いつからアール先輩のターンだと錯覚していた!?

「いただきます!」

 

 四限は特筆することもにゃいからスキップして、ニャアはエルラルと食堂でランチにゃう! いつもお弁当のニャアだけど、今日は食堂がサンマ定食だったから学食にゃのだ。


「ごちそうさまでした!」


 お昼休みに保健室へ行くという予定があるから、サックリ食べ終えて食器を片付ける。サンマの塩焼き美味しかったです。


「エルラルは部活の昼練だっけ?」

「そうね。まあ無くても保健室に行きたいとは思わないけど」

「アール先輩のお茶美味しいのに〜」

「そういう場所じゃないでしょ」

「にゃはは」


 呆れた顔をするエルラルと手を振って分かれ、ニャアも保健室へ行こうと食堂を出る。


 あ、五限は体育だし先に教室に戻って体操服取っておこうかにゃ。

 そうしたらギリギリまで保健室に居座れるし、校庭にも保健室からの方が近いし! にゃんにゃら先に着替えちゃっても……いや、体操服で先輩の前に出るのはにゃんとにゃく恥ずかしいにゃ。


 にゃんて考えにゃがら、ニャアは三階にある教室に向けて階段の方へと足を向ける。その道中踊り場で……


「リベル様、今お時間ありますでしょうか?」


 見知らぬ生徒が、リベルんを捕まえて何やら質問をしている姿を目撃した。当然ニャアはその脇をそそくさと通り過ぎる。

 別に何もやましい事はにゃいんだけど、朝に遅刻を注意されたし気まずいに。


「体操服体操服〜」


 そして体操服をゲットした後は、時間が惜しくてちょっと小走りで一階の保健室へと向かった。もちろん来る時にリベルんを見かけた階段とは別の階段を降りる!

 にゃのに、


「マオ・リリベル」

「に"ゃっ!?」


 にゃんでここに!? 

 お小言を貰いたくはにゃいニャアは、先手必勝。


「すんませんしたあああああ」


 さっさと謝って早歩き程度に速度を落とし、通り過ぎる。さっきまで反対側の階段にいたじゃん! 分身でもしてるのかにゃ??


 もしかしたらこのままお説教コースで保健室に行けにゃいのでは……


 にゃんて未来を一瞬想像しちゃったけど、あれ以上リベルんに呼び止められることもにゃく、普通に保健室へと辿り着く。


「失礼しまーす!」

「そろそろ来る頃だと思ってたヨォ、まおサン」


 定位置でお茶をすするヒサメんが手を振っている。だけど、アール先輩の姿は何処にも見当たらにゃかった。



 ……………

 …………

 ……



「先輩がいにゃいにゃんて聞いてにゃい!!」


 ヒサメんの向かいにある長椅子に座って、ニャアはアール先輩の不在を嘆く。いつもにゃら出てくるお茶は、当然のようににゃかった。


「いやだなァ、あーるサンは別に常駐しているわけじゃあないんだヨォ?」

「そうだけど! そうにゃんだろうけどぉ!!」


 アール先輩のいにゃい保健室にゃんて、イチゴが乗ってにゃいショートケーキ……価値が半減にゃ!

 無価値とまで言い切らにゃいのはニャアの慈悲!

 だけど先輩の笑顔に癒してもらおうと、ワクワクやってきたこの失意はデカいのだ……


「あははははッ! お話しなら俺が聞くヨォ〜」


 面白がるようにニヤつくヒサメんが憎い。

 だいたいにゃんでこの人は仕事しにゃいんだ……いつ来てもゴロゴロしているし、保健医のくせに手当てしてるとこ見た事にゃいし!


「八つ当たりは良くないヨォ、まおサン」

 

 心の声読んでくるし!!!


「イケメンかどうかは置いといて、一番のロクデニャシって断然ヒサメんだよね」

「急に暴言ッ!?」

「いや、特に他意はにゃいんだけどアーサーさんの言葉をふと思い出して」


 ——イケメンにロクな奴は少ないぜ?


 いや〜分かるにゃ〜。ソルディオ先生はモテ過ぎてヤバイし、グレイシア兄弟はブラコンだし、リベルんはリベル様だし……

 天は二物を与えにゃいとか言うけど、そういうものにゃのかね? ヒサメんがイケメンかは別として。


「そうだ! ヒサメんも少しはリベルんを見習うべきじゃにゃい?」

「冗談はよして欲しいなァ? アレはネェ、わーかーほりっくって病気だヨォ。動かないと死んじゃうまぐろなの」

「あ〜にゃんか知らにゃいけど、いつも忙しそうにしてるもんね」


 思い返してみたら、校内でリベルんを見かけにゃい日がにゃいんだよにゃ。しかも一日最低三回、違う場所で。

 それだけにゃら普通かもしれにゃいけど、偶に遅く帰る日があっても、いつだってリベルんはまだ学校に残っていたから相当働いている気はする。


「あッ、まおサン知ってるゥ? 保健室便りも実はりべるクンが作っているんだヨォ」

「えぇ!? あの狐のマスコットが可愛い保健室便りを!?」


 それはちょっと衝撃すぎる事実だけど!?


 保健室便りと言えば、文章量が少にゃめで可愛いイラストをふんだんに使ったそこそこ人気のある読み物! 特にマスコットのように登場するキツネが、何処とにゃくヒサメん似ているんだに……


 緩くて読みやすい文章とイラストで誤魔化している手抜き感から、これはヒサメんが作ってるのかにゃ〜とか思っていたのに! 割と良い仕事するじゃんとか思っていたのに!

 首ににゃっていにゃいから、見えにゃいとこで仕事してるのかにゃと思っていた時期がニャアにもありました。


「俺らしく仕上げてるのが凄いよネェ〜でも糸目だからってキツネは安直かなァ」

「糸目じゃにゃくてもピッタリだから! ニャアの育った国でもキツネといえばヒサメんみたいにゃズル賢い奴の象徴だし!」

「あははッ、ズル賢いって酷いなァ。別に頼んでいないのにりべるクンが勝手にやっているんだヨォ?」


 書いてもらっているのにこの言い様! クズにゃ! コイツ間違いにゃくクズだにゃ!!


「そんにゃ事言うにゃら自分でやれば良いじゃん」

「契約業務外のお仕事だからお断りしマス」

「この人本当に保健医かにゃ??」


 ちょっとにゃんでこの人が雇われているのか本気で分からにゃくにゃったぞ? 正気にゃのかエルファナ理事長! そしてしわ寄せで仕事が増えたリベルんは大丈夫にゃのか!?

 ヒサメだけのせいとは言わにゃいけど、毎日駆け回るほど忙しくしていたら、いつか過労で倒れるんじゃ……


「……そんな日は来るかもネ?」

「えっ」

「りべるクンってばァ、なんでも自分でやった方が速いって考えちゃう人なんだよネェ。なまじ優秀なモノだから実際その通りだしィ? 誰かとやるくらいなら自分が、誰かに頼るくらいなら自分が。自分が自分がと全てを背負ってェ、他人の心配なんて跳ね除ける……」


 ヒサメんはのんきにお茶をすすり、「聞いたことなァい? この学校はほぼりべるクンが回してるって噂」と、続けた。

 心配と言うよりどこか面白がっているヒサメんの表情が気ににゃったけど、噂については聞いたことがある。

 いやいやまさか! って思ったけど、えっ、本当に……?


「にゃんか聞いてはいけにゃい学園の闇を聞かされた……?」

「あははははッ! 無理するのが当たり前な生き方ってカワイソウだよネェ〜」

「笑い事じゃにゃいと思うけど!?」


 こんにゃ話だというのに、現状を楽しんでいるヒサメが理解できにゃくて、得体の知れにゃい怖さをニャアは感じた。

 この人ってもしかして悪魔か邪神の類いにゃんじゃ……とさえ思えてくる。


「そんな顔しないで欲しいなァ、まおサン」

「こんにゃ顔させたのはヒサメんだに」

「あははッ、ゴメンゴメン」


 不信感を抱いたニャアを見てどう思ったのか、ヒサメはチラリと壁掛け時計を見て、「そうだァ」と切り出した。


「そんなにりべるクンが気になるならサ、今から二階の渡り廊下へ行ってみたらァ」

「え?」

「お優しいまおサンが手を差し伸べれば良いんだヨォ」


 ………………

 …………

 ……



 こうしてヒサメんに言われたとおり、ニャアは二階の渡り廊下に移動した。

 正直無視しても良かったんだけど、ヒサメの言うことが気ににゃったというか……アール先輩がいにゃい保健室に長居しても意味にゃいというか。


 キョロキョロと辺りを見回す。


 今のところリベルどころか、人っ子一人見当たらにゃいけど……


「あっ!」


 向こうの角から、目当ての人が渡り廊下に現れた。手には大量のノートをタワーの様に積んで何処かへと向かおうとしている様だ。

 どう見ても前が見えにゃい積み方してるし、ときどき揺れるタワーが見ていて危にゃっかしい。


「お優しいまおサンが手を差し伸べれば良いんだヨォ」


 ヒサメんの言う通りにするのはしゃくだけど、これは手伝った方が? それとも……


「まァ、俺のお勧めは適当に頑張れと野次を飛ばすコトだけどネェ?」


①「手伝いますにゃ?」と声をかける。

②無言で上半分を持つ。

③「頑張れ〜」と野次を飛ばす。


————————————————————


今回はリベル様の選択肢回です!

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