事が昨日あったんだに」


 翌日。一晩寝たら話したい欲求が爆発したから、事のてんまつをエルラルに話して聞かせた。

 

「仲良すぎる双子を攻略するにはどうすれば良いと思う?」

「馬に蹴られてきたらどうかしら?」


 ガルレイド先輩の彼女事件とかカルム先輩の声聞いちゃった事件とか、ニャア的には一大事だけど、エルラルの反応は普通に冷めていた。

 まあニャアと違って二人と接点にゃいし興味もにゃいもんね……知ってた!


「ちょうど暇だ平和だと騒いでたし、ちょうど良い刺激になったんじゃない?」

「にゃったけどさぁ! こう立て続けに来られると癒しが欲しくにゃるというか……」


 グレイシア兄弟事件の前日には、謎のイケメンニャンパ事件。そして今朝、何気に遅刻しかけてリベルんに睨まれる事件もあったりした。


「にゃふふ、こうしてエルラルと話すのと保健室に行くのがニャアの癒しだにゃ〜」

「あのヒサメがいる保健室が癒しになるのはアンタだけね」

「別にヒサメん何もしてこにゃいよ? 皆嫌い過ぎじゃにゃいかにゃ?」

「何言ってんのよ。ヒサメは顔を見るだけで疲れるわ」


 おっと、顔からダメ出しとか救いがにゃいねっ!? 

 ヒサメんへの認識には草しか生えにゃいけど、お陰様で保健室に人が寄り付かにゃいのはとても美味しい。

 

「よし、今日は後で保健室に行くにゃ」

「はいはい。行ってらっしゃい」


 お昼休みの予定を早々に立てつつ、席に着く。


 キンコンカンコン〜♪


 鳴り響くチャイムが、昼食前の四限の始まりを告げた。



——————————————————


カルムの こうかんどが 1 あがった!


①可愛い声ですね!  10%

②素敵にゃ声ですね! 40%

③綺麗にゃ声ですね! 50%

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