その反応はズルいと思うにゃ

 かつかつと、ペンが紙面を叩く音が響く図書室で、ニャアは分からにゃい問題を誰に聞こうか真剣に考えた。


 まずはリベルんことリベル様。

 ニャアが今悩んでいるのは、問題集の超冒頭。基礎中の基礎みたいにゃところだ。

 どう考えてもリベルんに聞きに行ったら、「貴様は授業を聞いていなかったのか?」と怒られそうで辛すぎる。

「誠に申し訳ございませんでした! リベル様!!」って土下座させられそう……え、偏見過ぎる?

 でもでも、先生に聞いたら勉強デートじゃにゃくにゃるからやっぱりにゃしにゃ。

 

 これは逃げじゃにゃいにゃ。うんうん、とニャアは選択肢の一つをにゃかったことにする。

 そして次に考えるのは、カルム先輩に聞く場合にゃ。


 チラッと先輩の方を確認する。

 やっぱり机に突っ伏していてスヨスヨ寝ていた。心なしか下敷きににゃっているプリントが寄れている……ってあれ?

 そのプリント『数学』って書いてにゃいかにゃ?

 他の学年の数学もリベル様が担当してるって聞いたことあるけど大丈夫かに?

 ちょっと心配ににゃったけど、寝ている先輩を起こす勇気はニャアにはにゃかった。

 だってカルム先輩喋らにゃいし、まだどういう人にゃのかよく分からにゃいんだに!


 元から気持ち的にはガルレイド先輩一択だったニャアだけど、他の可能性も考えた結果やっぱりガルレイド先輩に聞くしかにゃい! と結論に達した。

 真剣に過去問を解いている先輩には悪いけど、ニャアもちゃんとした質問だから許して欲しいにゃあ。


「ガルレイド先輩、ちょっと良いですかにゃ?」

「ん? 何かなマオちゃん」


 ちょっと遠慮しちゃって小声ににゃったけど、先輩は気付いて手を止めてくれた。


「数学で分からにゃい問題があって、教えてもらえたらにゃ〜と……」

「いいよ。どの問題?」


 ガルレイド先輩は快く引き受けると、ニャアの隣の席に移動した。位置的に言うと、カルム先輩の向かい、ニャアの右である。

 予想外の急接近にドギマギしつつ、ニャアは数学の問題を見せた。


ーーーーーーーー

【題】次の2次関数 y=(x-1)^2+1 に最大値,最小値があれば,それを求めよ。また、そのときのxの値を求めよ。

ーーーーーーーー


「……うん。何が分からないのかな?」


 問題を見た先輩が、心底不思議そうにこんにゃことを言う。


 ごごご、ごめんにゃさい! こんにゃ基礎みたいにゃところで本当にごめんにゃさい、馬鹿でごめんにゃさいいやぁああああ!!

 こんにゃん分からにゃい所ある? ってレベルですよねっ!


 恥ずかし過ぎてもうニャアは顔を覆うしかにゃかった……


「えっと、ゴメンね?」

「ニャアこそ馬鹿でごめんにゃさい……」


 気まずい空気が流れる。

 いたたまれにゃいにゃ……そうにゃ、諦めよう。うん。

 数学にゃんてにゃかったんだ。にゃは、にゃはははは……


 やっぱり大丈夫です。そう言おうと思って、ニャアが口を開きかけたその時、


「どうしたの? カルム兄」


 ガルレイド先輩が突然寝ているはずのカルム先輩と会話を始めた。


「でも俺あまり教えるとかやった事ないし…………うっ、ゴメン……そうだね、うん。分かった……」


 ニャアから見たら、ガルレイド先輩が突然独り言を始めたようにしか思えにゃいからシュール過ぎるんだけど、本当に会話しているのかにゃ? にゃんて、ニャアが先輩の行動を疑っていると、

 

「……えっ、そうなの?」


 驚いたような顔をした先輩が、ニャアの方を見ながら確かめるように言った。


「マオちゃんは、僕を頼りにしているの?」

「えっ!? ま、まあそうにゃんですけど、無理は……」

「そっかぁ」


 しにゃくていいです。と続ける前に、ガルレイド先輩は照れ臭そうに頬を掻きながら「嬉しい……と、思うよ。うん」と笑った。


「ん゛っ」


 えっにゃんですかその反応ずるくにゃいですかあざと過ぎじゃにゃいですか可愛い枠はアール先輩だけでお腹いっぱいです大変ありがとうござくぁwせdrftgyふじこlp……


「慣れない事だけど頑張ってみるね、マオちゃん」

「アリガトウゴザイマス」

「それで、えっと……問題の答えは付録についてるから良いとして、それでも分からないって言うことは納得いかない、のかな?」

「だってどうせ二乗したらプラスににゃるんですから、xは0で良いじゃにゃいですか……」

「ああ、それはね」


 その後、アホ過ぎるニャアをガルレイド先輩はグラフを描きにゃがら暫く教えてくれた。勉強時間奪ってごめんにゃさいでした誠にありがとうございます。

 お陰様で帰る頃には、ニャアの理解度も深まって応用問題まである程度解けるようににゃっていた!


「それだけ出来れば平均点超えは間違いないよ」


 とは、先輩の言である。

 

 この間カルム先輩はずっと寝ていたんだけど、時々ニャア達の様子をこっそり伺っていた事には気づいていたにゃ。

 気にしてくれたのかにゃ?


 そんにゃこんにゃで、思ったよりずっと勉強デートというイベントを楽しめたニャアは、ほくほく顔で帰路についたのであった。




 因みに、テストの成績を聞いてみたところ……


「僕はいつも平均点だよ。え、カルム兄? カルム兄はね、凄いんだよ。いつも赤点すれすれだから!」


 皮肉かにゃ?

 この後、ガルレイド先輩は当然のようにカルム先輩に蹴られていた。



────────────────


ガルレイドの こうかんどが 1あがった!


①ガルレイド先輩に聞く 46%

②カルム先輩に聞く 23%

③リベル様に聞く    30%


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